予てより計画を練ってきたツアーイベント(予告編)を開催しました。



この度のイベントは、一般の方々を対象に刀剣に付随する文化・歴史に触れる機会を、定期的に開催していこうという計画の一環です。



本編のイベントとしては、『刀剣および付随する文化にふれるイベント』という相州伝の起源にせまるツアーを、6月6日(土)に予定しています。



そこで今回は、本編ツアーイベント開催に先立ち『「トレッキング+考古学」の旅 ~相州の鉄文化の源流を探る~』の予告編として開催する、お試しイベントです。



本編ツアーでは、横浜市港南区から鎌倉市に残る鎌倉~南北朝期に繁栄した製鉄技術者が用いた古道を巡りながら、関東の製鉄文化を学び・体験する機会を設けますが、この度のお試しツアーでは、栄区周辺の製鉄文化の歴史散策トレッキングです。



結果的なコースタイムは、以下のとおりです。

JR本郷台(10:30) → いたち川(11:00) → 長慶寺(11:45) → 昼食(12:00~12:45) → 深田製鉄遺跡(13:15) → 思金神社(14:00) → 昇竜橋(15:00) → バス・電車移動 → JR北鎌倉(15:50) → 東慶寺(16:00) → 電車移動 → JR鎌倉(17:30)



ご参加いただいた皆さんは、甲冑師の佐藤さんのツイッターでの呼びかけで集まって頂きました。お若い学生さんなどが、多く参加されていたことが印象的でした。

今後も定期的な開催を続け、刀剣文化・製鉄文化の普及に努めたいと思います。
寛文新刀の研磨です。



当初、完全な錆身状態で担ぎ込まれてきました。

何でも、奉納のために磨き上げたいということでしたので、極力研ぎ減らさない方向で整形を施しました。
そのため、各所に取りきれない朽ちこみや大きな傷が残りましたが、用途に合わせた研ぎ方も重要です。



大阪新刀などの、積んだ地金の刀剣の場合、流行の化粧研ぎ(コンクール研ぎ?)を施すとパッと見で「新作刀?」などと言われることがあります。
入念な鑑賞研ぎを施せば、その様な誤解を受けることはないと思いますが、ご予算が限られている中での研磨ですから、ある程度の妥協は已むを得ません。



とはいえ、刀剣の魅力が一般の方に分からない様な研ぎではお刀がかわいそうですし、せっかくご縁あって当方にご依頼頂いている以上、刀剣の面白さが伝わらない研ぎで終わらせたくなかったので、化粧を最低限にとどめて焼き刃の表情を前面に出しました!

前回の鑑賞研磨終了から、ずっとこのお刀に掛りっ切りですが、あともう少しです!
今日は、大船駅一帯で大きなイベントが開催されました!



今年で12回目となる大船まつりです。

規模が大きく、JR大船駅から鎌倉女子大にいたる広大な地域を会場に、模擬店や催し物が行われます。
近隣で同規模のお祭りというと、平塚の七夕まつりがあります。平塚の七夕まつりは、心なしか年々縮小しているように感じますが、大船まつりは、年々大きくなっています。

ちなみに、大船の歴史は非常に古くて、正倉院の天平年間の官書に、相模国鎌倉群尺度郷の記載があります。尺度郷(サカドゴウ)が大船・本郷台周辺と思いますが、尺度(計測の中心・ランドマーク)というぐらいですから重要な地域であったことがうかがわれます。

そんな大船エリアが今以上に活気溢れる街になっていくことは、地域住民としてはうれしい限りです!
刀剣鑑賞には、適度な光源が必要です。
・・・必要です・・・というよりも、光加減で刀剣の見え方が大きく変わります。
昔からよい!と言われている光源に、ロウソクの火があります。
たしかに、刃中の働きを見るには、ロウソクの光はいいです!



と言うわけで、刀剣研磨をロウソクの火を頼りに挑戦してみました。

常時は蛍光灯下での作業ですが、ようは一定の光源を常に確保できることが条件なのです。
つまり、昼間に陽光が燦々と降り注ぐような部屋はNGなのですが・・・、ロウソクでの作業もダメですね!



砥石の状態が見えない!砥面と刀身との当たり加減が、感触と音だけ・・・、イカンです!遺憾です!

もうやらないと思います(笑)。が、一つだけ考え深かったことは、江戸時代の研ぎ師さんはこういう中で研磨を施したのかな?ということ。
そういえば、江戸時代の研ぎは肌を抑える傾向があると思います。押さえると言うより、作業中見えないのではないでしょうか?

