出来立てホヤホヤの刀剣外装です。
刀剣の世界は、多くの様式や格式といった掟が存在します。
それもそのはず、茶道や武道、礼法といった武家と関係の深い文化は、武士の世の需要から生まれました。当然、サムライの商売道具たる刀剣に、全ての武家文化が集約しているといっても過言ではありません。
今回は、そういった格式張った体裁を抜きにして、「実用の美」を表現してみました。
タイトルにも書きましたが、本当に自分がほしいな~と思うような刀剣外装というものは、なかなかめぐり合えないものです。
作者がほれ込んで作り込んだ拵えが、たとえ様式的に捉えどころがなくても、見る人の心をひき付ける何かを秘めていれば、そこに新しい美意識が生まれると思います。
その最たるものが「実用の美」ではないでしょうか?
ちょっと生意気を言いました(笑)、ようは私がほしい!使いたい!と思う作品を作らせて頂きました。
これで依頼者様からクレームがきたら、一から修行をし直そうと思います、チャンチャン。
刀剣の世界は、多くの様式や格式といった掟が存在します。
それもそのはず、茶道や武道、礼法といった武家と関係の深い文化は、武士の世の需要から生まれました。当然、サムライの商売道具たる刀剣に、全ての武家文化が集約しているといっても過言ではありません。
今回は、そういった格式張った体裁を抜きにして、「実用の美」を表現してみました。
タイトルにも書きましたが、本当に自分がほしいな~と思うような刀剣外装というものは、なかなかめぐり合えないものです。
作者がほれ込んで作り込んだ拵えが、たとえ様式的に捉えどころがなくても、見る人の心をひき付ける何かを秘めていれば、そこに新しい美意識が生まれると思います。
その最たるものが「実用の美」ではないでしょうか?
ちょっと生意気を言いました(笑)、ようは私がほしい!使いたい!と思う作品を作らせて頂きました。
これで依頼者様からクレームがきたら、一から修行をし直そうと思います、チャンチャン。
武道家との会話の中で、刀剣について認識が噛み合わないことが頻繁にあります。そこで、原点に立ち戻って柄の機能について考えたいと思います。
職方と武道家の会話が噛み合わない原因の一つは、「根本的な拵の機能が、広く知られていないことに起因するのではないか?」ということに行き着き、この度筆を取らせて頂きました。
刀剣の使用感は、刀身の性能以上に外装たる「拵(こしらえ)」の性能に大きく依存しています。
このことは、当方の発信するHP・ブログ・イベント・SNS等をご覧頂ければ、ご理解の手助けになると思います。
次に、拵の中でも、使用者と刀身を結ぶ最も重要な装置が、「柄前(つかまえ:外装の手に持つ部分)」です。
これは、柄前師を名乗っている当方ならではの発言です(笑)が、刀身の茎を直接握って使用する古武道の流派や使用者が見当たらないことから、まず広義的な意味合いからしても誤りのない事実と考えられます。
この柄前の性能は、大分類的に「刀身の性能を引き出せているか?」、「使用者の身体や用途に合っているか?」の2つのポイントから評価することができます。
もちろん、双方の性能を兼ね備えている柄前が理想的です。
まず、「刀身の性能を引き出せているか?」ですが、これは刀身に合わせて外装が製作されていることが大前提になります。
私が今まで修復に関わった刀剣では、使用者が武道用途で用いているものの大半が既製品の柄前に後家鞘を着せた状態でした。専門家による満足な調整も施されないまま、騙し々々使われているというのが共通する事実です。
更には、ハバキや切羽にいたるまで、別の外装からの流用品ということも、武道用途の刀剣の特徴と言って差し支えないほどです。
それら武道用途の柄前の特徴は、歪みやぐら付きを補整するために、柄前に茎を力任せに押し込んで組み付けていることが挙げられます。刀身に圧力をもって組み付けた状態を保つために、目釘で押さえ込む様に固定せざるをえないことも共通します。
本来、刀身は目釘で留まっているのではありませんし、常に目釘が刀身によって押されている状態というのは考えられません。また、柄前は、刀身に押し込まなければしっかり組み付かないというものではありません。
ちなみに、力任せに押し込まれた柄を使い続けるということは、当然周囲の部品にも影響を及ぼします。常に押し込み続けなければならないので、ハバキに悪影響をおよぼします。さらに、ハバキと接する刀身の区に力が加わり、最悪の場合は刃区の破損につながることもあります。
