2010/10/23 西日本新聞朝刊
日本に対して良くない印象を持っている中国人の割合が、1年前に比べ「9ポイント強減って56%になった」とする世論調査結果が今年8月に報道された▼中国日報社が6―7月に大都市で1600人余から回答を得た。同時期に日本のNPO法人「言論NPO」が日本で行った調査では、中国に良くない印象を持つ人の割合は1年前とほぼ同じ72%だった▼中国での改善は「映画やドラマの影響が大きい」という。別の報道によると、昨秋からテレビドラマ「小姨多鶴」(多鶴おばさん)が高視聴率を得た。中国残留孤児の日本人女性の物語だ。日本人が戦争被害者として描かれている▼先週から中国の地方都市で続けて起きた反日デモに、対日感情が一通りでないことを知らされた。例の中国漁船事件をめぐる日本側の対応に抗議している。「政府公認」とみる向きもある。若い層の参加が目立つ▼「愛国主義教育を受けた層」でもある。十数年前に江沢民体制下で行われた小中高生向け「反日教育」を指す。劇場・テレビ用の抗日映画も量産された。この教育を受けた層は、年齢がずっと高い層より反日感情が強い、と聞く▼時に暴徒化する反日デモは、冒頭に触れたように日本の印象を変え始めた人たちをも惑わせながら、事あるごとに顔を出す。そんな感じで両国関係は進んでいくのだろう。今の中国の子どもたちに、日本と日本人について教えたいことがたくさんある。
日本に対して良くない印象を持っている中国人の割合が、1年前に比べ「9ポイント強減って56%になった」とする世論調査結果が今年8月に報道された▼中国日報社が6―7月に大都市で1600人余から回答を得た。同時期に日本のNPO法人「言論NPO」が日本で行った調査では、中国に良くない印象を持つ人の割合は1年前とほぼ同じ72%だった▼中国での改善は「映画やドラマの影響が大きい」という。別の報道によると、昨秋からテレビドラマ「小姨多鶴」(多鶴おばさん)が高視聴率を得た。中国残留孤児の日本人女性の物語だ。日本人が戦争被害者として描かれている▼先週から中国の地方都市で続けて起きた反日デモに、対日感情が一通りでないことを知らされた。例の中国漁船事件をめぐる日本側の対応に抗議している。「政府公認」とみる向きもある。若い層の参加が目立つ▼「愛国主義教育を受けた層」でもある。十数年前に江沢民体制下で行われた小中高生向け「反日教育」を指す。劇場・テレビ用の抗日映画も量産された。この教育を受けた層は、年齢がずっと高い層より反日感情が強い、と聞く▼時に暴徒化する反日デモは、冒頭に触れたように日本の印象を変え始めた人たちをも惑わせながら、事あるごとに顔を出す。そんな感じで両国関係は進んでいくのだろう。今の中国の子どもたちに、日本と日本人について教えたいことがたくさんある。