小暑の候、モノを売るよ!小柴ふあーむはw <信頼のための技術戦略>
「農業は 人生を賭ける 価値がある」
夏の前哨戦
梅雨も本気を出してきて
本来なら梅雨のない北海道でも
前線北縁のグチャグチャな空気が
差し掛かっております。
お元気でしたか?
暦時計は午後1時となりました。
北海道 小柴ふあーむ より
「小暑」のご挨拶を申し上げます。
「蝦夷梅雨」
という表現があります。
本州方面が梅雨明けを迎える時
太平洋高気圧に押されて
前線が北上して大陸方面へ抜ける際に
北海道上空を一週間ほどかけて
グズグズ言いながら通るのですが
それを指して「蝦夷梅雨」と
言い表されます。
が、しかし
少なくとも私たちが引っ越してきてから
この二十年の間
梅雨前線が東北あたりにいる頻度が高く
ごく普通に「梅雨」が
北海道に訪れます。
ということで
薄暗くてジメジメした空気が満ちる
ドヨ〜ンとしてる「小暑」です。
「小暑」を迎え
北海道 小柴ふあーむ
’24シーズンのメロンが
初出荷の運びとなりました!
4月6日に畑に降りてから
ちょうど3ヶ月の道程を経た
完成です。
2月後半から始まった
今季の畑作業
その先頭を走る
ハウス第一群
早生メロン先発隊!
見守ってくださった皆様に
御礼申し上げます。
今季の栽培是非を占う
どきどきの先発隊
充填と破裂の狭間で
ギリギリを潜り抜ける判断
その第一日目を
小暑待ちの7月5日
といたしました。
除雪から始まる緊張は
今日この朝の為に。
そしてお盆まで続く
約1ヶ月のメロン収穫と
その他管理作業が同時並行する
再びの過密戦線。
気合い入れ直して
乗り切って参ります。
これでまた
記憶が飛んでしまい
気がつけばお盆
空気は秋
という夏になりますねw
まず
せっかちでおませな玉から
優先して摘んで参ります。
製販技 一体経営の
北海道 小柴ふあーむ
その製品すべてを
自前のチャンネルで販売してるか?
と言えばそういうことは全くなく
あくまで
販売の1チャンネルとして
運用しております。
大きなロットとしては
系統出荷と言われる
JAから市場へ、のルート。
オーソドックスではありますが
これも一つの堅実なチャンネル
であります。
世の中には
生産直販こそ絶対正義だ!
みたいな
根拠なき刷り込みがありますが
あれはあくまで
刷り込み であります。
生産直販は
あくまで一つの販売形態であり
それ以上でも、それ以下でも
ありません。
生産直販だから
経営は良くなる?
いや
そんなわけもなく
生産直販だから
高品質になる?
いや
そんなわけ全然なく
生産直販を崇める雰囲気は
まことに刷り込み効果に
他なりません。
我が家が
販売チャンネルを一つに絞らない理由。
まず、経営リスクの分散。
そして、世の中の動きを知る為。
最後に、世間の風にあたる為。
この3つが挙げられます。
チャンネルは幾つあっても
構いませんからね。
大きな経営を目指してない
北海道 小柴ふあーむ。
あくまでダイレクト感を大切に
小回り出来て、足腰強い柔軟さ
を目指しております。
その為には
なんでも自前の構築は
小さな経営を阻害します。
アウトソーシング、OEMの考え方で
参ります。
そして
ピントのズレた独演会状態
独り舞台にならぬよう
世間への窓口を保って
いま自分が置かれている状況を
肌で感じることも大切
と考えてます。
独り舞台
独り踊り
独り語り
独演会ならぬ
独善会w
シンパのみのミサ状態で
物笑いの種にならぬよう
客観性を保てるよう
羅針盤のためにも
世間の厳しさを敢えて
感じ取りに行ってます。
そして、であります。
世間の風にあたること。
これを最も重要に考えてます。
ダメなものはダメ!
