2008/09/18 神戸新聞
中国残留孤児生活実態調査 言語の壁、通院の妨げに 9割「病気、障害ある」
兵庫の守る会 県に要望書提出
中国残留孤児と支援者でつくる「中国『残留日本人孤児』の尊厳を守る兵庫の会」(宗藤泰(たい)而(じ)代表)は孤児ら一世に実施したアンケートの結果をまとめ十七日、兵庫県に対し、調査結果と要望書を提出した。「孤児の九割以上に病気や障害があるが、受診は半数」といい、日本語の壁が通院の妨げになっているという。同会は県に、中国語が堪能な二世の支援相談員の採用を要望した。(小西博美)
七月上旬、残留孤児ら計五十人に健康や生活実態、支援策など約二十項目を聞き取るなどした。
それによると、残留孤児の96%、配偶者の91%が「複数の病気や障害を抱えている」と回答し、うち約三割が「通院が不十分」と答えた。理由としては「日本語で病状を説明できない」「医師の説明が分からない」といった言葉の壁のほか「病院への付き添いがいない」などが挙がった。
また、四月から設置された支援相談員について34%が「相談した」と答えたが、そのほとんどが、中国語ができる二世の指導員がいる尼崎、明石市内の孤児だった。
これを受け、同会は県に「二、三世の支援相談員や自立を支援する通訳の採用」などを要望。孤児の意見や要望を直接聞く機会を設けることや、日本語教室の支援拡大も併せて求めた。
県の担当者は「二、三世の支援相談員を積極的に配置し、自立支援通訳も拡充したい。中国語ができる医療機関などのリストアップも進めている」と話し、要望に前向きな姿勢を示した。
県は十九日、支援相談員や通訳らを集めた「県地域生活支援プログラム連絡協議会」を開き、新たな支援策を提示するという。
【写真説明】中国残留孤児への支援策などを県に要望する支援者と孤児ら=神戸市中央区、あいおい法律事務所