ほんとに、嬉しそうだ、
食べかけの 煎餅を、口にくわえたまま、
ガッツポーズを、二回もするほど、
「 どこの、お姫様だろうね?」
「ね、 知りたいけど、すぐ消えたからねぇ、
で、いきなり、きれいな緑の丘に変わってさ 」
「つぎの、ヴィジョン?」
「そう、 丘のず~っと上の方に、
ブロンドでショートカットの、女の子がいた、
12~13歳くらいかな、白のブラウスに、
紺色っぽいジャンバースカート、っていうの?、ほら」
「わかった!アルプスでしょ、民族衣装のね」
「 そうだと思う、」
「 へぇ~~・・・、かわいかったでしょ」
「羊もいたよね!、下の方に 」
ヨーデルでも唄っていたのかな、そのアルプスの女の子、
オモシロイなぁ~
「まるで、ハイジだね!」
「うん、私もそう思った、でも、すぐ消えるのよね、」
「あ、やっぱり・・・、で、次は?」
「これは、スゴかったよ!、 アフリカ!、
・・・だと思う、
ゾウが見えたから、遠くに、シルエットで、
あ、アフリカだ!、と思って、
そしたら、火が見えて、たき火してるようなね、
よくみたら、20人くらいの人が、ま~るく、輪になって
踊ってんのよ、」
「なんだろ?、儀式かな?」
「さあ・・、でも、 とっても楽しそうでさ、
いっしょに踊りたいな、と思ったもん、
いつの間にか、踊ってたんだよね、私も」
「へぇ~、 そこ入って、いっしょに」
「 うん、」 と言って踊ってみせた、
踊るの 大好き、今も週一で、フラ教室に通ってるくらいだから、
ほんとに踊ったんだろうね、
「 ひとり、踊ってない人がいるのよ、アタマと腰にグルっと、いっぱい
羽飾りをつけてて、なんか、こう・・・・石を持って、
こっち向いてるんだけど、目はね、白目むいてた!、」
と、これもやって見せた、
「へぇ~!・・・シャーマンかな?、それ儀式だよ、白目むいてた、っていうのは、
トランス状態になってたのよ、 きっと、」
「 でさ、その石なんだけど、
なんか、見覚えあるような気がしてたんだけど、
今、わかった!、
マイカがお腹に入った時、石体神社にお詣りして、
もらってきた、お守りの石!
白と、黄と黄土色の、しましま模様の、
あれだった! 」
「 ほう、 そうなの! じゃ、マイカちゃんは、アフリカからやって来た、と」
「 そうかもしれない!」
「 アフリカかぁ~・・・」
「 うん・・・」
コーヒー好きのアイさんに釣られて、
ふだん夜 飲まない コーヒーを飲んでしまった、
「一度ねちゃうと 朝まで、大丈夫!と言ってたけど、ほんとね!」
「でしょう!」
二人の寝息をたしかめ、また戻ってくると、
アイさんは、メモの中から、四枚目を 取りだした、
モンゴル、と書いてある、
「 次は、モンゴル?、」
「そお! なんとそうなのよ、モンゴル」
「ふ~ん、 これは・・・・なに?、この丸っこいの、また、石とか?」
「 ちがう、ちがう、 UFО!」
「へぇ~、UFО?」
「 それがね、草原の上の方をスー、って飛んでて、
モンゴルの人達が、二三人で、見てるの、
ふつうの感じで、」
「 ふつう、って・・」
「 だから 、あ、今日もとんでるね~、そうだね、って感じよ、
・・・思ったんだけど、
ここでは、UFОは、しょっちゅう飛んでるんじゃないかな、
ふつうに、でも、みんな他所の人には教えないの、
みんなの 秘密で、UFОも、安心してやってくるみたいな」
「 はぁ~・・・」
「 そんな感じだったもの、びっくりしてるようでもないし、
怖がってもないように見えたよ 」
「 あるかもね、そんなトコも、」
ケイさんは、よく見るみたいで、
UFOの話も何度かきいたけど、
アイさんからは、初めてのUFOばなしです、
「 形はね・・・・あ、そうだ お母さんが飲んでる、薬、あの形」
と言うと、丸いビスケット型の側面に窓を画きこんで、
「 それが、チカッ、チカッて光るのよ、信号みたいに 」
「 それから?、」
「それで終わり」
「 そのヴィジョン、もっと見たかったでしょ 」
「 そうなのよ、でも 見れないのよね、あっという間に消えるから」
「でも、次からつぎへと、・・・よく覚えてたね~ 」
「 うん!、自分でもびっくり、ガイドさんのお蔭かな」
その後に見えたのは、チベットで、
マニ車がまわり、
山の中腹には、紐に結わえた 白や黄色の布が、
風にはためいて いたそうで、
「 いいねぇ~、チベット・・・・」
「 そう、 私もいいトコだなぁ~、
空気がきれいだ~・・・・・と思ってると、
霧の中にいてね 、霧になってた というか、自分が、
それが、細~い、ちいさな銀の糸で、じつは、
ふわふわと、 雲の中に入ったり、
空に浮かんだりしながら、
最後は、光の中に入って行った、
懐かし~い感じで、
あ、自分はここから 来たんだな!
というのが わかったよ 」
つづく