1.記憶にのこる事件・事故

年初から4月にかけて記憶に残る重大な事件・事故があります。
1月2日はナホトカ号の油流出事故(1997年)、1月17日は阪神淡路大震災(1995年)、
3月11日は東日本大震災(2011年)、3月20日は地下鉄サリン事件(1995年)、
4月25日は福知山線脱線事故(2005年)。

そして、ゴールデンウィークに入るといつも思い出すのが、
チェルノブイリの原発事故です。
今から26年前、1986年4月26日の出来事。
当時私は中学に入学した直後。その3ヶ月後には西ドイツに行くことになるのですが、
チェルノブイリから遠く離れたドイツでも大きな話題になっていました。
そこからドイツでは原発に対する考えが変わり、福島の事故の際には
あっという間に街からガイガーカウンターが消えたといいます。
そして、原発ゼロへ向かってドイツは動いています。(原発大国フランスから電力輸入という矛盾がありますが)

2.2012年5月5日日本国内で稼働する原発がゼロに
さて、チェルノブイリの話から始まりましたが、
福島の事故も1年が過ぎ、今日5月5日で日本国内で稼働している原発がなくなります。

これを機に、日本国民として、今後の電力の在り方を考えなければいけないと思います。
遅くても来年実施される衆議院選挙や参議院選挙では
消費税・TPPと並んで、原発については大きな争点になるでしょう。
(個人的には消費税増税賛成、TPP推進賛成、原発再稼働反対です。)

原発の再稼働問題は色々な視点からの検証が必要ですし、
いい悪いの話ではないし、感情で判断せず、論理的に判断すべきことです。

その視点ですが、第一に安全面、第二に経済・生活面です。
(防衛の観点で声高に主張する人がいますが、それは優先事項ではありませんし、
 代替手段は他にもあるので、再稼働と絡めるべきではないでしょう。)

安全面において、あのような事故が起きた以上、原発が安全でないことは
明確ですし、再処理技術がなかなか確立しない以上、原発は推進すべきではありません。

では、経済・生活面ではどうなのでしょうか?

色々調べていると、
・原発は安いコスト
・火力も原発も変わらない。
・原発のほうが高い
等色々な意見がネット上でもあります。

そこを私なりに検証してみようと思ったのが今回の趣旨です。

3.原発は安いのか。
結論から言うと安くはない。
原発推進派の都合のいい情報発信があるので、安く見えるけど、その範囲によって大きく変わる。
ということがあります。
でもニュースなどでは、原発停止で燃料費が三兆円増えると
か言っている現実があります。
これは「変動費が高い火力」「初期投資・固定費が高い原発」の特徴によります。

つまり、原発が安いのか高いのかは活用方法次第であり、
賃貸マンションと持ち家とどっちが安いのかという議論に近いです。

4.東電の決算書から算定
東京電力の2011年3月期の決算書と、政府の発表などを元に算出しました。

4.1.原発の資産
23年3月期決算書に基づく。

設備を見ていく。
固定資産の内訳としては下記のようになっている。
水力発電設備:約6800億円
火力発電設備:約9400億円
原子力発電設備:約7300億円
送電設備:約2兆円
変電設備:約8300億円
配電設備:約2兆1500億円

その他核燃料が約8700億円資産計上され、
装荷核燃料が約1300億円、加工中等核燃料が約7400億円となっている。

また、使用済燃料再処理等積立金が約9800億円ある。
原子力にかかる資産の合計は約2兆5800億円となり、
水力や火力に比べるとかなり多い。

資産の対になる負債も同様に存在し、
使用済燃料再処理等引当金:約1兆1900億円
災害損失引当金:約8300億円
資産除去債務:約7900億円
となっている。

22年3月期決算書と比較すると、大きな増加があったのが下記になる。

資産部門
・減価償却で各発送変電設備が減少する中で、原子力発電設備だけは約600億円増加している。
・使用済燃料再処理等積立金も約1600億円増加している。
負債部門
・災害損失引当金が激増している。
 22年3月期では930億円だったのが、約9倍に増えている。
 引当不足であった大きなところ。
 仮にこの災害損失引当金の増加分約7400億円を単純に40年で割ると、年あたり185億円の引当不足である。
 しかも今回の災害からして、この額が妥当とは言えず、2兆円を超えるといわれる損害賠償を考えると、
 年間500億円の引当不足である。
・資産除去債務に至っては昨年までなかったもの。
 しかし、いつか資産を除去することを考えると、その引き当てはしてしかるべきものである。
 原発は除去にもコストがかかるということ。
 この7900億円を40年で割ると年約200億円引当不足。

