<企画政策部長>
これまでも駅前の再開発であるとか、そういった大きい事業については計画の段階で説明をしてきたと考えております。今回の国家戦略特区につきましては先ほど会津議員は申請という言葉を使われておりましたけれども、これは市からのアイディアということで提案をさせていただいたものでございます。従いましてそれについての国からの回答は3月28日まで全くなかったものでございます。それを取り上げられるかどうかということも市としては承知してなかった状況でございますので、そのことに関してはご理解いただきたいと思います
<会津議員>
ぜひあの、議会審議の後に説明会を開くということは絶対にやめていただきたいと思います。続いてあの、国家戦略特区そのものについてなんですけども、韓国では多くの国民の反対を押し切って2012年の3月に米韓FTAが発効されました。これは二国間TPPとも言われています。日本ではあまり報道されませんでしたが、10万人規模の反対デモが起きています。韓国の医師団はゼネスト集会も開いています。しかしながらFTAは結ばれてしまったわけで、仁川、そして釜山など韓国内に医療や教育そして観光で外貨を稼ぐための6つの経済自由特区が作られました。特区内では自由診療が進められています。仁川空港の近くには900床の外国人向けの病院が作られて、医療ツーリズムがはじまっています。これから日本で起こるであろうことがお隣の韓国ですでに始まっています。ちなみに医療ツーリズムはタイ、インド、マレーシア、シンガポールなどでもすでにはじまっています。今更日本が始めても手遅れなのではないかなということを指摘しておきます。
特区内には営利を目的とした病院も認められました。韓国も国民皆保険制度です。韓国では当初営利目的の病院というのは外国人専用の医療機関で、外国人が設立して、外国人の医師が外国人を診療するものと決められていたんですけども、韓国内の病院がこれに反対して、外資系の病院だけ営利病院を許すというのは逆差別に当たるという風に平等権を主張していまして、その後、法律が数回改正されて、国内資本49%まで投資できる病院が認められました。ここでは韓国人のお医者さんが働いています。医療費は保険で定められた費用の6倍から7倍と言われています。次は特区外の病院が平等権を主張して、特区の外にも営利病院ができるかもしれないという話で出ているそうです。実力のあるお医者さんは当然待遇のいい営利病院に集中します。韓国ではこれからお金のある人は民間の医療保険に入って、お金のない人は健康保険となって二元化がすすめられる。結局、健康保険財政は徐々に萎縮して、国民健康保険は破たんするだろうと言われています。こういった韓国の状況ですね、前例を見てどのように思われるでしょうか。
<企画政策部長>
ただいま会津議員の方から韓国医療制度についての例を挙げていただきました。韓国医療制度は日本の皆保険制度を参考にして構築されたものであると伺っております。高齢者の負担割合や稼働年齢層の負担割合と変わらないといった意味では日本の医療制度とは異なっていると判断しております。また韓国では国内において営利目的の病院の開設が認められているというお話でありましたけれども、日本におきましては、営利病院につきましては医療法の第7条第5項の規定におきまして営利目的の病院は開設の許可を与えないことができるとされています。従いまして日本におきましては今回の国家戦略特区にあっても営利目的の病院を開設することができないものと考えておりますので、韓国の例が日本の例になるということは想定しておりません。
<会津議員>
じゃ、営利病院ではなくて混合診療だけを見て韓国をぜひ参考にしていただきたいなと思います。一昨日の10日に安倍首相は混合診療の拡大を表明しております。これに対して日本難病疾病団体協議会や患者団体の有志などが医療の安全が保てず、金持ちしか優遇されないと反対をしております。
簡単に言うと、できないことをできるようにするのが国家戦略特区であると思います。日本は保育の民営化だったり介護の民営化、そして大阪市では水道の民営化が始まると、始まるそうです。医療が次お金儲けの対象になることはもう時間の問題なのではと考えています。韓国もはじめはやらないと言っていたことが、米韓FTAが結ばれたらもうなし崩し的に規制緩和が進みました。しかも韓国の場合はラチェット条項があるので一度営利病院を作ったらもうそれを取り消すことができないんです。もし取り消そうとすればそれはもうISD条項によってアメリカの資本家から韓国政府に対して訴訟がとり起こされます。まだ日本はTPPには参加していません。だけどこのまま日本も規制緩和がどんどん進んでTPPに参加することになれば、ラチェット条項によって決して後戻りはできないんです。聖域など無くなります。規制緩和どころではなく規制がなくなると思います。ですから韓国の例から学ぶことってたくさんあると思うんです。ぜひ、参考にしていただきたいと思います。それから韓国はあのアメリカ企業のために23の法律を含む63の法令を変えているそうです。アメリカは1つも変えていません。日本が外資系の企業に乗っ取られてしまう。私は本当にそういった危機感を抱いています。そしてその成田市はそのスタートラインに自ら手を挙げて立ってしまった。本当になんてことをしてくれたのかなと思います。
それから就労ビザの緩和についてなんですけども、外国人労働者を受け入れることに私は反対しているものではありません。ただ、外国人の言語だったりそれから社会保障、そして最近国内で問題となっている差別的思想など課題が非常に多いんですけども、これらについてどのように対応するおつもりでしょうか。
<企画政策部長>
現在のところ本市において就労ビザの緩和を伴う事業が実施されるか否かについてはまだ未定でございます。実施する場合に想定される会津議員からご指摘がありましたような諸問題につきましては、本市単独での対応は困難でございます。国や関係機関と連携して参りまして、外国人労働者の受け入れ環境の整備について検討を行っていくことが必要であるとそのように考えております。
<会津議員>
就労ビザの緩和についてはその外国人観光客のためという話も聞いたんですけども、実はその建設分野とか介護分野、人材不足に悩む分野が海外の安い労働力に頼ろうとしていることにつながるのではないかなと考えます。ですのでその外国人の権利が保障されないうちにそういったことを提案するというのはいかがなものかなと思います。それから国家戦略特区…続いて農業について伺いたんですけども、国家戦略特区ワーキンググループ有識者等からの集中ヒアリングでは農業についてこのような話が出ています。会議録を読みます。
「私は率直に言うと農業はどうでもいいと思っている。どうでもいいということの意味は、成長戦略と関係ないからである。農業は全体の出荷額は8兆円しかなくて大きな企業1社分である。そこをどれだけ力を入れてやったところで、どれだけ日本の農業がうまいものを作って法律がよくなっても今我々が倍を食すということはできない。成長産業とか言うけれども、対したことはないと思っている。」
このようなことをワーキンググループのなかで言われているのですけれども、成田市は農業分野の規制緩和によって、どの程度の経済効果を見込んでいるのでしょうか
<企画政策部長>
農業分野の規制緩和の経済効果の試算は、現在のところ行っておりませんので、ご理解いただきたいと思います。