満席になっていた、
「 手がすいたら、私も 話ききたい」 と
言ってた妹も、有難いことだが、
次々と出されるオーダーに、厨房から
出てこれない、
それにしても、満席とは!
これも・・・・きっと、G効果?
肉食、お酒、タバコ、全部を止めて久しいと
言われる Gさんに、
「 何故止めたんですか?」 と聞くと、
答えがない、
一呼吸おいて、
そんなわかりきったことを、という感じで、
私を見て、
「 ぼくは、酒も、肉も大好きなんですよ、
毎日でも食えますよ・・・・
タバコもね、」
そう言いながら、
さっきから、タバコを喫っているSくんの顔を
チラっと見た、
それが答え?
なるほど、止められるなら、それがいいに決まってる、
ただ、それだけのこと、
ほんとにそうだ・・・・・S君も、そのうち
タバコ止めるだろうな、きっと!
そんな風に思わせる、 チラッでした、
話しは 飛び飛びで、慣れてない私は
時々、話の途中で迷子になる、
今と、異次元の世界を自在に
行ったり、戻ったりしながら展開してゆく
Gさんの話は、
本を読んでるようなわけにはいかない、
途中で、まてよ、え~と、これは?
なんていう時間などない、
どんどん、彼のペースで進んでいくのだから
わからないコトは、とりあえず
頭の上にのっけて、遅れないようについてゆく、
それしかない、
というのが、だんだん わかってくる
「 藤田嗣治に会った時ね・・・・」
という話になった、
もちろん、非物質の 藤田嗣治画伯だが
画伯を助手席に乗せ、
どこかを、ひたすら走り続けて、
いた時の事
「 急に、画伯が、ここで止めろ!と言ってね」
それからの三時間あまり、
画伯は、みじろぎもせず、じ~っと、
前を見据えたまま、
ひとことも話さず、坐りつづけたそうで、
「 自分も、そこを離れる訳にもいかないから、
おなじように、三時間・・・・・座ってたよ」 と、
すると、
「 突然、もういいから、クルマ出してくれ、て言うんだ」
Gさんは、
なにが何だか、訳がわからなかったそうですが、
後日、あるところで、
一枚の絵を見ることになります、
それは、画伯とクルマの中から見た、あの風景が
見事に再現された、
正に、その絵だったそうです、
「 天才なんて言われる人は、みんな乗ってるよ」
とGさん、
何に?
UFОに、と
「 ダリの船は、オレンジだったな、嗣治のはこんな」
Gさんの指差した色は、
少し緑がかった、きれいな水色でした、
一緒にのったんですかね、
しばらくして、Gさんは、
来た時と同じように、
フワリと立ち上がると、「じゃ・・・」
と言って帰っていきました、
ダレかに?似てる・・・・いや、なにかに?
ず~っと感じてたけど、
やっと、わかった、
トトロだ・・・・
あ、ごめんなさい・・・・
つづく