23年3月期決算書によると、福島原発に関連し減損損失を認識
した資産は約1兆円となっている。

ここからすると、本来原発のコストとして計算すべき費用が
約400億円~700億円毎年抜けていたということ。
これら負債に関連して、特別損失で約1兆円計上されている。

4.2原発の費用
損益計算書を見ていくと、各発電費が出ている。
水力発電費:約900億円
火力発電費:約1兆8100億円
原子力発電費:約5200億円
他社購入電力費:約5000億円

前述のように、災害特別損失が約1兆円計上されている。
22年3月期は下記のようになっている。
水力発電費:約870億円
火力発電費:約1兆4600億円
原子力発電費:約4900億円
他社購入電力費:約5200億円

減価償却がどのように計上されているかはわからなかったが、
仮に各費用に含まれているとする。

上記が「費用」と言われているものだが、
災害特別損失等にあがっているような「引当金不足」のものを原発の費用に計上するべきである。
そうすると、
700億円加算され、原発の費用は約5900億円になる。

また、国が支払っている電源三法交付金もコストとして計算すべきである。
最近の金額が分からないが、2004年に福島原発には130億円、

六ヶ所村が約90億円支払われているという記事があり、これも加算すると6100億円を超えてくる。

4.3.原発の売り上げ
電気事業の収益は23年3月期で約5兆円、22年3月期で約4兆7000億円です。

東京電力は原発の発電量ですが、調べていると色々な数字がみつかりどれが正しいかわかりません。
23%~32%までありました。
最近のぽいのが水力10%、火力62%、原発28%なので、これで計算。

原発の売り上げは約1兆4000億円、コストは約6100億円。
火力の売り上げは約3兆1000億円、コストは約1兆7000億円
水力の売り上げは約5000億円、コストは約900億円
となります。
実際には「地帯間購入電力」が約2000億円、他社購入電力が約5000億円あり、
売り上げのほうにも他社販売電力量が約200億円、地帯間販売電力が約1400億円あるのですが、今回は比率を見たいだけなので、
それは無視しましょう。
(無視といっても、上記の差額が約5400億円あり、相当な経費ではありますけど。)

売り上げに対するコストの割合が
・原発:約44%
・火力:約55%
・水力:約18%
ということで、確かに火力は原発より高いということがわかります。

5.数字のマジック
巷では、原発を止めるとコストが8000億円東電だけで増えるといわれています。
原発が28%だとすると、火力の経費から換算しても確かにそれぐら増えるでしょう。

ここが数字のマジックです。
仮に、火力100%という設計で東電が発電所を作っていた場合、
かかる発電コストは約2兆8000億円になるはずです。
今火力水力原子力を足したコストは約2兆4000億円です。
これだと4000億円しか増えません。(それでも大きいですが)
この違いは何か。

これは推測ですが、
・初期投資・固定費(減価償却含む)が高い半面、変動費が少ない原子力発電
・初期投資・固定費が少ない半面、変動費が高い火力発電
の違いではないかと思います。

たとえば、火力を全部止めたら、火力のコストはほぼゼロに

近くなるでしょう。
でも原子力を全部止めても、原子力のコストは稼働している
ときとほとんど変わらないのです。

なので、原子力をとめて火力にすると8000億円増えるという話と、
原子力と火力では、火力の方が大幅にコストがかかるという

話は「別」です。

例えるなら
・火力はアルバイト社員ばかりで、店舗の数によってコストの調整がつきやすいし、稼働数も増やしやすい組織
・原子力は正社員が基盤を作って、変動費はほとんどかからないけど、縮小や拡大には不向きな組織
という違いです。

原子力発電を止めてもコストは全然減らない、
そして、火力の稼働を増やせばそれに比例してコストが増えるという構図です。

ですから、石油が安かろうが高かろうが、原発を止めて火力にすれば、コストは必ずあがるのです。

さきほど計算した売り上げに対する費用の割合もどれだけ発電するかにかかってきます。
火力はぶれはばが為替要因や原油価格の影響を受けるのに対して、
原子力発電は稼働率の影響を受けます。
それらによってぶれることを考えると、
火力と原子力どちらが高いとは言えません。