そう言ってもらえる
客観的な評価機能が必要と
考えております。
個人経営、社長業の
最大のウィークポイントは
自己批判でありまして
モノづくりに関して言えば
自分の作ったものを
自分だけで評価してちゃ
盲目になってしまい
自画自賛、我田引水
つまりは先生、神様、教祖様に
なってしまいます。
すなわち
憐れなりけり
であります。
モノを扱う仕事は
モノを売ることが本質です。
モノ抜きで
価値もへったくれもありません。
モノで勝負できてこそ
価値は付いてきます。
モノを売るな、価値を売れ?
モノを扱った人なら
そのような現実逃避は致しません。
さて
北海道 小柴ふあーむ の
’24メロン 初収穫からの
初出荷
成績や如何に?!
有難くも畏くも
ベストな評価をいただきました。
今季の生産技術を占う
第一弾の評価は
これから10月まで続くメロン戦線に
大きく強い指針を与えてくれました。
ありがたい評価
そして
この日のお昼ご飯とデザート
帰り道にちょっと寄り道し
奮発してしまいました。
北海道 小柴ふあーむ の
経営方針
「育てる」「伝える」「届ける」
3つの「る」を達成すべく
客観性とリスク分散
そして技術重視を手段として
取り組んでおります。
具体的な要点は
以下の通りとなります。
例えば
我が家のメロン栽培
ビニールハウスは 45m×8棟
露地トンネルは 50m×8本
で運用しております。
短めです。
本来なら
100m単位の運用となる畑に
あえて半分に分割し
しかも枕地(前後の余地)を確保して
運用しています。
ウチのハウスは100mじゃ!
いや130mじゃ!
いやいや150mじゃ!
ハウスは20棟!
30棟! なにお50棟じゃあ!
メロンなど1万玉!
5万玉! ふん、10万玉だよ〜ん!
と数値誇示を旨とする業界において
その真逆の方針をとっております。
なぜか?
すなわち、これは
リスク分散の典型事例なのであります。
ビニールハウスやトンネルの中
環境は均一ではなく
長くなればなるほど
温度と水分のばらつきが
増大する傾向があります。
例えば温度
両端と真ん中では
通風性、保温性、流動性が変わり
両端は極端な変化があり
真ん中は滞留します。
だから
どこで計測して管理するかで
誤差が大きく変化します。
例えば水分
ハウスの一端から加圧し
チューブで全長に亘り地中噴射しますが
元圧と端末圧の損失が生じて
噴射量も変わりますので
地中水分が場所で変わります。
また病害虫被害
奴らは1棟単位で罹患して
見落とし時や激発時は
ハウス内全域が飽和するまで
止まりません。
例えば枕地
余地が無いと機械の反転が出来ず
常に一定方向の耕起耕転となります。
耕起耕転が行き届かず
両端の土質が低劣化して
しかも機械のムダ歩きが増えて
踏み固めや時間ロスが
発生し累積します。
この傾向は
ハウスが長くなればなるほど
増長します。
それらが、より顕著となり
無視できなくなるのは
50mを超えたあたりから。
機械が100mバックで往復するとか
水圧確保のためにバランス管が必須とか
防除にムダな薬液が生じやすいとか
隠れロスがどんどん増えていきます。
加えて人工、工数の問題が
大きく立ちはだかります。
100m級ハウスになりますと
1ロットとして生育管理するのに
1〜2日しかない作業適期のために
常時2人の張り付きが必要となり
大量生産の効率は
早い段階で低下し始めます。
大規模化するほど
人件費は膨らみ
技術バラツキも増大します。
翻って我が家
ご存知のように
夫婦2人だけでの経営
限られた経営資源で
確実に結果を出す為
1ロットを小さくして
工程柔軟性を保ち
品質偏差を抑えて
しかも多ロット生産で
リスクを分散するという
堅い経営を方針としております。
よって
メロンの生産施設は
あえて!「短く」「小さく」
と、しております。
これ、農村的には
真逆の発想であり
感覚的に受け入れられない
かもしれない考え方かな?
