2010/10/30 毎日新聞 /京都

 ◇懐深い人間育成目指す
 学区内に中国残留孤児の帰国者やその家族らが多く住む京都市立小栗栖小(伏見区)。全校児童185人のうち41人が、中国、韓国・朝鮮、フィリピン、エジプトに国籍またはルーツがある子供たちだ。同校では95年に日本語教室を開設するなどし、言葉のギャップを埋め、日本人の児童と同じスタートラインに立てるよう、きめ細かい指導を行っている。
 さらに、08年からは、保護者や地域住民も含めて相互理解を深めるための多文化共生教育を進めている。
 森丈太校長は「さまざまな人や文化との出会いは、懐の深い人間を育てるチャンス。外国籍などの子供たちにも『ハンディではない、二つの国につながる豊かさととらえよう』と指導している」と語る。
 昨年は、同校の教職員が中国からの帰国者の体験を基にした劇を上演、話題となった。今回は、市国際交流協会と連携。国際理解プログラム(PICNIK)の一環で、京都大などで学ぶ留学生が来校し、各クラスで自国の生活や文化などをわかりやすく紹介した後、体育館で「多文化のつどい」を開催。児童のほか、保護者や地域の住民ら約120人が、韓国・朝鮮、エジプト、フィリピン、中国の留学生らによる民族色豊かな歌や踊りなどを楽しんだ。
 締めくくりは同校教職員による「豊年太鼓」。豊作を祈願する農民らの様子を短い劇で紹介した後、力強い和太鼓の演奏を披露した。勤務の合間をぬって練習し、本番に臨んだ教員らに、児童や父母らは大きな拍手を送った。
 5年生の加賀城彪雅(ひょうが)君(11)は「先生たちの太鼓が迫力があってよかった。カンフーも、手足が素早く動いてびっくりした」と話し、目を輝かせていた。【野宮珠里】
 写真説明 「多文化のつどい」で和太鼓演奏をする小栗栖小の教職員ら=伏見区の小栗栖小で