父は入院しましたが

わたしは 父がいない生活になんの不満も不便もありませんでした。

父が入院していると言う感覚さえもなかった気がします。

わたしの中で 初めから父という存在がなかったのかも知れません。

本当に父との楽しい記憶がないのです。

わたしが幼すぎて 覚えてないだけなのかも知れません。


ある時 母に連れられ兄と 父のお見舞いに行ったコトがありました。

病室に入って父と会った時

他人に会うような恥ずかしさで モジモジしていました。

父にとって、いつも静かな病室がわたし達が来たこコトでうるさく感じたのか

少したってから父は

「もう帰りなさい!」

・・と、言いました。


わたしはずっと

 「うるさくてそう言われちゃったんだ。」

と思っていたのですが 

大人になってから

「あの時は自分の姿を子供達に見せたくなくて そう言ったんだよ。」

と母が教えてくれました。


何だか悲しくなりました。



父が病院に行く時 

タクシーに乗って行った気がします。

その時 

母も一緒に行ったのか一人で行ったのか

わたしは玄関で

タクシーに乗った父を見ていました。

車の窓を開けて 車に酔ってしまわないように

顔を出すような感じで行ってしまいました。

その前後は何も覚えていません。

父はこのまま入院したようです。

わたしが4歳か5歳の時だったと思います。

その後の生活がどんな風だったのか 記憶がありません。



大人になって知ったのは

父は病気がちだったってコトでした。

よく入退院を繰り返してたと 母は言っていました。

わたしが4人家族という記憶がないのは そのせいだったのかも知れません。

写真でみる父は

盆踊り やぐらの上で太鼓を叩いていていたり

保育園の運動会に楽しそうに参加している そんな姿です。

病弱のイメージが全くありません。

でも 父はやはり体が弱かったのです。


わたしの少ない記憶の中に 

台所のシンクに向かい座ってる父の背中があります。

父はこの時 体調が悪く嘔吐していたようでした。


わたしの父は わたしが6歳になる直前のお正月に亡くなりました。

父の記憶はほとんどありません。

父も母もわたしが小さかった頃から共働きで

その時 父や母が何の仕事をしていたのかもわかりませんが

帰りのお迎えがなかなか来なくて

職員室のソファーでひとりで待っていたことがありました。

わたしには3つ年上の兄もいるのですが

その頃の兄の記憶がまったくありません。

わたしは4人家族でした。

でも 4人家族という感覚がまったくありません。

小さすぎて記憶が無いのか

それとも 違う理由からなのかはよくわかりません。