ふと、プロゴルファー猿のことを思い出したので、僕の大好きなエピソードについて書いておきます。主題歌も大好きですけどね!
ちなみに、見直さないで、記憶が頼りです。細部はご容赦を。
プロゴルファー猿というのは、藤子不二雄先生の漫画で、天才ゴルフ少年・猿谷猿丸(猿)を主人公とするゴルフ漫画です。僕は小学生のときに、主にアニメの方を見ていました。
かなり長期にわたった連載で、それだけに様々なエピソードがありましたが、序盤はミスターXという謎の人物が送り込んでくる、影のプロゴルファー=影プロとの対決がメインでした。
猿はとてもゴルフが上手で、影プロとの対決も連戦連勝でスタートします。
|| 黄金仮面
ところが、何人目かに “黄金仮面” という影プロが現れ、その相手に猿は初めて敗北します。雨の中のラウンドで、はだしでプレーをする猿が足を滑らせてミスショットをしたのがきっかけでした。
負けてうなだれる猿。その猿に、勝者である黄金仮面が、名プレーヤー、ボビー・ジョーンズの言葉を送ります。
「勝った試合からは何も得るものは無いが、負けた試合からは多くのことを学ぶ」
この言葉ですね、今、聞いてもグッときますね。 本当にそうだと思います。
人生、数限りない敗北を味わいます。たぶん、勝ち数より負け数の方が圧倒的に多いですね。そのたびに悔しい思いをします。特に、若い時の負けは悔しいですね。年取ってくると、だいたいのことはどうでもよくなってしまいますが。
少年であり、自慢のゴルフで負けた猿の悔しさは尋常ではなかったと思います。その猿のことを、まるで心配するかのように、勝者である大人の黄金仮面が言葉を掛ける場面。今、見ても、改めて良いシーンだと思います。
|| イーグル
負けた猿は多額の賞金をミスターXに払わなければいけなくなりました。そこで、仲良しの“おっちゃん”に無心にいきますが、なにしろ金額が100万円という高額なので、おっちゃんもビビッて、断ります。
そこに、“イーグル”という名前の外国人が現れて、猿に100万円を賭けてドラコン(飛ばし)勝負を持ち掛けます。
飛ばしには自信がある猿はすぐに了承。オナーを得て、先に打ちます。力のこもる猿。ところが、猿が打つ瞬間にイーグルがクラブを石に打ち付けて音をたて、気が散った猿はミスショットをしてしまいます。「マナー違反だ!」と激怒して、くってかかる猿。
しかし、イーグルは冷静に反論します。
「君はプロだろう?プロが試合中に、カメラのシャッター音が気になって
ミスをしたからといって、打ち直しさせてもらえるかね?」
まるで、猿にプロとしての心構えを説くかのような説明に、猿も黙らざるを得ません。イーグルは、今度は自分の番だから、君はどんなに邪魔してもかまわないと言います。
猿は大声を出して妨害しますが、イーグルはまったく気にせず、ビッグショット。猿は敗北をさとって愕然とします。しかし、イーグルのショットはなぜか途中から曲がって場外へ。OBということで、勝負は猿の勝ちになります。
イーグルは100万円(の小切手だったかも)を渡します。そして猿に言いました。
「そのお金で、もう一度“黄金仮面”に挑戦したまえ」
「なんであんたが黄金仮面のことを知っているんだ!?」 驚く猿を置いて、イーグルは去りました。
とにかく、なんとか賞金(総額300万円)を用意できた猿。ミスターXにそれを渡します。そして、「負けたらあんたの影の組織に入るから、もう一度、黄金仮面に挑戦させてくれ」と言います。このとき、猿にはすっかり闘志が戻っていました。
|| 2度目の対決
ミスターXは猿の申し出を快諾し、黄金仮面との2度目の対決が組まれました。
同じ轍は踏まない。猿は雨の時に備えて、滑り止めとしてマツヤニを用意していました。それを足に塗って、足をしっかり固めて、もうミスショットはしません。
一方の黄金仮面も、相変わらずの正確無比なショットで一歩も譲らない。ところが、ラウンドの最中に、黄金仮面が突然苦しみだし、ミスショットで池に入れてしまいます。この時点で猿の勝ちが決まりました。
地面に倒れこんだ黄金仮面の仮面がはずれて、、、
その正体はなんとイーグル!(今にしてみれば、ベタな展開ですが)
「私の負けだ、ミスター猿」
イーグルさんは、実はかつてスゴ腕のプロゴルファーだったのですが、試合のプレッシャーとストレスからアル中に陥り、表のプロゴルフ界を去り、ミスターXの影プロになった人物でした。
しかし、そんなイーグルさんは、猿の才能を見抜いて、厳しくも温かく、陰ひなたにアドバイスを送っていた、ということだったのです。
これが今から30年以上前の漫画のやることか?
大人になってから見直すと、また違う視点から見られますね。僕もそろそろ、若い世代を助けることを考えていかないといけない、と思いました。