鮫皮の着色が終わりました!

抜刀用の外装修復にて、柄下地の整形・刀装具の製作(「白銀工作」 )に引き続き、鮫着せと着色を行ないました。



出来立ての柄縁に似合う、理想的な色合いに仕上がりました!
この色を出すまでに随分研究しましたが、最近は思い通りの色が出てくれているのでとてもうれしいです。

前回の「天正柄の下地」 と同じ色に仕上げていますが、ご予算の都合上人工漆を使っています。
本漆であろうと人工漆であろうと、表情を同じように仕上げますので、完成品を見比べてみても違いがほとんど判りません(判る人が見れば判ると思いますが・・・)。

鮫皮の場合、花塗りだと磨ぎ出す場合と比較してさほど違いが現れない様に感じます。
塗装法は、潤み漆を調整して溜め塗りの要領で何層にも重ね、透明度を上げていきます。最後に拭き漆の要領で表層の塗りをはがしてやると、古色がかった何ともいえない奥行きが出ます。

本漆の場合と人工漆の場合で若干技法が異なりますので、その都度トライ&エラーで調整してみてください!おためしあれ!
武道用途の刀剣(以下、武道刀)の外装修復です。
柄糸の巻き換え依頼では、柄前全体の状態を確認させて頂いております。
*当方では、一見して安全上の心配があるお刀は、お預り時に柄下地の状態を分解して確認する旨をお伝えしています。



柄糸を外して鮫皮を剥がすと・・・、下地が顔を出します。
下地の状態が良ければ、ご依頼者様に合わせた整形と若干の補修・補強のみで、断然使用感が向上し、安全性や耐久性も増します。

今回の柄前を分解してみると・・・、柄下地の色が柄頭周辺で変わっています。これは、継ぎ茎ならぬ継ぎ下地です。強度的に心配が残りますが、しっかり繋がっているようです。しかし、刀身の目釘穴が一つなのに対し、柄下地のみ目釘穴が二つ穿ってあります。どうやら、柄下地を再利用しているようです。

古い外装には、匠の技術が盛り込まれて長く性能を保ち続ける物と、価値が見出せない中古品があります。無価値の中古品の場合は、元々性能や機能を持ち合わせていない量産柄の可能性が濃厚です。
今回は判断に迷いますが、ご依頼者様のご都合によって工作が大きく分かれます。
修復して用いる場合は補強を十分に施さなければなりませんし、下地を新たに作成する場合には、柄成からバランス、サイズに至るまで、再検討が必要になります。

武道刀を購入する場合、どうしても外装付きのお刀に目が向いてしまいます。
白鞘のお刀ですと、新たに拵えを作らなければならず、最終的な出費が嵩むと考えるからではないでしょうか?
確かに、当初からしっかりした外装が付属していることに越したことはありません。
武道刀を扱っている刀剣商では、あえて拵えを新調して販売しているお店も見受けられます。
しかし、機能を持った外装、刀身の性能を生かす外装が付属しているとは限らず、中には模造刀の外装を装着しているケースもあるので、注意が必要です。

今回は、大変難しい判断になりますので、続きの行程はご依頼者様とご相談して決めたいと思います。
柄縁の色揚げです。
前回に引き続き、ロウ付けが終わった柄縁の表面をヤスリで整えます。



今回は、ヤスリで荒く仕上げていぶしました。この深みのある古色が好きなのです。

一時期は柿色に色揚げするのが楽しくて、何でもかんでも真っ赤に仕上げていたのですが、銅の自然な美しさを表現できる燻し色が、今の私が考える美意識に最も近いと思っています。
刀剣外装の顔に値する箇所が、柄前です。
柄前は、使用者と刀身をつなぐ唯一の装置ですので、古来より高度な性能が要求されてきました。
言うなれば、刀を生かすも殺すも柄前次第!といっても、過言ではありません。
そのため、柄前工作には繊細な作業が要求されます。



写真は、現在製作中の柄頭です。

牛の角を形状に合わせて削り出し、漆を塗って研ぎ出します。
あまり厚みを持たせると田舎っぽい拵えに仕上がり、薄過ぎると強度の劣化や全体のバランスが崩れるため、絶妙な肉おきが要求されます。