また、引当金の計算方法、減価償却・固定資産税の扱いなどによって、大きくぶれますから、
計算方法によってはkw単価は原子力発電のほうが高くなる可能性も大きいです。

以上。


東北新幹線が新青森まで開通した。
東京から新青森まで最短3時間20分だそうだ。

東京から博多は最短5時間10分ちょっと。
北陸新幹線が開通すると東京から金沢が最短2時間20分程度になるらしい。
九州新幹線が全通すると博多から鹿児島中央は最短1時間20分。
仮に青森から東北・東海・山陽・九州新幹線を乗りついて鹿児島まで約10時間。

一昔前は青森も鹿児島も東京からは寝台車であったことを考えると、すごい時短である。


しかし新幹線の路線図を見ればわかるが、
東京から北に東北(+秋田・山形)、上越、北陸新幹線が伸び、
西に東海・山陽新幹線が伸び、その先に九州新幹線がある。
東京との利便を第一に考えて出来ている。


その結果おかしなことが起きている。
・青森ー秋田は特急があっても2時間40分。
 ほとんどの時間帯は3時間以上かかる。
 青森は東京まで3時間20分、秋田は東京まで4時間。
 近県なのに、距離が相対的に遠ざかっている。
・秋田ー新潟は3時間40分。
 新潟は東京まで2時間ちょっと。
 日本海の距離は相対的に広がっている。
 ということは青森から新潟は大宮経由で距離的には遠回りの方が早いということ。
・新潟ー糸魚川は2時間。
 同じ県内であるが、新潟にとって糸魚川と東京は同じ時間。


この他にも大館ー新庄間は特急がなくなり非常に不便になり、
盛岡ー青森間は第三セクターとなり値段があがっている。

結局新幹線は東京の人が出張や観光に、地方の人が出張や観光に使うものであり、
生活の足ではない。生活の足はどんどん衰退していく。


そう考えた際に、私が納得できないのが福井県の新幹線誘致姿勢である。
もし福井や敦賀に新幹線が開通すると、東京から福井はおそらく3時間を切る。
しかし得られるものの割に代償は多い。
既に北陸新幹線の一部は第三セクターになることが決まっている。
特急王国の北陸新幹線においてこれは致命的で、
生活の足となる電車が減る上に、おそらく料金もあがる。
私の生まれ故郷石動は時々特急が止まる駅だが、もう止まらなくなるだろう。
父の故郷の最寄り駅である秋田県の湯沢駅を見れば急激に衰えることは間違いない。


福井はどうだろうか?
福井は今でも米原経由で東京から約3時間30分。
敦賀は3時間を切る。
仮に北陸新幹線ができても、東京との距離において時間の恩恵はほとんどない。
金沢から福井は約50分だから、北陸新幹線からの乗り継ぎで約3時間10分。
福井まで延伸しなくても延伸してもほとんどメリットは変わらない。
大阪から福井も現在1時間50分程度。


多少の時間短縮の代償として
・多大な工事費地元負担
・在来線の切り離しで生活の足が減り、料金があがる
・地元の負担以外に当然工事費が投じられる。これは税金である。
と考えると、福井への延伸はするべきではないというのが私の考え。


福井以外の人は税金を使われるだけだし、
福井の人も東京・名古屋・大阪とのつながりにおいてほとんど利便性がないどころか
生活的にはマイナスになる恐れもある。


むしろここは杓子定規に「新幹線誘致!」というのではなく、
頭を使って「実」を取りに行くべきだ。


例えば金沢から福井、米原から福井、京都から福井において
JRに特急の範囲でのスピードアップと増発、乗り換えの利便性向上を訴える。
場合によっては秋田新幹線や山形新幹線でやっているような
在来線との乗り入れによる乗り換え負担軽減も考えられるだろう。
名古屋どまりのこだまを延伸し、米原から乗り入れてもらうとか
金沢から乗り入れてもらうとか。


現在の東海道新幹線のダイヤを見ると、
のぞみが1時間に7本ぐらいあり、ひかりが2本、こだまが2本ぐらいだと思う。
新幹線は大都市間の交通手段になっており、その間の恩恵は実は少ない。
静岡県は1時間に11本も通るのに、とまるのはひかりの半分とこだまだけ。


民主党政権は新幹線についての政策を改め取捨選択する必要がある。
説明を省くが私は北海道新幹線の札幌延伸は賛成だが、
上記に書いたように北陸新幹線延伸は反対、長崎新幹線も反対。
むしろJRと地元が協議して最適な地域を盛り上げる策を考えるべきであり、
新幹線誘致は政治家の怠慢・逃げだと思う。

昨年のJリーグ。
一番の驚きはFC東京のJ2降格だった。
また、ここ数年上位争いをしていた清水エスパルスは今年も正念場で失速し、
優勝を逃した。
両チームとも天皇杯もいいところまでいったが、優勝には手が届いていない。

この両チームのオフは対照的。
方や主力がほぼ残留した東京、伊東・市川・西部など貢献者も放出し、
藤本・岡崎など主力に移籍の決定・噂がある清水。

ここで思うのは「どちらが正しい」んだろうか?

