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【登場人物】
 土井さん  社長
 三島さん  専務
 内海君   同期入社の同僚
 
※2006年~2009年の出来事です。
※登場人物の名前、会社名などは全て仮名です。実際の名前とは異なります。
 
 
入社以降、毎日毎日本を読む日々。
今日も読書なのか..
 
 技術書は困った時に見る物で、読み込むものではない!
 
と信じて疑わない僕は、1日8時間の読書が、苦痛で仕方がない。
そもそも勉強キライだし..
 
僕とは対照的に、内海君は勉強が好きで、この状況が楽しいらしい。
 
技術者のあるべき姿は、きっと内海君の方。
直感とその場のノリ、気合いと体力で乗り切ってきた僕は、
きっと技術者向きではない..
 
そんな事を思いつつ、技術書を眺めていると、事務所のドアが開き、
50歳前後?と思われる おっさんが、勢いよく入ってきた。
 
どこかで見たような..あ!この人社長だ!
 
社長:
 はい、おつかれー。
 
僕:
 先日から入社させて頂きました、うず...
 
社長:
 あ、内海君と うずら君ね。
 内海君こっち来て。うずら君はもう少し勉強してて。
 
あ、はい。
 
内海君と社長が部屋を出て行った後
 
三島:
 いまのが社長の、土居さんです。
 
僕:
 ホームページと、幾つかのサイトで写真載ってましたよね。
 
それにしても、自己紹介も何も無しか..
慌ただしい人だな。
 
 
更に読書する事約1時間、社長と内海君が戻ってきました。
 
専務と社長の会話で、内海君は地元の某化学メーカーに出向が
決まったらしい事が分かりました。
 
なるほど。
 
この会社は基本的に、客先常駐で仕事してるのか。
だから普段は、事務所に誰もいないのか。
 
納得納得。
 
 
社長が自席に座ったまま、僕に話し掛ける。
 
社長:
 うずら君は、Linux触った事ある?
 ※Linux .. リナックス。コンピュータのOS.WindowsとかAndroidとかのお仲間
 
僕:
 ありません。
 
社長:
 じゃあ、Solarisは?
 ※Solaris .. ソラリス。コンピュータのOS.WindowsとかAndroidとかのお仲間
 
僕:
 ありません。
 
社長:
 うん、じゃあひとまず今週は、この本読んでて。
 
手渡されたのは、
 
 Linuxデバイドライバ
 Linuxカーネル
 
ぶあつい本2冊。
何の拷問?僕は地獄に来たのか..
 
 
サラサラっと目次や索引に目を通して、どんな機能があるのか目を通す。
内容なんて、全く読む気が無い僕は、なんとなく眺めて読んでるフリ。
 
そんな日が、更に数日付いたある日、社長が突然口を開きました。
 
社長:
 明日、ワシと一緒にN社に行ってもらうけん。
 
N社..大手電機メーカー..のグルーブ企業。
僕の住んでいる地域にも、開発拠点があります。
 
僕:
 はい。
 そこで何をするんですか?
 
社長:
 サーバー機のデバイスドライバーの開発しよる部署があるんやけどな、
 今、そこのプロジェクトが火ぃ吹いとるけん、お前行って消してこい。
 
 
はぁ?
 
 
続く