2024/02/20 信濃毎日新聞
 ゆかりの人物の学習会、市民に定着 来月有志で阿智の記念館訪問

 飯山市で満蒙(まんもう)開拓をテーマに平和を学ぶ市民学習が定着してきている。同市は、合併前の旧町村部の住民らで構成する「下水内郷開拓団」が戦前、旧満州(中国東北部)に入植したが多くの人が亡くなった歴史がある。市教育委員会は、現地の日本人引き揚げに尽力した同市出身の丸山邦雄さん(1903~81年)の功績を学んだり、満蒙開拓平和記念館(阿智村)の見学会を通じたりし、平和の尊さを考えてほしいとしている。

 市教委などによると、現在の飯山市からは1008人が満州へ渡り、帰還できた人は398人だったとされる。旧満州で終戦を迎えた丸山さんは、旧ソ連の占領下の残留日本人の現状を知らせようと満州を脱出。引き揚げ船の運航を連合国軍総司令部(GHQ)に要請した。ラジオ放送でも、その窮状を訴えた。

 飯山市は2021年度、同市の新幹線飯山駅前の公園に丸山さんの功績をたたえるブロンズ像を建立。市教委も丸山さんの生涯や日本人の引き揚げについて解説する副読本を作り、市内の小中学生に配布した。今は丸山さんに関する漫画作りを進めている。

 市は昨年度、満蒙開拓平和記念館が自治体と協力して歴史を継承する取り組み「自治体パートナー制度」に登録。これをきっかけに、市公民館は同市の住民らがバスで同館を訪れる見学会を開催。今年も3月7日に生涯学習「飯山雪国大学」の一環と位置付けて2回目を企画。19日に申し込み受け付けを開始した。

 見学会は市民向け。午前9時に公民館を出発して平和記念館に向かい、午後1時から学習講話やDVD鑑賞を通じて史実を学ぶ。無料。同公民館長の村松直昭さん(61)は「かつてあったことを学ばないと記憶が薄れてしまう。学習して、これからの未来に生かしていきたい」と参加を呼びかける。29日までに公民館(☎0269・62・3342)に申し込む。