2024/06/12 徳島新聞朝刊

 徳島市国府町生まれの中国残留孤児で、内モンゴル自治区の植林や教育支援に携わっている烏雲(ウユン)さん(86)=日本名・立花珠美=が9月に5年ぶりに帰国する予定となり、地元の北井上中学校で半生を学ぶ講演会が開かれた。

 「烏雲先生をたたえる市民の会」の生田治夫代表委員と藤原学事務局長が同校を訪れ、全校生徒61人を前に生田さんが講演した。兄を徳島に残して家族5人で渡った旧満州で、旧ソ連軍の侵攻を受けて7歳の烏雲さんだけが生き延びたことや、中国人養父母が行商をして学費を稼ぎ、中学校教師になったことなどを説明した。

 生徒を代表して3年矢野湊士さん(14)が「家族を亡くすと生きていくことさえ難しい。それでも勉強して教師になった烏雲先生はすごい」と感想を述べた。

 講演会は7日にあった。烏雲さんが前回に帰国したのは2019年。それ以降は新型コロナウイルス禍などで見送られていた。烏雲さんの縁で、北井上中は中国内モンゴル自治区の庫倫旗(クーリンキ)第一中学校と姉妹提携を結んでいる。