と思います。
しかし私たち的には
今の施設規模ですらも
品質偏差はまだ改善余地があり
もっと均質化を図りたい!
と熱望してしておりまして・・・
ただしその為に
工数が極端に増えては
元も子もないわけで
そこで
いろいろな手法を
技術的創意工夫でカバーしようか
となるわけです。
昨季導入した
半自動換気システム
そして
今季新たに導入した
インバーター式サーキュレーター
いずれも
省力化をメインで考えて
その結果としての品質向上策
であります。
サーキュレーター
循環扇とも言いますが
目的は「室内温度の均質化」です。
涼しくするためではありませんw
ハウス両端と中央部の
流動性・通気性の均質化と
それによる温度偏差の抑制
であります。
温湿度のパッシブ制御
(アクティブ制御でないのがミソ)
これにより
コスト増を抑えた状態で
効果を最大限に合理的に引き出す。
まさに「知恵」であります。
じつは
隠れ投資として
給水ポンプの更新も
昨季しておりました。
配管限度圧 目一杯の高圧化で
損失の影響を抑える魂胆です。
バルブの運用方法と組合せて
現ポンプの最大能力を発揮させて
全体ばらつきを縮小しようと
工夫しております。
日射、温度、水分など
生育諸条件の均質化をすれば
計測精度が向上して
管理基準と実測値とで
乖離が小さくなりますので
誤差を抑えられるんです。
それは
計測と管理の
要因区別を可能としますから
確度高い問題点対策が可能となります。
しかも
限界値に対し中央値を近付けられ
誤差を見越した安全率の見積りを
より小さくできますよね。
目立ちませんが
確実な管理手法の一つであります。
自分でも思いますけど
これって完全に
前職からの考え方であり
基礎的な、定番の管理手法の一つ
なんですよね。
敢えてそうしてる
というものではなくて
体に染み付いたクセ
であります。
思考回路が
そうなっている故の
小柴ふあーむの技術戦略であります。
人生の道を変えて21年。
創業して20年。
一見、畑違いのようですが
ベースの思考とか
やってることなどは
完全に同じことをやってます。
そう、「完全に同じ」です。
創業二十年
モヤっと目指していた姿が
年々、輪郭をあらわにしてきました。
ハッキリと
結果にコミットしてきたな!
という感じであります。
目先の設備投資 数10万円をケチって
同等のの隠れ損失を
毎年垂れ流し続けるのか・・・
それとも
一気に出血して膿を出し
元凶を取り去り体質を変え
視界が変わる快感を味わうか・・・
基本諸元から作り込み
その再現のためにコストをかけ
効率と性能と信頼性と生産とを
ベストバランスさせる。
この快感を
自分らの手で勝ち得たい。
それが
経営のモチベーションとなってます。
頭を獲ることに興味はなく
横溢する玄人好みのアイデンティティで
小柴ふあーむならではのモノづくりをして
お互いに感性の合うお客様が集まり
信頼を得ていく。
モノを売るな?
何をおっしゃいますw
生産業たるもの
モノが全ての源であります。
モノがお客様を納得させない限り
信頼関係は醸成されません。
お商売の基本だと
そう私たちは考えます。
またまた今回も
蘊蓄が長くなりました。
殊に技術論となりますと
余計に拍車がかかってしまいます。
これって
モノを売らずに
価値を売ってることになるのでしょうかねw
まあ、私たちの場合は
ゴリゴリの製造業上がりなので
この分野の蘊蓄になりますと
どうしてもこうなっちゃいます。
どうぞお許しくださいませ。
それでは
次回「大暑」の候に
またお会いしましょう!
気象変化激しいおり
どうぞお身体ご自愛くださいませ。
北海道 小柴ふあーむ
代表 和美
その夫 孝志
フェイスブックページ 「~勇気ある生き様~ 北海道 小柴ふあーむ」