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「心」と「お金」の悩みを軽くするファイナンシャルプランナーの青松光晴です。

 

親御さんが認知症などになった場合のことを心配されている方は多いと思います。もちろんお子さんなどが近くにいて、面倒をみてくれればいいのですが、そうでない場合も多いでしょう。

 

そのような場合はどうすればいいのでしょうか?

 

今回は法律で定めらている「成年後見(せいねんこうけん)制度」について、お話します

 

法務省HP 「成年後見制度~成年後見登記制度~」がたいへんわかりやすくまとめてますので、抜粋を添付します。

 

<成年後見制度>

Q1

成年後見制度ってどんな制度ですか?

A1

認知症,知的障害,精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は,不動産や預貯金などの財産を管理したり,身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり,遺産分割の協議をしたりする必要があっても,自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また,自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい,悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し,支援するのが成年後見制度です。

 

成年後見制度

 

Q2

成年後見制度にはどのようなものがあるのですか?

A2

成年後見制度は,大きく分けると,法定後見制度と任意後見制度の2つがあります
 また,法定後見制度は,「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており,判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。

法定後見制度においては,家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が,本人の利益を考えながら,本人を代理して契約などの法律行為をしたり,本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり,本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって,本人を保護・支援します。
 (※任意後見制度については,Q15をご覧ください。)

 

Q3

「後見」制度ってどんな制度ですか?

 A3

  精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により,判断能力が欠けているのが通常の状態にある方を保護・支援するための制度です。この制度を利用すると,家庭裁判所が選任した成年後見人が,本人の利益を考えながら,本人を代理して契約などの法律行為をしたり,本人または成年後見人が,本人がした不利益な法律行為を後から取り消すことができます。ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,取消しの対象になりません。

 

Q4

 「後見」制度を利用した事例を教えてください。

A4

次のような事例があります。

ア 本人の状況:アルツハイマー病 イ 申立人:妻 ウ 成年後見人:申立人

   概要

 本人は5年程前から物忘れがひどくなり,勤務先の直属の部下を見ても誰かわからなくなるなど,次第に社会生活を送ることができなくなりました。日常生活においても,家族の判別がつかなくなり,その症状は重くなる一方で回復の見込みはなく,2年前から入院しています。

 ある日,本人の弟が突然事故死し,本人が弟の財産を相続することになりました。弟には負債しか残されておらず,困った本人の妻が相続放棄のために,後見開始の審判を申し立てました。

 家庭裁判所審理を経て,本人について後見が開始され,夫の財産管理や身上監護をこれまで事実上担になってきた妻が成年後見人に選任され,妻は相続放棄の手続をしました。

 

Q5

 「保佐」制度ってどんな制度ですか?

 A5

  精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により,判断能力が著しく不十分な方を保護・支援するための制度です。この制度を利用すると,お金を借りたり,保証人となったり,不動産を売買するなど法律で定められた一定の行為について,家庭裁判所が選任した保佐人の同意を得ることが必要になります。保佐人の同意を得ないでした行為については,本人または保佐人が後から取り消すことができます。ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,保佐人の同意は必要なく,取消しの対象にもなりません。また,家庭裁判所の審判によって,保佐人の同意権・取消権の範囲を広げたり,特定の法律行為について保佐人に代理権を与えることもできます。

 

Q6

「保佐」制度を利用した事例を教えてください。

A6

次のような事例があります。

ア 本人の状況:中程度の認知症の症状 イ 申立人:長男 ウ 保佐人:申立人

   概要

 本人は1年前に夫を亡くしてから一人暮らしをしていました。以前から物忘れが見られましたが,最近症状が進み,買物の際に1万円札を出したか5千円札を出したか,分からなくなることが多くなり,日常生活に支障が出てきたため,長男家族と同居することになりました。隣県に住む長男は,本人が住んでいた自宅が老朽化しているため,この際自宅の土地,建物を売りたいと考えて,保佐開始の審判の申立てをし,併せて土地,建物を売却することについて代理権付与の審判の申立てをしました。

 家庭裁判所の審理を経て,本人について保佐が開始され,長男が保佐人に選任されました。長男は,家庭裁判所から居住用不動産の処分についての許可の審判を受け,本人の自宅を売却する手続を進めました。

 

Q7

「補助」制度ってどんな制度ですか?

A7

軽度の精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により,判断能力の不十分な方を保護・支援するための制度です。この制度を利用すると,家庭裁判所の審判によって,特定の法律行為について,家庭裁判所が選任した補助人に同意権・取消権や代理権を与えることができます。ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,補助人ほじょにんの同意は必要なく,取消しの対象にもなりません。

 

Q8

「補助」制度を利用した事例を教えてください。

A8

 次のような事例があります。

ア 本人の状況:軽度の認知症の症状 イ 申立人:長男 ウ 補助人:申立人

   概要

 本人は,最近米を研とがずに炊いてしまうなど,家事の失敗がみられるようになり,また,長男が日中仕事で留守の間に,訪問販売員から必要のない高額の呉服を何枚も購入してしまいました。困った長男が家庭裁判所に補助開始の審判の申立てをし,併せて本人が10万円以上の商品を購入することについて同意権付与の審判の申立てをしました。

 家庭裁判所の審理を経て,本人について補助が開始され,長男が補助人に選任されて同意権が与えられました。その結果,本人が長男に断りなく10万円以上の商品を購入してしまった場合には,長男がその契約を取り消すことができるようになりました。

 

Q9

 成年後見人等には,どのような人が選ばれるのでしょうか?

