朝から家を飛び出し、金沢区へと出かけました。

金沢区の歴史はとても古く、栄区同様有史以前より渡来系の高度な文化圏が形成されていた痕跡が多く残されています。
金沢の名称の由来も、呼んで字の如く「かねさわ」、鉄を産出する土地柄であったことが想像できます。
今日では、マリンスポーツを楽しむ観光客で賑わい、ヨットハーバーやショッピングモールなど大規模な商業施設が立ち並んでいます。
中でも、子供たちに人気の八景島シーパラダイスは、はまっ子の憩いの場として金沢区を語る上で無くてはならない存在です。

八景島では、週末ということもあり、特別なイベントが開催されていました。



この鮫はアオザメという種類で、ハワイ沖でマグロの延縄漁の操業中にあがった個体だそうです。
冷凍状態で日本に運び込まれ、今朝解凍されたばかりだといいます。



サイズは小さいのですが、歯を見ると迫力があります。

ちなみに、柄前に用いられる鮫皮は、この鮫の表皮ではありません。
インド洋などに生息するエイの皮です。

ちなみに、今日は本郷台駅前で、JAZZフィスティバルが開催されていました。



地域住民が、積極的にイベントを開催する試みは、住民としてとてもうれしいです。
刀剣の研磨には、大掛かりな作業場が必要です。
刀を研ぐ時多くの水を使うことから、排水機能を持たせた装置(舟)の上で作業を行うからです。



舟は常に湿っているため、定期的な防水処理で、表面に合成漆を塗ります。

本漆よりも取り扱いが安易で乾燥が速いので使っていますが、若干臭いが残ります。
エクステリアに使われるペンキの方がいいのかな?とも思いますが、なかなか試す機会がありません。

というわけで、舟が乾くまで、研ぎは一旦休憩。
その間、郊外にあるホームセンターへ買い物に出かけました。

場所が遠いので年に一度くらいしか買出しには行きませんが、こちらの店舗は手芸用品からマニアックな電動工具まで品揃えは豊富です。



ここで購入したことはありませんが、内曇まで手に入ります!

基本的に当工房で用いる工具は、全て自作です。
特に特殊なノミや彫刻刀などは、ヤスリなどの工具鋼を鍛造整形して、好みの硬さに焼き入れ・焼き戻しをして使っています。
とはいえ、自作しようにも材料は必要ですので、ホームセンターで入手する次第です。

舟が乾くまで、数日かかると思いますので、その間拵え工作に移ります。
南蛮鍔に加工を施しました。



ほとんど象嵌が落ちてしまい、鉄鍔状態の南蛮です。
本来、象嵌加工がされていた箇所に金をのせます。

いつでも元の状態に戻せる様に、加工しました!
現在修復中の軍刀のハバキが完成しました!



当初、持ち込まれたときにハバキは付いていましたが、あわせ物のハバキでした。
そのハバキは、呑込み部の棟区の重ねこそ合っているものの、刃方の接着面の一部が切り開かれて刃先が顔をのぞかせている状態です。
このままでは刃区が破損して、刀身全体に悪影響をおよぼしかねないため、新規にハバキを作ることにしました。



左が付属されていたあわせのハバキ、右が新しく作った太刀ハバキ。

あわせのハバキに合わせて軍刀鞘の鯉口が変形しているため、若干不服ですが、ほぼ同寸法・同形状の太刀ハバキを作ることにしました。

今回は、軍刀身に別の軍刀拵え(バラバラの部品の集合体)を着せるため、かなり大掛かりな修復を行っています。
この砥石は、インドネシアで入手しました。



荒さは、改正から名倉あたりで、力強く刀身を当てるとサラサラと砂状になってしまいます。
すこし軟らかい気がしますが、刀身にはやさしい砥石です。

ちなみに、現地では200円ほどで手に入ります。

おそらく、日本の砥石のように、堆積した地層が強い圧力で石化して時間を掛けて隆起してきたものではなく、火山灰などが積層して硬化したものだと思います。

刀剣用の砥石は、京都でしか産出されませんがほとんど枯渇しており、危機的状況であることが知られています。
海外の天然砥石については、調査している人が皆無なので、これからの調査が待たれます。
昭和刀の修復に取り掛かります。

