「議会の品位を傷つけた」と会議録削除されることになった私の一般質問です。現在も市議会のHPから一般質問の動画を見ることができます。それをもとに友人が文字にしてくれました。

国家戦略特区、投票率の向上、街路樹の三項目を取り上げましたが、国家戦略特区のみ文字起こしされています。


会議録から削除されるのは、赤字の部分です。


文字数が多いので、一度にアップすることができず、4回に分けています。削除の対象となるのは④に載っています。



この件を他自治体の議員に話すと、

「そんなことで削除になるんだったら、何も言えなくなるよ~!」

「よっぽど議会と役所が仲良しなんだね。」

と笑われてしまいます・・・。



会津素子一般質問「国家戦略特区について」




<会津議員>

成田市は国際医療福祉大学に対して、校舎用地20億円を無償貸与し、校舎建設に30億円市の補助を出すことが市議会で決定し、3月には、国家戦略特区に指定されるという大きな変化が続きました。1年前の今頃は、国際医療福祉大学の名前すら聞いていなかったことを考えると、この短い期間によくもこのように次々と難題をぶつけてくれたなぁと、恨めしい気持ちでいっぱいです。国家戦略特区に指定されたことで、国際的性格を持つ医科大学が現実味をもつことになったのですが、ここに、財政負担のほかに3つの問題があることを指摘します。



1つ目の問題は、市民が求める地域医療は、充実するのかということです。成田市は医師不足、在宅医療や、幼児保育の取り組み等の…取り組みの遅れ等の課題を抱えています。また、2009年に起きた成田日赤病院における、医師の大量退職の問題や、2025年には、千葉県内の医師が1170人不足するという県の調査結果が出るなど、地域医療の問題は山積みです。市と大学の構想では、医科大学は医療の輸出、つまり、海外で活躍する人材や技術を育成するとのことですが、これでは、市民が求める地域医療の充実につながるとは思えません。

2つ目の問題は、市民協働が全く入っていない。上から目線のまちづくりであることです。地域医療の崩壊を防ぐため、効果的な案について市民と話し合うことはなく、市当局、国際医療福祉大学のみが当事者となり、内容が決定されました。議会は看護学部の着工、開校時期が決まったあとで説明を受け、市民はさらにその1か月後の新聞発表で知ることとなりました。市の説明会は対案や反論を取り入れる余地のない前提で行われ、国家戦略特区についても市民や議会の知らぬ間に申請を出し、その後、住民説明会では市長が「特区は白紙です」と発言したため、市民も議会も油断していた中での特区指定でした。市民に対して説明責任を果たすべきと考えます。

3つ目の問題は、市長が何度も言われていた医療従事者不足を改善し、地域医療の崩壊を食い止めるという大学誘致の目的が、国家戦略特区による地域活性化…地域活性化策にすり替えられたことです。私は、医療、教育、福祉、労働の分野について規制緩和し、経済成長に従属させる国家戦略特区自体に大きな問題があると考えています。


アベノミクスの目玉として提起された国家戦略特区は、TPPの先取りとも言われ、経済成長の壁となる規制を取り除くものです。現在、TPP交渉は停滞していますが、規制緩和は国家戦略特区で進められることになります。安倍首相はこのように発言しました。岩盤規制といえども、私のドリルからは無傷でいられません。歴史的な経緯の中で、日本国憲法の下、根拠をもって、法律や制度が積み上げられてきたのですが、これを、これらを議会制民主主義外の意思決定で変えようとする手段は解釈改憲と同じです。


特区の歴史を振り返ると、小泉政権時代の構造改革特区、民主政権時代の総合特区を経て、国家戦略特区に至るわけですが、構造改革特区と総合特区は曲がりなりにも、地方分権を理念に掲げ、東京の一極集中を排除し、国民が等しく生活向上できることを目的としていました。しかし、国家戦略特区では、東京圏が特区に選ばれていることから、ますます東京一極集中は強くなり、地方は疲弊することになります。成田市も県内(圏内)では財政的に恵まれた自治体です。特区に指定されたことで他自治体との格差は益々広がることになります。

