ユー君がセットになってるので、
着替えさせたり、オムツ替えたりしてると、更に10分、
20分ある、
時計をみながら、準備を終え、
玄関におりたところで、電話が入った。
「 お母さん、どこ!もう外に出た、 スゴいよ!、北の方」
「 えっ、ナニが、北の方って」
「 高千穂の方、UFО雲の大群だよ!」
はきかけのサンダルに、足を取られるようにして
玄関をとびだし、待ち合わせの場所に走って行った。
行きながら、バッグの中のデジカメを確かめ、北を向くと、
なんと、そこには、ほんとに、
見事なクラウドシップの大群が!
雲をまいにち観察するようになって、三か月、
こんなにスゴい数の、UFO雲に出会えたのは
初めてだ!
ウチよりも少し高台になって、広い駐車場がひらけたそこまでたどり着き
あらためて見渡すと、
それは、高千穂、新燃岳の方角から、
前にある山並みを越え、南の桜島の方角に、ゆっくりと
進んでいる。
夥しい数の、さまざまな形の雲の大群は、悠々と、
凱旋行進のように見えた。
いつも見る、白い雲をまとったものもあれば、
グレーの巨大な潜水艦型で真ん中が、絶妙な形にくびれた
美しいモノもあった。
おかしいくらいに形をそろえ、等間隔で行進してゆく丸いモノ、
いつまでたっても、上手く使いこなせないカメラで
あたふたしていると、
後ろで、クルマの音がしてケイさんの
「 お母さん、こっちこっち!」
という声がした。
振りかえり、ケイさんが指さす方角を見ると、
次々に、現れる大きな雲のいちばん奥に、
いかにも!な感じで
それは、姿を現そうとしている、
何層にもかさなっている雲のそのまた後ろに
そろばんの駒を少しつぶしたような、ひし形の雲が、
ひときわ黒く、くっきりと
前の大きな雲から、横すべりしながら現れた、
「 スゴいね!」
「 ねぇ~~っ!・・・・」
その声がきこえたように、左上に、もう一個があらわれた。
「 もう、これはダレが見てもそうでしょ!」
「 ね!撮って!って言ってるみたいね」
「うん、うん、」
自分より腕のたしかなケイさんに、素早くカメラを渡し、
かわりにユー君をうけとる
「 スゴいね~!スゴいよ、ほらほら、 これがさ、ビーナスさん
もっと、リアルに見えるんだよ! どお!」
「 そおなのよね~!、すごいよね!」
「 叫んじゃうね、やっぱり追っかけて走るよ 」
「 うん、走る走る、手振ってね」
夢中で、20回くらい、シャッターを押し、みんなが
南の大きな雲の中に入って行ってからも、
興奮は覚めなかった。
クルマに戻って、今とった映像をチェックする、
「 もっともっと、うまく撮れたらいいのに・・・・」
「 うん、むつかしいね、潜水艦の薄い色の部分が
写ってない・・・」
「 ああ、二人でみるにはもったいないなぁ、」
「 でも、スゴかったね!」
「 思ってると叶うもんだね!、昨日の今日だもの 」
それから、妙見を目指したのですが・・・
つづく