前回の現状紹介において、一番気になっていた鞘の修復を行ないます。



特に、後家鞘と刀身の反りの違いを補正することが目的です。
軍刀の鉄鞘には、鯉口金具を留めているマイナスネジが内蔵されています。



鯉口金具の刃方と棟方にそれぞれ一つずつネジ(とても小さな部品)で留まっていて、外すと鯉口金具が外れます。



中の入子を取り外します。
この時、錆びついて抜けにくい物や入子が腐っている場合もありますので、慎重に取り外してください。



取り外して入子の状態を確認し、錆を呼んでいる箇所は完全に錆を除去し、必要に応じて漆で補修を施すことも忘れてはいけません。また、入子の破損が著しい場合には、入子を作り直さなければなりませんが、この度の鞘はそこまで状態は悪くありません。鉄鞘の内側に錆止めの刀剣油を均等に塗ることも忘れずに!

入子を刀身に合わせて加工します。



再度組み立てて、刀身がしっかり収まることを確認します。
次は、太刀ハバキを作成します。
観賞用の拵えでは定番の諸摘みの柄巻きです。



今回は、鮫皮を巻く部分に金襴緞子を巻くことで、荘厳さと華やかさを表現しました。

通常の拵えよりも高級感が際立つのが最大の特徴です。
日本刀の柄前として製作する場合には、強度面の不安がありますので、柄下地の木材の変更など検討が必要です。
鞘の修復を施しました。



このお刀は、10数年前に京都で買い求め、外装を製作し抜刀に用いてきた愛刀です。
http://www.geocities.jp/kosiraeshi/No-4.html

若干重たいものの健全で、良く練られた地金と刃中の働きがすばらしく、いずれ研ぎ上げるつもりでいたのですが、「譲って欲しい!」というご依頼を受け、泣く泣く手放すことになりました。

before

しかしながら、長年武道に使ってきたこともあり、鞘は鯉口に若干の亀裂があります。
このままだと、いずれは修復が必要なため、補強を兼ねて加工を施してからお渡しすることにしました。

鯉口部の補強のために、鯉口金具を銅で製作し、鞘の3分の1ほどを鮫皮で包んで研ぎ出し、全体を石目から蝋塗りに変更しました。(同時に鍔変更)

after

今回の修復では、差裏の鮫皮研ぎ出し部の繋ぎ目に強度を持たせるための検討を重ねました。



通常の研ぎ出し鞘の様に、差し裏側の同一箇所で合わせずに、繋ぎ目を写真の様に分散しました。



想像以上に時間と労力がかかりましたが、これで簡単に壊れることはないでしょう。

今回、今までに手掛けた外装加工代と研ぎ代のみでお譲りすることになってしまいましたが、私にとってはプライスレスな価値がある一振りなのです。
それだけ私の思い(重い?)がこもっていますので、大切にしてくださることを願ってやみません。
現代製の鋳物金具に、手を加えました。



時々見かける典型的な鋳物の目貫ですが、バリを取り除き金銀の鍍金を施します。

表目貫には金を用いて、裏目貫には銀を用いて仕上げました。

安物の金具でも、若干の手間をかけると、割と見栄えが良くなるという実例です。
薬品などを用いますので若干危険を伴いますが、一つの手法としてご紹介します。
明日より、長期の海外出張へ出かけます。

コーディネーターの不手際により、ほぼ現地スタッフとのコンセンサスが詰められていないことが発覚。
急遽、刀掛けを大量に持参することといたしました。



コーディネーター曰く「現地で、のこぎりと木材を用意します」と意味不明なことをいっているので、埒が明かないため持って行くほかないでしょう。

これだけの数となると少し重たいです。
うちにストックがあってよかった(汗)!