2008/08/19 神戸新聞
中国残留孤児らの生活相談を受け付ける「支援相談員」に、孤児二世の採用が兵庫県内の自治体で相次いでいる。孤児らの生活支援を充実させる改正中国残留邦人支援法が一月から順次施行されたため。残留邦人が住む兵庫県内十自治体中、尼崎をはじめ、明石、宝塚、伊丹の四市で採用された。高齢化が進み、今も「言葉の壁」に悩む孤児にとって二世の存在は心強く、相談員らは「親の苦労を見てきただけに、きめ細かく支援したい」と話す。(飯田 憲)
改正中国残留邦人支援法施行を受け、国は新しい支援策を開始。四月から、支援相談員制度のほか、国民年金の満額支給と月額最大八万円の生活支援給付金の支給などを実質的に始めている。
県によると、県内の残留邦人は八月現在、百八十一世帯。うち百十七世帯が給付金の支給対象にあたる。支援相談員は給付業務の窓口になり、各世帯を訪問して悩みなどを聞く。日本語が不慣れな孤児が多く、高い中国語能力が必要という。
最も対応が早かった尼崎市は、支援・相談員を嘱託職員として採用する残留孤児二世の女性(37)=宝塚市=を採用した。
女性は十八歳まで中国で育ち、帰国後、残留孤児の母親の背中を見てきた。市内で暮らす約二十世帯に対し、週四日、病院に付き添ったり、健康不安などの悩みを聞いたりする。「病院や銀行で日本語が通じず、用を済ませないまま帰ってきた母の姿が忘れられない。ほかの孤児の方を支えたい」と話す。
ほかに生活支援給付金の対象となる孤児が住むのは神戸、明石、西宮、芦屋、伊丹、宝塚、姫路、加古川、篠山の九市。うち明石、宝塚、伊丹では八月までに、残留孤児二世に支援相談員を委嘱した。いずれも「孤児への理解と、専門性を持った人材が必要」という理由からだ。
県は、これらの市と孤児への支援策を協議する「支援連絡会」を五月に設置した。これまでの活動を踏まえ、今後、各市の支援相談員の研修をする。県社会援護課は「支援相談員がまだ配置されてない自治体もあるが、ニーズに沿った対応ができる二世の採用は望ましい」としている。
《写真説明》
孤児を対象にした日本語教室で、日本語を教える2世の支援相談員(右)=尼崎市西難波町6、尼崎市立中央公民館
