(27) 朝おきて、窓をあけると | すずめがチュン

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アケノさんを取りまく風景をおとどけしてます。











2014/7/10 撮影

晴れている、 12・12・12の朝だ!


 遠く 高千穂と、霧島連山の頂には雪が見えた、


山ひだに、レースのように積もった雪が


 今日の日のための、晴れ着に見える。



山は、 身じまいを整え、威儀を正して待っているのだ、



  その上の


長々と伸びた雲も、じっと動かない、


 「いよいよ始まりますね!、楽しみですね!」


  と、空に向かって挨拶する。


  

空は青く、澄み切っていて


 ・・・・いつもと変わりない日のようで


  いつもとは 違う日なのだ!と思う。



 今、自分の目に見えている、山も木も鳥も


   花も虫も、土も水も、空も雲も、太陽も


 まだ見えない、


   空の上に待機している、数えきれないほどの


    SSの中の方たちも、


  私の周りの


   たくさんの「私」も、み~んな、


  ・・・・・固唾をのんで、今日 これから始まることを


     待っているに違いない!



 と思うあまり、


  昨夜はあまり眠ってない、


    嬉しい緊張と、興奮のせいで


 朝方、やっと寝つけたのか・・・・


  夢を見た。


    夢の中で、年とった男の人と 話をしていた、


   質素な身なりの、その人は


    分厚い本を手渡しながら


     「ここに、何でも書いてあるから」と言う。


    本は、ずっしりと重く


     表紙も中も黄ばんでいて、とても


      古いもののようだ。


    私は


     本を 膝におき、次々とめくって読んでいる・・・・


       うちに、目が覚めたのだが



  なぜか、戻ってくる時、「しろつめぐさ」という言葉を


   持って帰ってきた。


     何故に・・・シロツメクサ?


    

約束の12時までは


  時間を何度も確認しながら、いつも通りに


   洗濯などをすませ、


   その間に、 空も眺めたが・・・・・


      SSは見えない。



静かで、穏やかな青空が広がっているだけで


  ずっと、風もなく


 長く吊るして 干された、二枚のシーツの間が


  ちょうどいい具合だったので、


   そこに敷物を広げて待った。


 シーツに隠れて見えないが、顔は


  太陽の方を向くようにして坐り・・・



   目を閉じ、


 やがて・・・・


   ふんわりと優しい温かさの


    オレンジの空間に入っていった。



 何度も、深い息をくりかえし・・・・


  次々に、ただ思いつくまま、いろいろな事を祈り


   感謝の言葉をくり返し・・・・


 何よりも、


  今日のこの瞬間を、


   平和な気持ちで迎えている、今という時に


    感謝した。



すると、一年前のちょうど今頃、


  自分の心の中に、ひとつだけ残っていた


   最後の憎しみを、解き放った時のことを思いだした。


 それを、一年たって


  初めて思いだしている・・・・



  心の中を透かすと、


    確かに、もうどこにも それはない。



   きれいに掃除され、開け放たれた部屋の様に


    今は、明るく光が充ち、風が流れている、


   心の中の私は、その真ん中で 横になり


    ゆっくりと、手足を伸ばした。



 そのまま、上を見ると空が見える


   顔を横に向けると、


    家や、庭の樹や、遠くの山がぐるりと


   周りながら見えた。


    何もない、空っぽの部屋は


      とても居心地がよく


    雨戸を開け放った、四方の縁側から


     時折、涼しい風がはいってきて


      部屋をひとめぐりすると


    四本の柱の周りも


     クルクルと回り、出ていった。


    

  私は横になったままで


    「ここには、もうナニも置かない、


     いつでも、ここに帰ってきて、ころんと


      横になれるように・・・・・」


    と、つぶやくと


     やがて、その部屋は消えてゆき、


    坐っている私に戻っていた。



 目を開け・・・


   少しクラクラする頭が、落ち着くのを待って


     ゆっくり立ち上がり


   シーツの間から顔を出すと、


    ベランダの屋根と 柱の三角のコーナーに


      貧弱な蜘蛛の巣が見える、



   その真ん中で、一匹の小さな蜘蛛が


     時折、あるかないかの微かな風にも


   ユラユラ揺れながら


    気長に餌まちをしていた。



  大胆にも、からだ全部を太陽に向けて、悠然と、


   いつくるかもしれない幸運を


     別に気にしてしてる風でもなく


    ・・・・待っている、


      気ままに、風にゆれながら



   「ほぉ・・・・スゴいね、あなた!」


    と感心して 横を見ると、



 そこにも、ついに同じ高さにまで成長した


  イジュの木が、てっぺんの一番元気のいい葉っぱたちを


   ぜんぶ、太陽に向けて勢揃いさせ、


    嬉しそうにしていた。



   「偉いねぇ!・・・というと、


     「 感謝ですよ、ただ素直に 私たちは受け取るだけです、


       喜んで・・・・・ふつうに」


 違うんですか?・・・・と言われてるような気がした。



 目の前の、小さな蜘蛛とイジュの木は


   堂々と、自信あり気で、


  気張らず、自然体で、とても頼もしく見えてきだした。


   「まるで、人生の達人のようだね・・・


     あなた達は、もうずっと先を行ってるんだ!、」


   と言うと、


「さぁ~・・・、私たちはずっと昔から、このままですよ、」


   と、またも、さらりと


  カッコイイ返事が返ってきた。



    「とても敵わないゎ・・・・なるほどね、でも


      自分の周りに、こんなに頼りになる友人たちが、


     居てくださると判って、


       ほんとに嬉しい!ありがとう!


         これからも、よろしくお願いします」


    と言うと、


 「こちらこそ!」


   という声が、四方から一斉に返ってきたような


     気がした。

  


   

   つづく