引き続き、錆身の研磨です。



金剛砥という荒い砥石を用いて錆を除去しつつ、刀身に整形を施します。
ちなみに、金剛砥石は全て人造です。江戸時代には用いられていませんでした。
おりが早いので、素人の方は絶対に用いないでください!



当たり前ですが、放置された期間が長ければ長いほど錆の浸食が深い相にまで達します。
この度のお刀は、裏面にまで抜けそうなほど錆が深く、完全に除去すると刀身が痩せてしまいます。
ある程度錆傷を残すことで、健全な部分の刀身を残す努力をしなければなりません。

刀剣修復でよく言われることですが、「良い研ぎとは、研がないこと」というのが鉄則です。
古いお刀を持ち込まれて、「武道には重いので樋を彫ってくれ!」などという方が時々いらっしゃいます。
骨董価値のある刀身は、今日残っていることだけでも奇跡的なことですし、何世代にもわたって日本人が大切に扱ってきた結晶として現存しています。
ご自身が使い難いからといって、樋を彫ったり摺り上げたりする行為は、大きな傷をこしらえるに等しく、日本人が代々培ってきた文化や伝統を否定する行為に他なりません。
ぜひとも、刀剣の取り扱いには、お気をつけください!
錆びた日本刀の修復です。

刀身の修復というと、根本的に研磨作業以外にはありません。
つまり、修復を施せば施すほど、刀身はすり減ってしまいます。
一度すり減った鉄は元には戻せませんので、修復=破壊行為にもつながるという、非常に怖~い作業です。
絶対に、安易な気持ちで「錆を落としてみよう」とか、「研いでみよう」と思わないで下さい!
愛刀の価値を著しく下げるばかりか、今日まで残った奇跡的な文化財を破壊してしまう可能性があります。



只今研磨中のこのお刀は、壮絶な錆身状態で私の元へやってきました。
もちろん、素人工作による破壊が進んでおり、初見時に涙がこぼれました。

完全に元には戻りませんが、しばらく付きっ切りで看病してやろうと思う次第です。
久しぶりの白金作業です。

この工作では、金属を切ったり削ったりする工具が必要です。
そして、何といっても火を使います(火を用いる作業というのが、外装職人にとっては楽しい一時です)。

白金が、外装工作の中では最も騒々しい作業になりますが、日頃木材を加工したり刀身を研磨していると、無性に金属を加工したくなります。

というわけで、ハバキの製作中です。
ある程度の形状に加工した銅板を刃方でロウ付けし、ヤスリで整えてみると・・・。



痛恨のミス!銀ロウがうまく流れていませんでした。
久しぶりの作業だと、腕が鈍っています。再度部分的に火をかけて・・・。



今度は大丈夫そうです!

あとは、カタチを整えて完成です。
昨今人気の高い天正拵の製作に入ります。
今月は、来客や外出する用事が多く、月の半分以上を刀剣工作に費やす事ができませんでした。



若干焦り気味なので気がはやりますが、こういう時こそ落ち着いて工作に専念しなければなりません。

当方の設計理念は、刀身の本来持つ性能を最大限に活かすことと、使用者様のお身体にあった外装の製作・修復を掲げています。

外装の良し悪しというのは、なかなか判りにくい部分ではありますが、使用者様と刀身をつなぐ唯一の装置ですので、お使いいただければ一発でその違いを体感頂けるはずです。

というわけで、柄下地の掻き入れが終わり、
続飯(そくいい)にて張り合わせました。
ちなみに、
続飯を作る時、朝一番に炊いたご飯を用いること!と言われています。なぜか?は解りませんが多々ある拵え工作時の掟の一つです。

今回もご依頼者様にご納得頂ける外装を拵えたいと思います!
今日は、徒歩圏内にある警察学校の周辺住民への開放日でした。



警察官の卵による息のそろった行進。



駅前にありながら、なかなか内部を知る事が出来ない警察学校。



様々な体験イベントが催されており、現役警官が丁寧に装備の解説などをしてくれました。
現行モデルの白バイです。ホンダのCB1300 Super Four、完全な純正モデルだそうです。
以前はVFRでした。VFRの時は、警察仕様だったと思うので、ちょっと意外でした。