「チーム強化」「責任の所在」「チームとしてのアイデンティティ」の3つの視点があると思う。

1.チーム強化
この2チームはここ数年上位争いをすることはしばしばあったが、
重要な試合に勝ち切れず(東京は一昨年ナビスコ制したが)、リーグ優勝を出来ていない。
仲良し集団的な「ぬるま湯」体質は以前から指摘されている。
「皆で」ということは一見いいことのように見えるが、
逆にいえば「リーダー不在」「無責任」につながる。

私は個人的にあまり好きではないのだが、星野仙一監督は中日でも阪神でも
大幅な選手の入れ替えを断行した。
これは危機感をあおるのと同時に血の入れ替えを通して、チーム力の強化を図ったわけである。
そして、そこで加入した落合や金本などの活躍で見事優勝まで行っている。
その際には主力の放出も辞さない姿勢だ。

この点でFC東京の主力残留は「甘い」という見方もある。
陥落した選手たちで再度上に上がれるのか?という考え。

逆に清水は一部の選手は自分から他のステージを目指し出て行き、
一部の選手は放出され、一部は残留。
少なくとも半分以上、レギュラーは入れ替わる。
これによりチームの仲良し体質を一掃し強くなれば目的を達成できるかもしれない。

どちらがチーム強化につながるのか?

2.責任の所在
清水は長谷川監督は解任され、選手も放出されている。
それに対して東京は途中で監督は解任されたが、主力選手はほぼ残留している。

しかし成績不振の一番の原因はどこだろうか?
監督?フロント?サポーター?選手?
一番は選手にあるだろう。
もっといえば「チーム体質」にあるのかもしれない。
日本代表「候補」は多いが主力は少ない、
若いころから下の代の代表に入る人は多いのに、フル代表には定着しない。
このチーム体質。FC東京に入ると成長が止まるという人もいる。
平山・梶山・徳永などを見ているとそうだ。赤嶺は出て行って輝いた。

と考えると、選手の責任追及が弱いとも感じる。

優勝できない責任は選手にあるのか?ないのか?

3.チームとしてのアイデンティティ
しかし、仮に、優勝を目指すからといってなんでもいいのかという考えはある。
各チームのは戦術や選手育成などにおいてカラーがあり、
極端な話、選手が全員入れ替わって優勝したらいいのか?ということ。
特に応援しているサポーターは何らかの理由で共感して応援している。
強くなればいいというものではない。
その理由に選手は大きな影響を与える。

今回東京のサポーターは胸をなで下ろし、清水のサポーターは落胆しているだろう。
でもこれ自体本当にいいのか?
サポーターは何をチームに求めているのか?

東京は皆で上を目指すと言っている。自分から出ていく選手が少ないのはいいことだ。
しかし「クビ」になる選手が少なすぎるようにも感じる。
若手の重松がレンタルで出て行き、レンタル中の赤嶺は完全移籍、
レンタル加入していた大黒がいなくなるが、それ以外に「粛清」にあった人はいない。
いくらアイデンティティがといっても、ちょっと甘くないかと思う。
また、「お前らなんかと一緒にやってられねえから出ていく。裏切り者と呼ぶやつは呼べばいい」
という選手はいない。

この三つの観点は組織や国にも共通している。
JALの問題を見てもわかるように、社員は責任を取らず、継続を優先する。
整理解雇に訴訟なんて、破たんした会社の社員が何を言うという感じがする。
国も島国の特徴だろうが、国民自体が外国人の受け入れに消極的で、
出て行く人も少ない。

平時にはこれでいいし、「中間」的に生きる分にもこれでいい。
しかし乱世やトップを狙うにはどうなんだろうと思う。
やっぱりナンバーワンかオンリーワンを狙うプロスポーツの観点が
一人ひとりに必要だと思う。
ということで、サッカーの2チームを見て考えたことをつらつら書きました。