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【登場人物】
土井さん 社長
三島さん 専務
片山さん 部長・元某大手通信会社部長
内海君 僕と同期の中途採用組。
宮川君 営業マンからの転職
畑野君 弱電技術者からの転職
小林君 自宅の商店のお手伝いからの転職
金田君 奥さんの実家稼業からの転職
村松君 フリーターからの卒業
藤原君 引きこもりからの脱出
イー君 中国から来た元料理人
Ｍ社 ．． Ｎ社案件の窓口になってくれている会社。
宇和さん Ｍ社部長
※2006年～2009年の出来事です。
※登場人物の名前、会社名などは全て仮名です。実際の名前とは異なります。
給料が止まった翌月、約束通り２か月分の給料が振り込まれた。
どこからお金が湧いて来るのか、不思議で仕方ない。
実は社長が大資産家で、自分の資産を会社に注ぎ込んでいるのか．．
もしかしたら、三島さんが大富豪なのかもしれない．．
それでも、いつまでも続かないだろうし、いくら役員とはいえ、
回収の目途が無いのに、こんなにポンポンお金を用立てたりしないだろう。
ではどこから？
打ち出の小槌か、金の生る木でも持っているのだろうか．．．
給料が止まり始めたと言う事は、末期状態だと言う事。
一発逆転の仕事が入るとか、早急にそれなりの仕事を確保しないと、
いつ潰れるか分からない。
そろそろ引き際．．見切りをつける時かな。
でもその前に、急いで、今のメンバーを何とかしてやりたい。
ここしばらく、彼らの受け入れ先を探して、昔の会社の取引先や、
一緒に仕事をしてきた会社など、片っ端から当たっているけど、
未経験に近い状態なら要らないと断られる。
そりゃそうだ。このご時世、僕でも断る。
どうしたものかと考えながら、会社に向けて自転車を走らせていると、
社長から電話が入った。
どうしてこう、いつも出勤中に．．
電話口の社長の声は、随分と怒っている。
社長：
三島さんをクビにしたけんの！
今日から三島さんは会社に行かんけん、そのつもりで居ってくれ！
僕：
え？
でも、経理とか三島さんが居ないと、困る事も多いんじゃないですか？
社長：
それは全部ワシがやる。
昔はワシひとりで全部やりよったけん、やり方は分かっとる。大丈夫じゃ。
とにかく、アイツはイカン！ダメじゃ！
僕：
何があったんですか？
社長：
詳しい事はまた話すけど、とにかく三島はもう会社に来んけんの！
そういう事で頼む！
これだけ頻繁に、それも長期で会社を休む人に、
経理やその他の事務までこなせるとは、とても思えない。
しばらく時間を開けて、三島さんに電話をする。
僕：
いま話せますか？
三島：
いま自宅なので大丈夫ですよ。
社長から聞きました？
僕：
三島さんをクビにしたって、さっき電話がありました。
三島：
そうなんですよぉ。
まぁ、前にも何度かあったんですけどね。
今回も、しばらくしたら戻ると思います。
過去に何度か「クビだ」と言われた事があり、その都度、
事務や経理がどうにもならなくなり、呼び戻されるらしい。
なんなんだ？この二人。
痴話喧嘩なら、会社に持ち込まないで欲しい。
三島：
時々こっそり会社に顔を出すと思いますが、
基本的にはしばらく行きませんので、お願いします。
その日以降、三島さんは会社に来なくなった。
社長も来たり来なかったり。
本格的に危険だ。
このまま会社が崩壊するのなら、その前にやる事が色々ある．．
三島さんをクビにすると電話があった、約２週間後．．
何事もなかったかのように、三島さんが会社に出てきた。
普通に出勤して、普通に仕事をしている。
僕：
大丈夫なんですか？
三島：
はい。復帰しました。
案の定、社長ではどうにもならなくなり、三島さんに復帰を頼んだらしい。
「いつもの事です」と笑う三島さん。
いつもの事で、会社や人を振り回して欲しくない。
そして、その月の給料日。
また給料が振り込まれていなかった．．
続きはこちら → 愉快な社長＜35＞ ～クビの意味～
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