だめだこりゃ
柄前の調整でお預り中のお刀です。



柄下地の整形には、柄巻きを外して、鮫皮を剥がさなければなりません。

一見良くできた柄前でも、分解を試みると伝統技法を用いていないことが大半です。
この度の柄前も、ご多分に漏れず、伝統工芸の革を被った模造刀の外装製作技法で、製作されていました。

とは言え、必ずしも伝統技法を用いていれば良いというものではありませんし、近代的な材料を用いることは否定しません。用は、使い手の思いを酌み、刀剣のスペックを最大限に活かすための、問題意識を常に持つことだと思います。
例えば、武道に用いるのであれば、最低限安全性が担保されていなければならないのです。

刀身に合った外装、持ち主の体格にあった外装、用途に合った外装であることは言うにおよばず、それらがバランスよく同居することで、初めて実用の美を表現できるのだと思っています。
お茶をしながらボケ~っとTVを見ていました。昼の海外ドラマ枠、「CSI:トリロジー」という刑事もののドラマです。わりと人気があるのでしょうか?一度は映画で見たことのある俳優さんたちが大勢出ています。
その中で、マトリックスの人(名前がわかりません)が「世界最古の飛び道具は、4世紀の日本で確認されている」と、博学ぶりを披露するシーンが・・・。

そんなバカな!

4世紀といったら、邪馬台国の様な温和?な文明が影を潜め、軍隊アリの如き大和朝廷が勢力を拡大していく時期です。
鉄器の製造が全国的に普及するのが6世紀頃ですから、それ以前に火薬を用いた飛び道具があるというのはにわかには信じられません。
土器でも飛ばすのでしょうか?放置した食べ物が発酵して、つぼの蓋が飛び上がったということでしょうか?

時々、謎めいた古代文明の紹介をうけることがありますが、根拠のない考古は学問として解釈することは難しいものです。

誤った歴史認識からは、混乱しか生まれません。特に、歴史湾曲を正当化する様なことがあってはならないと思います。
先輩職方に作っていただいた白鞘が、届きました!



刀剣関連の職方には、刀身を作る刀匠、刀身を研磨する研ぎ師、ハバキ(刀身のストッパー)を作る白金師、白鞘や鞘下地を作る鞘師、刀装具を作る金工、柄に紐を巻く柄巻師、鞘に漆を塗る塗師などがいます。
これらの職方が、各々の技術を一生掛けて練磨し、持てる技術を結集して一振りの刀剣を作っています。
こういったことは、意外と一般の方はご存知ないかもしれませんね。

たびたび「熱くないですか?」とか「ヤケドはしませんか?」と聞かれます。
私の場合は、刀剣工作の下流の工程(刀剣研磨・外装製作)を担当していますので、熱くありません!し、ヤケドもしません!

とは言え、工作に用いる工具(特に刃物)は、ほぼ全て自作です。鋼材を、鍛冶屋同様に叩いたり、曲げたり、焼き入れをしたりします。一通りの工具を作ってしまったので、最近はやっていませんが、そのうち手作りナイフ教室を開いて、近所の子どもたちにものつくりの楽しさを紹介したいと思っています。
昨日、鑑賞研ぎの納品を終え。ゆっくり休ませていただきました。



今回のお刀は、考えてみたら研磨途中に撮った写真しかありません。

このお刀は、堀川国広一門の典型的な作品です。
同銘の刀剣の中では、特に入念作でした。



仕上げの化粧にかなり悩みましたが、有識者の方々にアドバイスを頂き、研磨の設計を定めていきました。

納品時は、刀剣の鑑定方法や研磨の苦労話などをご紹介し、楽しい時間をすごすことができました。

さあ、ゆっくりしている時間はありません。次の工作に移ります!
完成をお待ちの皆様、もうしばらくお待ちください。
どうも刀身に合わせた研ぎがうまくいきません(一般の方にはどうでもいいくらいか、或いは違いが判らない程度なのですが・・・)。持っている砥石が限られることも理由の一つですが、絶対的な研ぎ不足が腕の向上につながらないのでしょう。

当工房は、外装製作が主な仕事で、研磨が二の次になっています。
理由は、有能な研ぎ師さんが日本中にたくさんいるので当方まで順番が回ってこない(涙)ことと、外装職人の絶対数が限られるためやむなく当方に依頼が回ってくるということ、に他なりません。

外装の製作は、材料費ばかりがかかって職人の利益につながらないため、新たな職人の育成につながらない・なりたいと思う人がいない、のであろうと思います。
そのため、これから職人になりたい方からの相談を受けても、手放しではお勧めできない事情もあります。

というわけで、現在寝ても覚めても鑑賞研磨中なのです。



ちょっとした用事で外出する時でも、エレベーターのボタンに反応してしまうほどです(笑)。
柄下地に鮫皮を貼り付ける工程です。



一枚の鮫皮を、ぐるりと一周させて取り付けます。

柄巻きを施す前の状態で、この方向からご覧になることはめずらしいと思います。
こうして見ると、意外と細いので驚かれる方が多いのですが、当然ながら下地にいたってはもっと細く加工してあります。

柄成り(柄前の形状)は、刀身との相性、外装全体のバランス、使用者様の身体的特徴などによって、大きく形が変わります。また、刀装具の選択によっても使用感や強度にまで違いが現れるため、自己判断で金具を用意される場合には注意が必要です。

当工房の場合には、事前に手厳し~く刀装具のチェックをさせて頂き、アドバイスを差し上げています。
(強度面などで不安の残る場合でも、ご依頼者様が頑なに使用をあきらめない場合には、ご依頼者様の自己責任で組み込ませていただきますが、観賞用のみの場合に限ります。)