そうした本来生じないところの圧力を与え続けた刀身に、正しい柄前を仕立てると、無駄な力が抜けるため、変形したハバキにあそびが生まれて、カチャカチャと鳴り出すことがあります。同様に切羽も、元々ブカブカの物を力任せに固定されていた訳ですから、圧力が抜ければどうなるかは述べるまでもありません。
以上のことから、刀身の性能を引き出すためには、最低限オーダーメイドの柄下地であることが求められます。
次に「使用者の身体や用途に合っているか?」についてですが、ここから先の考え方は柄前を製作する職方によって十人十色の考え方があります。
美的感覚を重要視する場合、使用上の補強を意識する場合、写し拵えなどの特徴を模倣する事に注力する場合、江戸期の様に掟を第一と考える場合やTPOに合わせた無難さを大事にする場合、等々・・・各職方の考え方や経験、知識によっても成果物に大きな違いが生じます。
職方と武道家の会話が噛み合わない原因の一つは、「根本的な拵の機能が、広く知られていないことに起因するのではないか?」ということに行き着き、この度筆を取らせて頂きました。
刀剣の使用感は、刀身の性能以上に外装たる「拵(こしらえ)」の性能に大きく依存しています。
このことは、当方の発信するHP・ブログ・イベント・SNS等をご覧頂ければ、ご理解の手助けになると思います。
次に、拵の中でも、使用者と刀身を結ぶ最も重要な装置が、「柄前(つかまえ:外装の手に持つ部分)」です。
これは、柄前師を名乗っている当方ならではの発言です(笑)が、刀身の茎を直接握って使用する古武道の流派や使用者が見当たらないことから、まず広義的な意味合いからしても誤りのない事実と考えられます。
この柄前の性能は、大分類的に「刀身の性能を引き出せているか?」、「使用者の身体や用途に合っているか?」の2つのポイントから評価することができます。
もちろん、双方の性能を兼ね備えている柄前が理想的です。
まず、「刀身の性能を引き出せているか?」ですが、これは刀身に合わせて外装が製作されていることが大前提になります。
私が今まで修復に関わった刀剣では、使用者が武道用途で用いているものの大半が既製品の柄前に後家鞘を着せた状態でした。専門家による満足な調整も施されないまま、騙し々々使われているというのが共通する事実です。
更には、ハバキや切羽にいたるまで、別の外装からの流用品ということも、武道用途の刀剣の特徴と言って差し支えないほどです。
それら武道用途の柄前の特徴は、歪みやぐら付きを補整するために、柄前に茎を力任せに押し込んで組み付けていることが挙げられます。刀身に圧力をもって組み付けた状態を保つために、目釘で押さえ込む様に固定せざるをえないことも共通します。
本来、刀身は目釘で留まっているのではありませんし、常に目釘が刀身によって押されている状態というのは考えられません。また、柄前は、刀身に押し込まなければしっかり組み付かないというものではありません。
ちなみに、力任せに押し込まれた柄を使い続けるということは、当然周囲の部品にも影響を及ぼします。常に押し込み続けなければならないので、ハバキに悪影響をおよぼします。さらに、ハバキと接する刀身の区に力が加わり、最悪の場合は刃区の破損につながることもあります。
そうした本来生じないところの圧力を与え続けた刀身に、正しい柄前を仕立てると、無駄な力が抜けるため、変形したハバキにあそびが生まれて、カチャカチャと鳴り出すことがあります。同様に切羽も、元々ブカブカの物を力任せに固定されていた訳ですから、圧力が抜ければどうなるかは述べるまでもありません。
以上のことから、刀身の性能を引き出すためには、最低限オーダーメイドの柄下地であることが求められます。
次に「使用者の身体や用途に合っているか?」についてですが、ここから先の考え方は柄前を製作する職方によって十人十色の考え方があります。
美的感覚を重要視する場合、使用上の補強を意識する場合、写し拵えなどの特徴を模倣する事に注力する場合、江戸期の様に掟を第一と考える場合やTPOに合わせた無難さを大事にする場合、等々・・・各職方の考え方や経験、知識によっても成果物に大きな違いが生じます。
本日、刀剣勉強会を開催しました!
