具合がいい!
ピカピカだし、何よりズリ落ちてこないのがいい!
鏡にくっつくようにして、右左と向きを変え
新品のメガネの、かけ心地を試すうちに
ついでに、あんまり、じっくり眺めた事のなかった
自分の顔まで、眺めることになった。
合わせ鏡を使うと、完全な横顔と 後ろが映る、
そこに、少し頬のこけた横顔が・・・
「そうか、・・・こんな顔なんだ、他人が見てる自分の顔は」
と、しみじみ眺め・・・・そのうち自分も
その中の一人になって見ている気がして・・・
自分がふたり?
んん?・・・ナニこれ?・・・・と、一瞬とまどう。
憂鬱で始まった一日も、夜には気分晴れ晴れ!
約束どおり 妹がやってくると、
すぐまた夢の話になった。
「ねぇ、・・・どんな夢だったの・・・」
「あぁ、例の夢ね、わけの、わからない夢だったけど、
やたら長いのよ・・・・
初めのほうで、○○が出てきた、」
「え、兄ちゃんが?」
「そう、どっちも今よりずっと若い感じで、二人並んで
歩いてるんだよね、」
「ふぅ~ん、どこを?・・・」
「堤防、ほら天降川公園沿いの、あの堤防を
家の方に向かってた、
・・・なんか、抱えてね
それ、ゴトンと落としちゃって、紙包みがほどけて
慌てて、包みなおすんだけど・・・・
それが、上手くいかないのよ、道の真ん中で」
「うん、クルマとか来たら困るでしょ、」
「そう、で、焦って包みなおしながら、中身を見たら、
掛け時計だった、素敵な!
それを、・・・コレ、ちょっと欲しかったな、と思いながら
包んでるわけよ、しゃがんで」
「うん、」
「でまた、二人で歩きだして、日当山橋のトコまで来たの、
そしたら、○○が、『ねぇちゃん、おれ、ちょっと向こうに用があるから』
と言って、橋の方に歩き出すから、
慌てて、『これ、あんたが貰ったんだから、持ってってよ』って
紙包みの時計 渡したんだけどね、重かったし」
「ふぅ~ん、それ持って 兄ちゃんは行っちゃったの?」
「そう・・・行っちゃった、時計抱えて、スタスタと、」
「でも、その時計、ほんとは欲しかったんでしょ、」
「そう・・・少しね、惜しいなって思ったけど
渡した、サッと・・・・そうしたって事は、
時計はもう要りませんっ、て思ったんじゃないかと、」
「あ、そうか・・・そう言われればね」
「そうでしょ!、時間は無くなるって言ってるし、
時計なんて要らないでしょ、
なんか、面白いね、なぞなぞみたいで・・・・
それからが、よく分からないのよ、
そこからトコトコ、堤防を下りてったみたいで、下に二三軒ある
家の中庭で、椅子に座って、おばさん達と
お茶飲んでた。
一人は、知ってるオバサンで、ホラ、昔家で働いてくれてた
○○おばさん!
あ、覚えてないか・・・・その頃あんた、まだ赤ちゃんだもんね、
その○○おばさんが、軒下を指差して、
『あそこの雪だけは、いつまでたっても融けないんだよねぇ』
て言うから、近づいていくと、
その雪が、ボロッと融けてね、中から葉っぱが見えてきた。
つぎに、上の雪も落ちたら・・・・・
花?なのよ・・・キャベツ顔の!
右のは、おばさん顔で、左のはおじさん顔の
特に、おじさん顔の方は、と~っても優しい顔だったけど、
それが、口をあんぐり開けて、歌うわけ、アタマふって
・・・ダンシングフラワーみたいに、
「ハハハ、なんだろ、それ?」
「ねぇ~、なんだろね、
ケイちゃんに話したら、レタス顔というのは・・
アミ、小さな宇宙人の中に出てくるらしいよ、」
「そうなんだ、でも、キャベツでしょ、レタスじゃなくて」
「うん、だから、なんだろね・・・・って思ってるんだけど
それから、まだ、続きがあるの、
しばらくして、あ、帰らなきゃ!って思いだして
急いで、堤防を登って行くんだけど・・・・
上まで行ったら、道がなくなってた、」
「どういう意味、なくなるって?」
「堤防じやなかった、ってことよ、石垣だったの
向こう側には、川が流れてた、」
「へぇ~~っ・・・」
「でね・・・・、その石垣の一つ一つが、また
きれいな六角形の、蜂の巣なわけ!」
「なんで?」
「それは、わからない・・・・
すると、いつの間にか、ちゃんとした堤防の上に立ってて
向こうの方に見える、昔の堤防を見てた。
昔の堤防と、今立ってる堤防は、同じモノなんだけど・・・
何故か、川を挟んで、あっち側と、こっち側に分かれてて、
向こうのは、右端が消えてて
こっちのは、左端が消えてた!ってとこで、終わり」
「なんか、わかったような、わからないような・・・」
「ねぇ・・・それが、夢なんだろうけど、
どうしてだろう?、夢の中では違和感ないのよね、全部が」
「そうそう、そんな感じはするよね」
と、毎日みる夢の中で、こんなによく覚えてたのは
久しぶりで、
さて、どんな意味があったのか、
とにかく、長い、長い夢だったけど。
つづく