その他にも機動隊の装備を試着させてもらいました!
思った事がいろいろあったので、続きはFacebookに書きたいと思います。


現代刀用の切羽を製作中です。



現代製の美術刀剣は、身幅が広く重ねが厚い作りこみのものが多いです。
そのような自己主張の強い刀身には、大きめの刀装具を用いなければバランスが取れません。

骨董品の中から刀装具を選ぶとなると、慶長新刀や勤皇刀などに用いられていた縁頭を選ぶことになります。また、現代製の刀装具を用いるとなると、価格的に鋳物以外には考えられません。
いずれにしましても、選択肢が極端に限られます。

そこで、当工房では、柄前製作時に柄縁も新しくお作りする場合が多いのですが、新調した柄縁だと規格品の切羽が合うことはごく稀です。
そこで、付随して切羽も新調します。

このたび製作中の外装は、現代刀に着せます。さらに、依頼者様のお身体に合った柄前に仕上げるため、形状にこだわった大きめの縁頭を探してきました。
当然、切羽も刀装具や刀身に合った形状のものをご用意しなければなりませんので、一から作成している次第です。

切羽の製作は、想像以上に繊細なバランスと工作を要求されます。
鞘の研ぎ出しが完了しました!

研ぎ出しの最終工程では、炭を用いて鏡面に仕上げます。
その労力たるや、体験されたことのある方でしたらお分かりでしょうが、気が遠くなるほど磨き続けます。



この度の漆塗りでは、コスト削減のため、外国産の漆を用いました。
何がちがうのかと言うと、含有する活性成分(ウルシオール)の含有量が違います。
国産の漆には70%ちかいウルシオールが含まれていますが、外国産の漆には5%ほどしか含まれていません(5%も含まれているか甚だ疑問ですが・・・)。
同じ漆でも、硬化に要する時間が圧倒的に違います。そして、国産漆の方が硬化後の強度が時間が経つにつれてますます強くなり、長期的な持ちが良いといいます。
ちなみに、硬化後の研ぎ出し加工性はどうかというと、国産漆は非常に柔らかくて加工しやすいのに対し、外国産の漆は硬いような気がします。また、かぶれ難い特徴もあります。



これは持論ですが、武道に用いる鞘の場合、抜き差しを多く行う関係上、鞘下地の寿命が極めて短いので、塗装ばかり寿命が長くても結果的にオーバースペックになります。
そこで、外国産の漆や合成樹脂、カシュー漆を用いても良いのではないか?と思います。
むしろ、最終工程の研ぎ出しに完成度の違いが現れます。

ちなみに、実は国産品の漆器類のほぼ全てが外国産の漆を用いています。

ここで、家庭用品品質表示法に基づく漆器類の定義をご紹介します。

・漆又はカシュー樹脂塗料等を塗った食事用、食卓用又は台所用の器具(木製のもの及び合成樹脂製のものに限る)

お分かり頂けますでしょうか?伝統工芸品の漆器類といえども国産漆を用いている商品は全体の1%にも満たないというのが現状なのです。
どうにも狐につままれた様な気持ちになってしまいますね。
今年初の柄前が出来上がりました!



この作品は、現在製作中の江戸肥後拵えの柄です。
異様に腰の高い目貫に四苦八苦するも、何とか巻き上がりました!

想像通りの出来栄えに仕上げることができ、まずは一安心。

さあ、夜が明ける前に寝床に潜りこみます。
お疲れ様でした!
打刀拵の柄巻き中です。



二晩続けてこの程度、根気の要る作業です。
柄巻きは、使用者がお刀に触れる唯一の装置であり、使用感に最も影響を与えます。
そのため、ご依頼者様の御眼鏡に適うよう、時間をかけて入念に工作を施します。

特に当工房では柄巻きに拘りを持っていますので、一巻き一巻き写経の様な心持ちで取り組んでいます。
焦りは禁物!急がば回れ。
現在製作中の拵えに用いる刀装具です。



拵えの様式、刀身との相性、完成後のデザイン設計が決まると、次に刀装具の選択と微調整を行います。
今回のご依頼では、お客様より鍔と目貫をお持ち込み頂いていますので、その他の刀装具は相性を考えながら当方にて選択します。この度の拵えの特徴の一つとして、切羽に至るまで銀無垢に拘りました。



拵え全体のバランスを考えながら、銀無垢の刀装具を燻していきます。
鍔の色合いに合わせ、少しづつ燻し色を調節していきます。



切羽も同様です。