2024/08/07 中日新聞朝刊 伊那

 【長野県】「反核・反戦・平和のつどい」が6日、伊那市荒井のいなっせで開かれた。阿智村の満蒙開拓平和記念館の三沢亜紀さんによる講演会もあり、来場者約40人が平和の大切さを学んだ。

 県教職員組合上伊那支部などが主催し41回目。毎年、戦争に関係する講演会を合わせて開催しており、今年は多くの犠牲者を出した満蒙開拓団について知ってもらおうとテーマに選んだ。

 満蒙開拓団は、全国各地から旧満州(中国東北部)へ入植させた国策で、県内からは最も多くの人々が送り出されたとされる。

 三沢さんは開拓団について、定められた人数を送り出すため地域内で勧誘活動などもあったと解説。「地域が担った国策だったので、本人や残された家族はもちろん、よかれと思い勧誘してしまった人など地域全体を傷つけた」と指摘した。

 敗戦間近に開拓団が避難する道中の様子も紹介。体力の劣る子どもが、見捨てられたり、川を渡る際に流されたりした凄惨(せいさん)な状況を解説すると、息をのんだ様子で耳を傾ける参加者もいた。(鬼頭穂高)