2024/03/26 中日新聞朝刊 地方版(アルプス総) 

 【長野県】阿智村駒場の満蒙(まんもう)開拓平和記念館が、戦中に旧満州(中国東北部)にわたり旧ソ連参戦による逃避行を経験した佐久市の三石忠勇さん(91)が描いた水彩画などの展示を始めた。5月6日まで。

 三石さんは1939年、家族と旧満州・黒台信濃村に移住。45年8月9日の旧ソ連参戦で、他の団員とともに避難を余儀なくされた。展示しているのは水彩画18点、油絵1点。空襲に前脚を上げて驚く馬、牛馬に引かせた大八車とともに長い道程を徒歩で進む団員たち、足の痛さを訴える子どもの手を引く母親などが描かれ、壮絶な状況だったことが分かる。

 三石さんは、46年の引揚げ後に絵画を始め、逃避行や難民収容所生活を描いている。油絵の多くが佐久市教委に、原画となる水彩画が満蒙開拓平和記念館に寄贈されている。同館は「終戦時の状況を伝える体験者の絵画は貴重」として来館を呼びかけている。(問)同館0265(43)5580(近藤隆尚)