A9

 成年後見人等には,本人のためにどのような保護・支援が必要かなどの事情に応じて,家庭裁判所が選任することになります。本人の親族以外にも,法律・福祉の専門家その他の第三者や,福祉関係の公益法人その他の法人が選ばれる場合があります。成年後見人等を複数選ぶことも可能です。また,成年後見人等を監督する成年後見監督人などが選ばれることもあります。

 

12

 成年後見人等の役割は何ですか?

12

成年後見人等は,本人の生活・医療・介護・福祉など,本人の身のまわりの事柄にも目を配りながら本人を保護・支援します。しかし,成年後見人等の職務は本人の財産管理や契約などの法律行為に関するものに限られており,食事の世話や実際の介護などは,一般に成年後見人等の職務ではありません。

 また,成年後見人等はその事務について家庭裁判所に報告するなどして,家庭裁判所の監督を受けることになります。

成年後見人等の役割

 

 

13

 成年後見の申立てをする方がいない場合は,どうすればよいのでしょうか?

13

身寄りがないなどの理由で,申立てをする人がいない認知症高齢者,知的障害者,精神障害者の方の保護を図るため,市町村長に法定後見(後見・保佐・補助)の開始の審判の申立権が与えられています。

 市町村長の申立権

15

 任意後見制度とは,どのような制度ですか?

15

任意後見制度は,本人が十分な判断能力があるうちに,将来,判断能力が不十分な状態になった場合に備えて,あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に,自分の生活,療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。そうすることで,本人の判断能力が低下した後に,任意後見人が,任意後見契約で決めた事務について,家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと本人を代理して契約などをすることによって,本人の意思にしたがった適切な保護・支援をすることが可能になります。

 任意後見制度

 

16

 任意後見制度を利用して任意後見監督人が選任された事例を教えてください。

16

 次のような事例があります。

ア 本人の状況:脳梗塞による認知症の症状 イ 任意後見人:長女

   任意後見監督人:弁護士

   概要

 本人は,長年にわたって自己の所有するアパートの管理をしていましたが,判断能力が低下した場合に備えて,長女との間で任意後見契約を結びました。その数か月後,本人は脳梗塞で倒れ左半身が麻痺まひするとともに,認知症の症状が現れアパートを所有していることさえ忘れてしまったため,任意後見契約の相手方である長女が任意後見監督人選任の審判申立てをしました。

 家庭裁所の審理を経て,弁護士が任意後見監督人に選任されました。その結果,長女が任意後見人として,アパート管理を含む本人の財産管理,身上監護に関する事務を行い,これらの事務が適正に行われているかどうかを任意後見監督人が定期的に監督するようになりました。

 

18

 成年後見制度を利用したいのですが,申立てから開始までどれくらいの期間がかかるのでしょうか?

18

 審理期間については,個々の事案により異なり,一概にはいえません。鑑定手続きや成年後見人等の候補者の適格性の調査,本人の陳述聴取などのために,一定の審理期間を要することになります。多くの場合,申立てから成年後見等の開始までの期間は,4か月以内となっています。

 手続の流れ

19

 成年後見制度を利用したいのですが,具体的な手続はどのようにすればよいのでしょうか?

19

 1  法定後見制度(後見・保佐・補助)のご利用をお考えの方へ

 法定後見制度を利用するには,本人の住所地の家庭裁判所に後見開始の審判等を申し立てる必要があります。手続の詳細については,申立てをされる家庭裁判所にお問い合わせください。

 2  任意後見制度のご利用をお考えの方へ

 任意後見制度を利用するには,原則として,公証役場に出かけて任意後見契約を結ぶ必要がありますので,手続の詳細については,お近くの公証役場までお問い合わせください。

 

以上のとおり、手厚く支援される制度で、これで十分なようにみえますが、実態はそうはいきません。

以下、デメリットを挙げます。

 

■費用と手間がかかる

 申し立て(数万円~)、後見人への報酬(月数万円)等がかかります。とくに報酬は毎月であり、長期にわたる場合、高額になります。手続きも煩雑で、時間もかかります。

 

■財産が一定以上ある場合、親族は後見人になれない場合が多い。

 後見人が親族であれば、無報酬ということもありえます。しかしながら、財産が一定以上ある場合、第三者になる場合が多いようです。親族後見人による横領の防止という観点からですが、そうなると誰が後見人になるかもわからず、報酬も発生します。

 

■職業後見人(弁護士・司法書士)がビジネスとして請け負う可能性

 後見人が弁護士などになった場合、誠心誠意をもって請け負ってくれればいいのですが、なかにはビジネスとして請け負う場合もあるでしょう。そうなると、余計な報酬が発生するような行動に出ないとも限りません。たとえば、通常の財産管理以外に特別な行為(不動産の売却など)をした場合には、付加報酬を支払わなくてはいけません。 

 

■相続税対策ができなくなる

 相続税対策として、生前贈与や、生命保険の加入、不動産の購入、賃貸不動産の経営等が有効なケースがあります。成年後見制度を利用すると、このような相続税対策を実行することは難しくなります。成年後見制度は、本人の財産を保護するための制度であり、相続人を保護するためのものではないからです。

 

■積極的な運用ができなくなる

 不動産投資や株式投資等の積極的な資産運用はできません。

 

以上のとおり、デメリットも多々あります。

では、どうすればいいのでしょうか?

 

財産管理は任せたいが、資産運用や相続税対策もしたいという場合は、民事信託という選択肢が考えられます。

次回、お話しします。

 

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