毎回、横浜刀剣会の研究会に合わせて、友人たちと刀剣鑑定の勉強を続けています。
今回は、午前中の1時間、お昼の2時間、横浜刀剣会の研究会(3時間)という、豪華三本立てです。
午前中の部では、はじめて本格的な鑑定会にご参加されるSさんをご招待して、刀剣鑑定のいろはや所作をご紹介しました。お昼の部では、横浜刀剣会の毎度のご厚意により、昼食を取りながら副会長さまより個別指導を頂戴しました。そしていよいよ横浜刀剣会・研究会にて、実際の入札鑑定へ・・・という流れで、ドップリと刀剣の魅力に漬かる一日となりました。
これは私見ですが、本日の鑑定刀は、今までに参加したどんな鑑定会よりも勉強になりました!
(お詫び:勉強に夢中だったため、写真を撮り忘れてしまいました。写真は前回の使い回しです)
毎回、横浜刀剣会の研究会に合わせて、友人たちと刀剣鑑定の勉強を続けています。
今回は、午前中の1時間、お昼の2時間、横浜刀剣会の研究会(3時間)という、豪華三本立てです。
午前中の部では、はじめて本格的な鑑定会にご参加されるSさんをご招待して、刀剣鑑定のいろはや所作をご紹介しました。お昼の部では、横浜刀剣会の毎度のご厚意により、昼食を取りながら副会長さまより個別指導を頂戴しました。そしていよいよ横浜刀剣会・研究会にて、実際の入札鑑定へ・・・という流れで、ドップリと刀剣の魅力に漬かる一日となりました。
これは私見ですが、本日の鑑定刀は、今までに参加したどんな鑑定会よりも勉強になりました!
(お詫び:勉強に夢中だったため、写真を撮り忘れてしまいました。写真は前回の使い回しです)
この紙切れは何でしょう?
正解は、教育者として教壇に立つ資格があることを確認する証明書です。
こんなコピー用紙一枚の有無で、次世代を担う子どもたちと接する資格があるかを確認されます。
もちろん、この証明書がないだけで大変な問題になりますが、本質は書面にはありません。
つたえる技術や知識は、書面からは証明されないからです。
私は、伝統工芸家として刀剣の修復や外装制作にあたっていますが、機会ある毎に教壇に立つことを己に課しています。
以前、某大学で講師をさせて頂いていた時、同業の工芸職人さんから「教師で大儲けしているのでしょう?」などと言われたことがありますが、ほとんどボランティアなのです。確かにお手当は頂きますが、それとて法律上定められた最低限の対価に過ぎず、教壇に立っている間の修復作業などは一切できませんので実質的にはマイナスです。
同様に、武家文化振興のための各種イベントを開催していますが、基本的にはボランティアです。
心無い人たちから見たら、私の活動は多岐にわたり、それらから収益があるように見えるかもしれません。
細々と職人技で貯めて次世代への活動のために使う・・・という繰り返しの中で、それでも子どもたちの笑顔と伝統文化を守り伝えたいという思いの前に、これ以上有意義は活動があるでしょうか?
教壇に立つ、人に何かを伝える、ということの本質は、伝統工芸家、教育者といった線引きを考えるまでも無く、尊いものだと信じています。
正解は、教育者として教壇に立つ資格があることを確認する証明書です。
こんなコピー用紙一枚の有無で、次世代を担う子どもたちと接する資格があるかを確認されます。
もちろん、この証明書がないだけで大変な問題になりますが、本質は書面にはありません。
つたえる技術や知識は、書面からは証明されないからです。
私は、伝統工芸家として刀剣の修復や外装制作にあたっていますが、機会ある毎に教壇に立つことを己に課しています。
以前、某大学で講師をさせて頂いていた時、同業の工芸職人さんから「教師で大儲けしているのでしょう?」などと言われたことがありますが、ほとんどボランティアなのです。確かにお手当は頂きますが、それとて法律上定められた最低限の対価に過ぎず、教壇に立っている間の修復作業などは一切できませんので実質的にはマイナスです。
同様に、武家文化振興のための各種イベントを開催していますが、基本的にはボランティアです。
心無い人たちから見たら、私の活動は多岐にわたり、それらから収益があるように見えるかもしれません。
細々と職人技で貯めて次世代への活動のために使う・・・という繰り返しの中で、それでも子どもたちの笑顔と伝統文化を守り伝えたいという思いの前に、これ以上有意義は活動があるでしょうか?
