(51) ノニさんが、引っ越していった日から | すずめがチュン

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アケノさんを取りまく風景をおとどけしてます。











2014/7/10 撮影

10日も、お天気が続いた!


  結局、連休の間はずっと 晴れて、


 風もあり、出かけるには絶好の「いいお日和だ」


  という訳で・・・・


できたら一日中でも、外に出てたい小さなマゴ達は


  モアイさんに、べったりくっついて離れない、


 いつも、お疲れ気味のママや、


  台所で忙しそうなばあばは・・・・あきらめ


呑気に ソファに寝そべって、ゴルフを見ているじいじに


    狙いを定めた


 じいじが、ソファから起上がると


   あわてて、オモチャを放り投げ


      トイレまでお供してゆく。


終いには靴をはいて


  玄関に張りこむ、という作戦にでた。


時々、ズルズルと玄関から はい上がってきて


  半分開いた ドアの陰から


     様子をうかがう、


 なかなか、しぶとい、もう小一時間も


   ネバっている・・・・

 ついに、モアイさんが根負け!


   クツを履くと、二人を連れて


 近場の、牧場へと


   痛い腰をなだめつつ、出かけていった!


    ヤッホ~イ!メデタシ、メデタシ!



 「ねぇ・・・、どこか行こうか?


  こんなこと、滅多にないよ!、こぶさん二人とも居ないなんて!」


   「そうだね~初めてだね!、でかけよう、でかけよう、嬉しいな!」


 「行きましょう、いきましょう♪」


  と、モアイさんたちが出かけた、10分後には


    自分たちもいそいそと、家をあとにした。



とは言え・・・・さて、どこかに行きたい処が・・・あるわけでもない、


 結局、走り出したクルマは、


   いつもの物産館へと向かっている。



小高い山の上に広がった、名産の茶畑の中にある


   その物産館は


 坂道の両脇にある里山を、抜けて登ってゆく。



昼前の、まだ眩しすぎない太陽の光を受けた


  山の景色は、息をのむほどに


    美しかった。



「きれいだねぇ~!・・・・ほんっとに、きれいだ!」


  「うん、お母さん外に出るたび、そう言ってるね」


「でも、ほんとにきれいだもん・・・見てごらんよ、ほら」


  と、後につづく言葉も、多分


   同じ・・・・と、自分でもわかっているが


      やっぱり、言わずにはおれない。



今の山が、今までと・・・正確には


  一年前の山とは、どんなに違うかと、



どこが?と言われれば、


   色の美しさ、陰の深さ!



「黄色が、この時期にしては多いと思わない?」


  「別に・・・とくべつ、そう感じないけど」


「そうぉ、今のこの時期にしては・・・・黄色味が・・・


 絶対、多いよ」


  「そうかなぁ・・・」


「ほら、秋みたいな色してるじゃない」


  「きれいはきれい、生き生きしてて、」


「うん、新緑がね、確かに黄緑は あるんだけど、黄色がねぇ


  ・・・・やっぱり多いような気がする


  太陽の光に、今までにない色が増えた、これよ、きっと」


   「そうか・・・・波長の長さが違うたものが、たくさんね、


     だったら、今までにない色も見えてくるだろうね、」


「そうそう、そしたら ・・・陰の色まで違ってきて、


  今まで届かなかった所まで、光が入り込んでいったら


 それでできる陰の色も、繊細なものになってゆくよね


20色だった山の色が、今、100色くらいになってるとか」


   「そんなに?」


「うん、それくらい違う!」


   「いつ頃からだろうね、変わりはじめたの・・・」


「多分・・・・去年の夏ごろから」


   「そうかも、その頃からお母さん、きれいだ!きれいだ!


    と言いだしたもんね」


「まだ・・・あの頃は、全部の山がそう、という感じじゃなかったけどね


  今日は、見てびっくりした!


  もう、全部の山がそうなってる、スゴイ!」


  「遠近まで、違って見えるよね!」


「うんうん、前に迫って見える!


  あの山が、すぐそこにあるように見えるもんねぇ・・・、


    今の木なんか、息がきこえたような気がしたよ」


   「したした!」


「なんか、目まいがしそうだね、原始の森見てるようで


  ・・・・見たことないけど」


   「うん」


「ね、どうする!


 違ってるきてのは、周りの景色ばかりじゃなくて、実は


  自分たちの目も、だったとしたら、」


   「いいと思う」


「いいよね、・・・・怖いと思う人もいるみたいよ」


   「そうか・・・いろいろ、見えだすとね」


「見えないうちから心配してても、しょうがないけどね」


   「そうそう、」


「怖いモノも・・・・あまりないしね」


   「そう、お母さんはね」



 いえいえ、そうじゃなくって、


  怖いことは、なるべく考えないようにしてるだけなのよ、と


   言おうと思ってるうちに・・・・


    物産館に着いた。


買いものを済ませ、


  時間をみると、まだ一時間しかたってない、


  ケイさんが、手早くサンドイッチをこしらえて


    三人に持たした事を思いだした。


「あと、一時間くらいは帰ってこないよ、どうする」


   「そうだね、」


「どこかで、オヒル食べて帰ろうか」


   「こぶさんたちもいないしね、いいねぇ」


 と、帰りは下り坂になる


  その途中の、蕎麦屋さんに入った。


窓際の席に座ると


 駐車場の裏の、山が見えた。


 窓いっぱいに、100色の色の山、


  圧倒されながら、しばらく眺めていると・・・


下の方、雑木の重なった間に


  登り口が見えてきた、


  時々、風が吹いて


   枝が揺れ、その暗い道にチラチラと光が射している、


「見てみて、あそこから今、大昔の人が出てきても驚かないね」


  「大昔の人って・・・・どんな?」


「白麻の、貫頭衣きた人」


  「うん、驚かないかもね、この山だもん・・・」



 見事な、原始の森だった。


 


   つづく