2010/10/31 毎日新聞 /島根

 30代の私にとって「2・26事件」は、教科書で習った歴史上の出来事に過ぎなかった。しかし、永谷園のCMでおなじみの人間国宝、五代目柳家小さんが二等兵として事件に加わっていたと知り、途端に歴史がつながったように感じたことがある▲先週、ドキュメンタリー映画「嗚呼 満蒙開拓団」を見た。開拓団の存在や、その結果としての「中国残留日本人孤児」については、歴史的事実として知ってはいた。が、やはり、私にとっては「歴史上の出来事」に過ぎず、深く知ろうとはしなかった。それを恥じると同時に、「歴史的事実」として知っていることと、自分に連なる「生きた歴史」として知ることの違いを改めて考えさせられた▲それは、すべての歴史体験の継承に言える。自分には関係のない過去の出来事、「歴史的事実」として「大変だった」で終わらせては、本当の意味での継承にはならない。いかに、自分に連なる「生きた歴史」として、痛みを感じられるか、また、報道できるか、が問われる。【上村里花】