2024/06/13 朝日新聞/岡山県

 満州移民の歴史や、中国から永住帰国した人たちの現状を学ぶ「中国残留日本人の体験を聞く会」が15日、岡山市北区の岡山国際交流センターである。帰国者を取り巻く環境や生活への理解を深め、共に生きる社会につなげようと、県内で初めて開かれる。

 国から委託を受ける「中国・四国中国帰国者支援・交流センター」(広島市)や有識者らでつくる実行委員会が主催する。同センターによると、中国からの永住帰国者は子や孫の世代(2世や3世)でも、長く暮らした現地での生活や教育が身に付き、日本社会になじむのが難しい。言葉の問題もあって職業が限られることもあるという。

 帰国者は高齢化も進んでおり、ある2世の女性は「1世や2世は介護を利用せざるを得なくなっている」と明かす。ここでも言葉の壁があり、食事面も含めて問題が生じるケースがあるという。

 15日の聞く会では、広島大の河本尚枝准教授が、中国残留の歴史や永住帰国後の生きづらさについて解説し、3世の語り部も中国残留体験を話す。戦前の満州の様子を記録した映像も上映する予定だ。

 同センターに登録する帰国者は広島県に232世帯400人おり、中・四国地方で最多だ。聞く会は2013年秋から始まり、これまで同県内を中心として17回開かれてきた。今回、60世帯117人がいる岡山県でも初めて開催されることになった。

 聞く会は午後1時~3時。同時開催の「満州移民の写真・パネル展」は午前10時半~午後3時半。いずれも無料。聞く会は前日までに要予約(QRコード)。問い合わせ(申し込みも可)は同センター(082・250・0210)へ。(北村浩貴)
 【写真説明】
 広島県内で今年1月開かれた「中国残留日本人の体験を聞く会」=いずれも中国・四国中国帰国者支援・交流センター提供
 中国残留日本人の帰国者の切り絵作品