また、構造改革特区の目的は、国民生活の向上が挙げられていました。これが、国家戦略特区では、国際競争力の強化が1番の目的に掲げられており、国民生活の向上という目的は大きく後退しています。

これまでの特区を推進し、国家戦略特区諮問会議のメンバーでもある竹中平蔵氏が国家戦略特区をミニ独立政府と呼ぶように国家戦略特区諮問会議と、国家戦略特区区域会議では一部の閣僚、民間議員、首長、特区の提案者、つまり一握りの大資本などが規制緩和の権限を持ちます。これは、選挙で選ばれた議員以外に意思決定権を与えるものであり、繰り返しになりますが、議会制民主主義を無視することにつながります。


市と大学が提案した国際医療学園都市構想の中で挙げられている保険外併用診療の拡大の危険性については、多くの専門家が指摘しています。その内容は、

①診療の値段は医療提供側が勝手に決められる。

②アメリカの薬の価格に引きずられ、日本でも薬の価格が上昇する。

③結果、医療費全体を押し上げ、財政赤字を増やす。

やがて、医療提供側はお金を払える患者かそうでないか選別を始めることになるでしょう。


もうひとつの構想エアポート都市構想の中では、進出企業、つまり外資系企業に対する税制上の優遇措置、あるいは外資系企業の施設整備のため、農業振興法や、都市計画法等の土地利用規制の緩和が挙げられています。外資系企業が農地を奪い、オフィスビルを建設するようになれば、第一次産業は益々衰退し、そしてお金は海外に流出します。成田市が狙っている就労ビザの緩和は国内労働市場に大きく影響します。

1度空いたドリルの穴は規制事実となって大きく広がり、やがて、日本全体が規制緩和、つまりTPPを受け入れる体制が整うことになるのです。成田市議会では、201139日にTPP交渉参加反対を求める意見書が賛成派、賛成26、反対0で可決されました。市長は議会の判断を重く受け止めるべきでした。


以上申しましたように、国家戦略特区は、企業のために誕生したものであり、市民生活のことなど微塵も考えられていません。このような特区構想に名乗りを上げた成田市にお尋ねいたします。問題点を3つ挙げました。

1.成田が求める地域医療が充実するとは思えない。

2.市民協働で進められていない。

3.国家戦略特区は市民生活を向上させるものではない。

これらを踏まえ、国家戦略特区は市民生活にどのような恩恵をもたらすのかお答えください。



<市長答弁>

 国家戦略特区は市民生活にどのような恩恵をもたらすのかとのことでありますが、国家戦略特区は、日本経済の再生に向けた第三の矢である、日本再興戦略の要として、国家戦略に相応しいプロジェクトを推進することで、民間投資の喚起により、日本経済を停滞から再生へ導くことを目的としています。本市では昨年9月に世界有数の国際空港を要するという強みを活かし、国際医療学園都市構想及び、エアポート都市構想の2つの構想を国家戦略特区として国に提案し、本年51日に国家戦略特別区域を定める政令が施行され、本市が正式に東京圏の一部として国家戦略特区に指定され、区域指定についても、正式に決定がなされました。

本市が提案した構想が実現することによる効果と致しましては、地域医療の充実、市内の雇用拡大、人口の増加に伴う地域の活性化や、その他多大なる社会的効果、文化的効果、経済的効果などを見込んでおり、今後の本市の発展やまちづくり、市民生活の質の向上に必ずや寄与するものと考えております。

なお、区域計画につきましては、国家戦略特区に及ぼす経済的効果、社会的効果について定めることとなっておりますので、今後、区域計画などの進捗状況に合わせ、精査して参りたいと考えております。


街路樹について(省略)

投票率について(省略)




続きは、次のブログへ・・・。