2024/09/04 東京読売新聞

 ◆訓練や家事の様子 克明に 
 10歳代の青少年が満州(現中国東北部)の開拓や警備を担った「満蒙開拓青少年義勇軍」の実態を描いた漫画の企画展が、水戸市の市内原郷土史義勇軍資料館で開かれている。

 企画展は、青少年義勇軍の元隊員で2005年に亡くなった愛知県出身の細井芳男さん(享年81歳)が、戦後に隊員時代を思い出して描いた漫画と原画19点を展示している。

 資料館によると、青少年義勇軍は、昭和恐慌などで貧しくなった農民らを満州に移住させる「満蒙開拓」を背景に整備された。志願したり、教師に勧められたりした全国の主に10歳代後半の青少年約8万6000人が満州に渡ったとされているが、徴兵やシベリア抑留などで日本に戻れなかった青少年が多数いたという。

 細井さんの漫画は2冊からなる。全国で唯一設置された青少年義勇軍の訓練所での様子を描いた「内原版」(40ページ)と、満州での様子を描いた「満州版」(120ページ)がある。

 企画展では、漫画を1ページずつ印刷して展示している。隊員が農業や軍事訓練をしたり、食事や裁縫などの家事に取り組んだりする姿がよくわかる。

 資料館の職員は「高齢化で語り部が減っており、次代にどう伝えていくかが課題。企画展を青少年義勇軍について知るきっかけにしてほしい」と話している。

 企画展は23日まで。月曜休館(月曜が休日の場合は開館し、翌日休館)。午前9時~午後4時45分。入場無料。問い合わせは市内原郷土史義勇軍資料館(029・257・5505)。

 写真=青少年義勇軍の実態を描いた漫画が展示されている企画展(市内原郷土史義勇軍資料館で)