2024/04/24 信濃毎日新聞
 1025団体の出身・死者数など19項目

 下伊那郡阿智村の満蒙(まんもう)開拓平和記念館は、全国各地から満州(現中国東北部)へ渡った千以上の開拓団や満州開拓青年義勇隊などについて、名称や入植地域、在籍者数などのデータを一元的にまとめ、25日から同館ウェブサイトで公開する。全国から約27万人が送り出され多くの犠牲を生んだが、各団体の情報を網羅したデータベースはなかった。横断的な検索などができるようになり「調査や研究に生かしてほしい」という。

 記念館は、満蒙開拓に特化した全国唯一の資料館。公開するデータは、全国の開拓団や青年義勇隊の他、食料生産のための「報国農場」、開拓民の男性の配偶者を養成するため設けられた「開拓女塾(じょじゅく)」などが対象。入植地域などに加え、送出母体、在籍者の出身の県や市町村、死亡者数など19項目を、エクセル形式のファイルにまとめた。

 2013年4月の開館後、各地から地域の開拓団の概要について問い合わせが寄せられた。所蔵資料で調べて情報提供を重ねる中で、データの一元的な管理が必要と判断した。「全国の開拓団の情報をまとめてほしい」と期待する声も寄せられていたという。

 「満洲開拓史」(1966年刊行)と「満州 1945年」(86年刊行)にある記述を基礎に、各地から寄贈されるなどした資料でデータを補完。記念館で活動するボランティアグループ「ピースLabo.(ラボ)」の協力を得てデータを入力してきた。新たなデータが分かるたびに更新しており、公開時には1025団体について情報提供する。データは抽出や並べ替えなどができる。

 開拓団の基礎的なデータは1950年に外務省が各都道府県に調査。満洲開拓史は、それを基に約800団体の在籍者数や敗戦後の越冬地などを載せている。ただ、団幹部や資料を持つ人の行方が分からないことなどから、対象としたうち約1割は「調査未完了」とされ、全体像は把握できていなかった。

 データの公開日は、記念館の開館11年に合わせた。事務局長の三沢亜紀さん(57)は「全国から貴重な資料や情報が集積しつつある。唯一の資料館として社会からの期待に応え、役割を果たしていきたい」と話している。