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【登場人物】
 土井さん  社長
 三島さん  専務
 内海君   僕と同期の中途採用組。
 広田君   元々会社に居た人。唯一の常識人。
 小田さん  N社で一緒に仕事。車椅子使用。
 宮川君   営業マンからの転職
 畑野君   弱電技術者からの転職
 小林君   自宅の商店のお手伝いからの転職
 朝日さん  同業種からの転職
 金田君   奥さんの実家稼業からの転職
 村松君   フリーターからの卒業
 藤原君   引きこもりからの脱出
 イー君   中国から来た元料理人。
 
M社 .. N社案件の窓口になってくれている会社。
 
 
※2006年~2009年の出来事です。
※登場人物の名前、会社名などは全て仮名です。実際の名前とは異なります。
 
 
M社のお陰で、少しずつだけど仕事がある。
 
全く仕事が無い状態から比べると、随分良い事ではあるけど、
それでも、毎月大幅な赤字が積み重なっているはず。
 
僕が他社に仕事を取りに行く事は、相変わらず止められていて、
どうにも、もどかしい時が流れました。
 
そんなある日..
 
社長が、若い男性をひとり、連れて来ました。
 
社長:
 今日から仲間に加わる、イー君です。
 中国の方ですが、日本語は大丈夫なので、仲良くしてください。
 
それぞれの自己紹介。
素直そうで明るくて、良い感じの人。
 
ただ..
 
イー:
 いままで料理人をしていて、ずっとIT業界に興味がありました。
 料理とITとで、日中友好の懸け橋になりたいと考えてます。
 頑張りますので、よろしくお願いします。
 
社長:
 彼とは、先日、ワシが行った中華料理屋で知り合いました。
 開発に興味があるようで、彼の方から話し掛けてきての、
 色々話を聞きよるうちに意気投合して、うちに来てもらう事にしました。
 と言う事で、うずら君、彼の面倒宜しく頼む。
 
僕の..聞き間違いだろうか。
 
食事に入った中華料理屋さんで偶然知り合った店員さんを、
意気投合したから、社員として引き込んだ..
 
と言ったように聞こえたけど..
 
僕:
 求人出していたのかと思いました。
 
社長:
 いや、求人はカネが掛かるけん出してない。
 本当言うと、今は人を入れる余裕もないしの。
 でもの、彼は、なかなか大きな夢があるんじゃがや。
 その夢を応援したくなっての。
 
夢を..応援...
 
今は全力で、会社を応援すべき時ではないだろうか。
 
会社は火の車状態。
今こうして経営できているのが、不思議で仕方ない状態。
 
社長も分かっていながら..
 
どうしてこうも無計画なのか。
どうしてこう、思い付きで動いてしまうのか。
 
連れて来るにしても、なぜ素人さんなの?
熱く夢を語ったからと言って、いますぐ売り上げには繋がらない。
ゼロから人が育つのに、何年かかると思ってるの?
 
とは言え、イー君には罪が無い。

社長に良いように言われて、連れて来られたんだろうな。

仕方ない..

 
また、イチから教える事にた。
 
しかし、人員増強は、イー君だけに留まらなかった..
 
 
更にしばらくして、社長がまた人を連れてきた。
今度は、男性2人、女性1人の合計3人。
 
社長:
 今日から仲間に加わる..と言っても、他社でOJTでやってきた人たちを、
 数名ウチで預かり、指導する事になりました。
 中国から来た、アルさん、サンさん、ウーさんです。
 
思考が止まって、何も考えられない。
他社に来た人をウチで指導?うちは研修所ではない。
 
自己紹介をする3人。
3人とも、日本語もたどたどしい。
 
そしてまた
 
社長:
 うずら君。彼らの面倒を頼む。
 それとの、君の家の近くに、ウイークリーマンションがあろが?
 
僕:
 知りません。
 
社長:
 あるんじゃが。
 そこを借りて、もう入っとるけんの。
 家からバス停までの往復と、バスの乗り降りのサポートを頼む。
 
OJT3人:
 ヨロシクオネガイシマス!
 
いやいや待ってくれ。
僕はまだ了承していない。
 
うちからも、彼らのウイークリーからも、最寄りバス停まで徒歩約30分。
始業に間に合うバスに乗ろうとすると、かなり早起きしないといけない。
それがイヤで、自転車通勤にしていたのに..
 
正直めんどくさいし、うちの生活リズムも大きく狂う。
なにより、道中に何かあった場合、責任が取れない。
 
しばらく反論していたけど、どうしても世話をしろと言って譲らない。
 
僕:
 彼ら、今朝はどうやって来たんですか?
 
三島:
 私が迎えに行って、車で乗せてきました。
 
OJT:
 ミシマサン..カンシャシテイマス。
 
僕:
 じゃあ、明日からも三島さんが送迎とか..
 
三島:
 勘弁してください。
 
ですよね。
僕もそう言いたいですよ。
 
僕:
 では、1日か、慣れるまでの数日で良いですか?
 バス停までの往復の道は単純ですし、バスの乗り降りも難しくないので、
 すぐ覚えられると思いますよ。
 
社長:
 彼らは3か月の予定じゃけん、その間は頼む。
 
僕:
 彼らも寄りたい所があるかも知れないし、慣れてきたら自由に帰った方が
 良いのでは無いですかね?
 
社長:
 そしたら、彼らが行きたい所に、お前が付き合ってやったらいい。
 
いや、そういう事を言ってるのではなく..
 
こう言い始めると、絶対譲らない社長。
ひとまず引き受けて、慣れてきた後は、こちらで良いようにさせてもらおう。
 
 
 
 
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