番指や献上拵など、フォーマルな外装には角頭が多用されています。
「和牛の角が良い」などと言われますが、室町期の角頭が大陸の水牛角であることなどもわかっており、当方でも水牛の角を使っています。
金具に至るまでオーダーメイドの柄前工作の続きです。



天板のロウ付けが終わり、茎穴を穿っている最中です。

まだ整形を施していませんので、出来立てホヤホヤの荒削り状態です。
火肌で汚らしく見えますが・・・実際にきたないです(笑)。

個人的には、腰の低いタマゴ型の柄縁が好きなのでそのように作りたいのですが、刀身や拵えとのバランス・依頼者のご要望を最大限に考慮しなければなりません。

柄縁一つで拵えの表情はガラッと変わるばかりか、使用感にまで大きな影響を与えてしまいます。



写真を見ていただければ一目瞭然ですが、柄成りは柄縁依存的といっても過言ではありません。
鮫皮の補強が完了しました!



打刀拵の典型的な柄前は、ホウノ木で製作した柄下地に鮫皮を着せ、その上に柄巻きを施します。
この度の様に、鮫皮をグルッと一枚で巻くことを「総着せ」などといいますが、一番長持ちして機能的にも優れています。

この先の行程は、持ち主の好みや写し拵えの掟などによって若干変わりますが、漆を塗って強靭性を加味したり、金をのせて高級感を表現することもあります。

今回の拵えは天正写しなので、何重にも塗り重ねて漆黒に塗り固めました。これは、赤みがかった古色の再現を試みるためです。重ね塗りの本来の目的は、補強の意味合いが濃厚ですが、観賞用に全体の色のバランスを整えるための調整時にも有効です。
本日は、朝から友人たちと刀剣鑑定の勉強をおこないました。



横浜刀剣会副会長の安藤先生のご厚意で、「切っ先に見る鑑定の極意」をご指導頂きました。
また、昼食後は、横浜刀剣会の定例勉強会へ会場を移動し、刀剣鑑定に挑戦です!



今回は、5振りの出題と特別展示の短刀、計6振りが出題。
何と、国路の脇差しが2振り展示されるという、鑑定家泣かせの内容でした(笑)。

勉強会終了後は、中華街で打ち上げ会を開催し、友情を深めました。
今日はあいにくの雨、気が滅入りますが柄縁金具を作成中です。



刀剣分野の金工作業を総称して、白銀(しろがね)と言います。
ハバキや刀装具を専門に製作する職人さんを白銀師(しろがねし)と呼びますが、その語源は鉄(クロガネ)以外の金属を扱うことから、クロと対称的なシロ、つまり色のある金属を加工する職人という意味です。

武骨な拵えには、鉄や銅が似合います。
今回は、2mm程度の銅(アカガネ)板を加工します。
子どものオモチャ箱の中に目が留まりました。



妖怪ウォッチ?のキャラクター、その名も「むらまさ」だそうです。

徳川家に祟ると言われる千子村正を題材にしたキャラ設定の様ですが・・・
目に留まったのは、その手に持っている刀です。

平造りの寸伸び?形状にて、先反りの強い体配に、箱刃風の刃こぼれがあります。
今までに修復を手掛けた村正(伝含む)に共通する、典型的な破損具合に妙に見入ってしまいました(笑)

千子派?写し?の刀剣は、肉置きの割りに焼刃が固く、刃紋の細い部分を研いでいる時に刃先がポロポロと駆け出すことがあります。

知ってか知らずか、よく出来たキャラに、思わずニヤッとしてしまいました(笑)
猛烈に遅延している拵えの柄下地です。
ご依頼者様が首を長~くして完成を待っていると思うと心苦しくてたまらないのですが、それでも工作を続けるほかに期待に応えるすべはありません。



というわけで、この柄下地は製作中の古名刀の外装です。

柄重ねの薄さがお分かり頂けるでしょうか?立鼓の形状は、刃方棟方方向のみでなく、指裏表方向にも立鼓を取ることで、より良い使用感が得られます。
この度のお刀は、良いお刀だけに、安易な工作を施すわけにはいかず、技術も時間もかけています。

当工房では、使用感に最も影響を与える『柄前の製作』に、こだわりを持って挑んでいます。
今後も、妥協せずに工作に取り組んでいきたいと思います。