2008/08/18 毎日新聞阪神版
◇言葉の問題で通院が不十分
県内に住む中国残留孤児の9割以上が健康問題を抱えており、このうち約3割が言葉の問題などから「通院が不十分」と感じていることが、孤児ら50人を対象にしたアンケート調査で分かった。また、4月から支援策の一環として始まった給付金(単身で月最高約8万円)の受給要件についても、9割が不満を感じており、専門家は「孤児の声を真剣に受け止め、制度を改善していくことが重要」と指摘している。
孤児と支援者らでつくる「中国『残留日本人孤児』の尊厳を守る兵庫の会」(神戸市東灘区)が17日、調査結果をまとめた。
その結果、孤児の96%が自分の健康、91%が配偶者の健康に不安を訴えた。医療面での具体的な問題(複数回答)としては▽「日本語で病状を説明できない。医師の説明が分からない」(36人)▽「病院に付き添いで一緒に行ってくれる人がいない」(17人)▽「通院交通費が高額」(14人)――など。
また、給付金については無回答(5人)除く45人が不満を訴えた。具体的には(複数回答)▽「中国に行く時に、期間(原則1~2カ月)、目的(親族訪問など)に制限がある」(32人)▽「資産保有や年金などの制限が厳しすぎる」(22人)▽「毎年、収入を調べられる」(21人)――などが挙がった。
結果を分析した神戸大大学院の浅野慎一教授(社会学)は「病院に行けず我慢している間に手遅れになってしまうケースもある。行政は、孤児の声を聞きながら実態に即した形で支援策を運用し、改善していくことが必要だ」と指摘している。【樋口岳大】