教壇に立つ、人に何かを伝える、ということの本質は、伝統工芸家、教育者といった線引きを考えるまでも無く、尊いものだと信じています。
写し拵えの製作では、どんなに作り込んでも雰囲気が似ないということが多々あります。
その最大の原因は、刀身があまりにも本歌とかけ離れていることにほかなりません。
例えば、本歌拵が慶長磨上げの南北朝刀身の外装の場合、室町期の先反りの深い刀身に合わせて鞘を作るとなると、鞘の身幅・反り具合など、完成後のシルエットがまるで別物になってしまいます。
そういった場合は、ある程度意識的に外見を補整することで、写しの雰囲気を追及します。
図の技法は、若干乱暴な工法のように感じられるかもしれませんが、仕上がり具合がまるで違います。
特に写し物にこだわりをお持ちの方の場合、拵えの本来の意味・性能よりも、いかに本歌に似ているか?の方が重要な場合がほとんどです。
刀剣外装に、何を求めるのか?は、人それぞれ違います。
今日では、使用感を追及される愛刀家は稀で、時代拵えの雰囲気を楽しむ傾向があります。
そのため、ご要望にあわせて製作する技術も、職人には重要です。
その最大の原因は、刀身があまりにも本歌とかけ離れていることにほかなりません。
例えば、本歌拵が慶長磨上げの南北朝刀身の外装の場合、室町期の先反りの深い刀身に合わせて鞘を作るとなると、鞘の身幅・反り具合など、完成後のシルエットがまるで別物になってしまいます。
そういった場合は、ある程度意識的に外見を補整することで、写しの雰囲気を追及します。
図の技法は、若干乱暴な工法のように感じられるかもしれませんが、仕上がり具合がまるで違います。
特に写し物にこだわりをお持ちの方の場合、拵えの本来の意味・性能よりも、いかに本歌に似ているか?の方が重要な場合がほとんどです。
刀剣外装に、何を求めるのか?は、人それぞれ違います。
今日では、使用感を追及される愛刀家は稀で、時代拵えの雰囲気を楽しむ傾向があります。
そのため、ご要望にあわせて製作する技術も、職人には重要です。
柄下地の肉置きというと、ピンとくる方は稀です。
得物を用いる武術では、「手の内」とよばれる掌の整え方一つで、殺傷力や命中率が飛躍的に変わります。
刀剣の場合、この手の内に決定的な影響を与える要因の一つとして、「柄成り」があります。
柄成りとは柄前の形状のことですが、実は下地の段階でおおよその形状は決まってしまうのです。
そのため、オーダーメイドの刀剣外装の場合、最も難しい工作が柄下地だと言っても過言ではありません。
刀身とのバランスや使用者の体格、用いる刀装具との関係、鮫皮や柄糸との相性など、それらを完成後のイメージを初めに定めて設計に従って作り込んでいきます。
むやみに薄くすれば強度上の問題が発生しますし、強度の心配をしすぎれば使用感が悪化します。
使用用途や使用法によっても、力のかかり方が極端に変わるため、お使いになる流派や使用者の癖を意識して作らなければなりません。
また、下地の年輪の目をよんで、機能性を持たせることも重要です。
すぐに壊れてしまう柄前では、刀剣外装としては落第です。
得物を用いる武術では、「手の内」とよばれる掌の整え方一つで、殺傷力や命中率が飛躍的に変わります。
刀剣の場合、この手の内に決定的な影響を与える要因の一つとして、「柄成り」があります。
柄成りとは柄前の形状のことですが、実は下地の段階でおおよその形状は決まってしまうのです。
そのため、オーダーメイドの刀剣外装の場合、最も難しい工作が柄下地だと言っても過言ではありません。
刀身とのバランスや使用者の体格、用いる刀装具との関係、鮫皮や柄糸との相性など、それらを完成後のイメージを初めに定めて設計に従って作り込んでいきます。
むやみに薄くすれば強度上の問題が発生しますし、強度の心配をしすぎれば使用感が悪化します。
使用用途や使用法によっても、力のかかり方が極端に変わるため、お使いになる流派や使用者の癖を意識して作らなければなりません。
また、下地の年輪の目をよんで、機能性を持たせることも重要です。
すぐに壊れてしまう柄前では、刀剣外装としては落第です。




