2024/06/25 信濃毎日新聞朝刊 
 中野出身立命大生・下田さん、曽祖父母の移民経験などで関心 県内や群馬で証言・資料集め 京都で10月から展示

 中野市出身の立命館大国際関係学部4年、下田千倖(ちゆき)さん(22)=京都市=が、戦時中に満州(現中国東北部)へ渡った開拓移民について証言や資料を集め、10月から同大の国際平和ミュージアム(京都市)で展示する。所属する「立命館大学新聞社」の学生3人と準備中で、テーマは「戦争を語り継ぐ私たち」を予定。「未来に生かすため、戦後世代にも満州について知る責任がある」と話している。

 下田さんは大学1年の冬、日中の学生が議論する催しに参加。「日本の若者は歴史や政治に無関心で無責任。だから日本人と仲良くしたくない中国人がいる」との中国人学生の発言が胸に残った。中野市南宮中学校時代に地元の高社郷(こうしゃごう)開拓団について学習。曽祖父母が満州で結婚し、戦後に引き揚げてきたと知り、開拓団について調べ始めた。

 2022年に群馬県の「群馬満蒙(まんもう)開拓歴史研究会」の学習会に参加。満州移民を推進した旧日本軍の軍人、東宮鉄男(とうみやかねお)(1892~1937年)を大叔父に持つ会長、東宮春生さん(71)=群馬県みどり市=に協力を依頼し、同県の開拓団も調べてきた。

 長野など全国11県から渡った弥栄(いやさか)村開拓団で生まれ育った前島進さん(88)=安曇野市穂高牧=をこのほど、前島さんと親交のある東宮さんと共に訪問。同開拓団は昭和初期に開拓移民の第1弾として渡っており、現地での暮らしぶりなどを聞いた。

 「何を食べていましたか」と下田さんが尋ねると、「キジがうまかったね」と前島さん。広い土地を耕すため、日本人1家族で現地住民の2家族を雇っていた―などとした。下田さんは8月にも前島さんを再訪し、引き揚げ後の生活を聞く。「満州から今の私たちが何を学べるか、まだまだ分からないことは多い。もっと勉強したい」と話した。展示は10月21日~11月2日。