
先週の金曜日は、市議会9月定例会最終日でした。
私は、昨年度の一般会計決算の認定について、反対の立場から討論を行いました。
反対討論の原稿をこちらに貼り付けます。
いつものように、議場で読む直前まで修正しているので、実際の討論とは多少異なっていることをご了承ください。
成田市が、真に持続可能な自治体になることを願ってやみません。
<本会議討論>
討論に先立ちまして、今回の台風25号による大雨災害によって、お亡くなりになった方々に心よりお悔やみを申し上げるとともに、現在も行方が分からない方々の一刻も早い救出を心から願っております。
また、浸水や土砂災害などにより、被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。
成田市内においても、大規模な浸水被害が発生しています。被災された皆さまが一日も早く安心できる生活を取り戻されること、そして一日も早い復旧・復興を心から願っております。
今回の災害は、私たちの暮らしが気候危機の脅威と隣り合わせにあることを、改めて突きつけるものとなりました。
このことも踏まえ、2025年度、令和7年度一般会計決算の認定について、反対の立場から討論を行います。
はじめに申し上げますが、昨年度は、評価できる施策も数多くありました。
第1期成田市こども計画が策定され、子どもに関する施策が推進されました。中でも「こども・若者参画推進事業」では、「こども未来政策委員会」が発足し、若者の視点を生かした提案が実現されました。
住宅等対策事業では、空き家改修に対する補助制度が創設されました。昨年度の実績は3軒ですが、市内には1,400を超える空き家が確認されています。今後、さらに制度を拡充し、空き家の利活用につなげていくことを求めます。
環境保全型農業推進事業では、成田市がオーガニックビレッジを宣言し、有機農業技術研修会、市内有機農家の魅力を伝える動画制作、オーガニック給食の実施などの、取り組みが進められました。
また、病害虫防除事業においては、成田市のご尽力により、水田への空中散布について、すべてではないものの、ほとんどの水田で使用される薬剤がネオニコチノイド系農薬から変更されたことについても、評価しております。
公民館では、主催講座が増やされ、社会教育が推進されました。また、公民館運営審議会や市民の意見が反映され、公民館使用料の実質無料が堅持されました。
学校給食事業では、物価高騰や職員の異動があっても、変わらず給食の質を保つため、学校給食用物資選定の基本事項が策定されました。さらに、食材価格の高騰分について公費負担が行われ、安心安全、そして美味しい給食の提供が維持されました。
このように、これまで私が議会で求めてきたことが施策に反映されたものも多く、評価すべき取り組みがあったことは、改めて申し上げます。
一方で、昨年度決算には、私が問題だと考える施策も含まれています。
その中心が、拡大型のまちづくりです。
不動ケ岡土地区画整理事業では、計画人口1,400人規模の街をめざし、昨年度は土地区画整理組合に対して9,800万円の助成が行われました。総額では20億円の助成が予定されており、物価高騰によってさらに膨らむ可能性も示されました。
吉倉・久米野地区、東和田南部地区の土地区画整理事業では、人口増加への対応を理由として、市街化調整区域である両地域に都市基盤を整備することを目指し、昨年度は自然環境調査などが行われました。
企業立地促進事業では、企業立地適地調査が行われ、今後の課題が整理されましたが、人材、電気、排水先の確保だけでなく、農業従事者の高齢化・後継者不足、道路や構想駅の整備など、課題は山積しています。
さらに、地下水利用に対する規制がないことから、企業による地下水の利用が増加した場合、地下水資源への影響も懸念されます。
そして最大の疑問は、成田市はこれ以上まちを拡大する余力があるのか、ということです。
昨年度の将来負担比率は126.2%で、県内で最も高くなりました。
また、昨年度に策定された行政改革推進計画では、市債の借入額を元金償還額以下に抑える計画であったにもかかわらず、昨年度決算では借入額が元金償還額を31億円上回りました。
加えて、財政調整基金は年々減少しています。
市が目安としている標準財政規模の10%、約39億円を下回り、昨年度末の財政調整基金は33億円まで減少しています。
そして今年度に入り、JR成田駅西口駐輪場等整備、国際文化会館施設整備、市役所庁舎改修工事、成田小学校改築、さらには東和田南部地区の土地区画整理事業など、さまざまな事業が見送られました。
物価高騰や人件費の高騰が、市の事業に大きな影響を及ぼしています。老朽化した公共施設の再整備さえ予定どおり進めることが難しいことに加え、今回の台風被害によるインフラ復興、生活再建にも多額の財政出動が求められます。このような状況の中で、新たなまちを広げていくことが、本当に財政的に持続可能なのでしょうか。
さらに、人口についても考える必要があります。日本全体で急速な少子高齢化が進む中、成田市においても日本人住民が減り、外国人住民が増加しています。成田市が、空港のさらなる機能強化によって、2050年には人口15万1,091人になると推計しているのであれば、まちを広げるのではなく、すでにある成田ニュータウンをどう再生するのかを考えるべきではないでしょうか。増え続ける空き家の利活用も必要です。
そして、もう一つ見過ごすことのできないのが、自然環境への影響です。
成田市内では、市が把握しているだけでも5年間で97haの森林が伐採されました。これは、私が住む加良部地区の面積92haを上回ります。しかも、下福田や不動ケ岡における森林伐採は、この数字には含まれていません。実際には、さらに広大な森林が失われたことになります。
吉倉・久米野地区、東和田南部地区では、環境省のレッドデータリストに掲載されている植物が23種類、生き物が74種類確認され、自然環境豊かな地域であることが明らかになりました。これらは、開発によって失ってしまえば、元に戻すことが難しい、次の世代に引き継ぐべき大切な財産です。
そして、今、私たちは気候危機がもたらす災害を、まさに目の前で経験しています。これからのまちづくりは、気候危機によって激甚化する災害から、市民の生命と暮らしをどう守るのかという視点が不可欠であることを、改めて思い知らされます。
森林や農地などの自然環境は、雨水を一時的に貯留し、流出を緩和するなど、地域の防災力を支える役割も果たしています。
だからこそ、気候危機が深刻化する時代に、森林や自然環境を開発によって破壊し、新たな市街地を拡大していくまちづくりは見直すべきです。
成田市は「環境先進都市」を掲げています。また、2019年の台風被害を契機に、持続可能で地球環境にやさしいまちづくりに取り組むため、ゼロカーボンシティを宣言したはずです。
脱炭素の取り組みや環境施策を一部で進める一方で、二酸化炭素を吸収し、豊かな生態系を育み、地域の防災力にもつながる森林を開発によって破壊するのであれば、環境先進都市やゼロカーボンという理念との整合性が問われます。
昨年度決算には、私が議会で求めてきた施策が反映されたものも多く、評価すべき取り組みがあったことは改めて申し上げます。
しかし、それ以上に、拡大型のまちづくりに多額の財政負担を伴わせ、貴重な自然環境を破壊することは、気候危機と財政制約が同時に進む成田市にとって、見直すべき問題です。
今あるまちと自然を生かし、市民の命と暮らしを守りながら、未来の成田市民に持続可能な成田市をつなぐことを求め、2025年度、令和7年度成田市一般会計決算の認定に反対します。