2008/11/16 東奥日報
中国残留孤児への新たな支援法が成立してから一年。四月から老齢基礎年金と生活支援給付金を合わせ、単身世帯で月額最大十四万六千円の支給が始まった。だが、一定以上の世帯収入があれば給付金が支払われないため、所得のある子供との同居もままならず、支援法への不満は多い。言葉の壁による低収入や病に苦しむ孤児の姿も相変わらずだ。
支援法のほころびが目につく中、今年も女性二人と男性一人が十七日に一時帰国し、肉親捜しに臨む。
神戸大の浅野慎一教授が七月、中国残留孤児が国家賠償を求めた訴訟の兵庫県内の元原告五十人を対象に行った聞き取り調査では、改正支援法について「問題ない」と回答したのはゼロだった。
不満が多かったのは、複数回答で「国の責任が不明確なまま」が三十三人、「中国に行くとき期間・目的に制限がある」が三十二人、「収入認定があり、子供と同居できない」が二十一人など。
また、四十八人が何らかの障害や病気を抱え、うち十五人が日本語の壁や交通費などの経済的負担を理由に「通院が十分でない」と回答。四十一人は月の収入が二十三万円未満だった。
北海道、東京、京都、大阪の計十数人に行った調査でも全員が同様の不満を訴えたといい、浅野教授は「新支援法の不備の多さが浮き彫りとなった」と話している。