前回の記事はこちら → 愉快な社長<2> ~面接~
【登場人物】
三島さん 専務
内海君 同期入社の同僚
※2006年~2009年の出来事です。
※登場人物の名前は仮名です。実際の名前とは異なります。
入社当日。
会社の前に行くと、僕より随分と若い人が、
事務所の入り口でモジモジしながら立ってました。
パリッとしたリクルートスーツを着ていたので、もしかして同期入社?
と、声を掛けてみると、正解でした。
軽く自己紹介。
僕:
今日から入社の うずらです
?:
同じく今日から入社の、内海です
内海君。
大阪大学を中退して地元に戻り、アルバイトをしていたけど、
ちゃんと就職しろと親に言われて、応募してきたとの事。
ま、事情は色々あるしね。
年は違っているけど、同期が居るのは少しうれしい。
ふたりで事務所に入って御あいさ...あれ?
面接に来た時は、確か事務所に4,5人いたはず。
求人に出ていた社員数も、6人じゃなかったっけ?
でも今日は、事務所の中には専務しかいない。
三島:
あ、おはようございます。
みんな出払っちゃってて..そこら辺の席に適当に座って下さい。
ああ、お客さんの所に行ってるのね!
忙しいそうで何より!
空いてる席に座ったのは良いけど、何もする事が無い。
入社の手続きが終わったら、本格的に暇になりました。
僕:
何したらいいですか?
三島:
そこらの本とか、適当に読んでてください。
社長の出社待ちかな?と思いつつ、適当に技術書を読む。
果たして内海君は、何次面接だったのだろう。
社長面接はあったのだろうか..
三島さんが離席した時に、内海君に疑問をぶつけてみた
僕:
面接ってどんな感じだった?
内海:
普通でしたよ?
僕:
一次が専務で、二次が社長?
内海:
そうですね。
二次面接の後、採用通知が来たらしい。
あれ?(笑)
五次面接まで行ったのは、僕だけ??
待てど暮らせど、社長が来ない。
専務も何も言わない。
聞いてみても「来るとは思いますよ?」と煮え切らない回答。
黙々と技術書を読み進め、その日は結局、読書で終りました。
結局事務所に居たのは、三島さんと内海君、僕の3人だけ。
その日どころか、次の日も、その次の日も..
事務所は同じ3人だけ。
そして、何もする事がなく、ひたすら本を読む日々。
社長は?と聞くと、「お客さんのところへ」
仕事は?と聞くと、「本を読んでいてください」
え?なに?大丈夫この会社?
内海君は普通に「こんなもんでしょ。」と至って冷静。
これが、中退とは言え阪大出身と、高卒の違いなのか..
いやいやいやいや..
学歴の差で、うっかり納得してしまう所だった。
もう1週間、読書しかしてないし、三島さんの顔しか見てないよ?
社長しか色々指示が出せないのなら、入社日やその数日辺りで、
事務所に出て来たりしないの?
仕事の都合で身動き取れないのなら、
専務や他の社員に指示出したりしないの?
社長自ら現場に出て、第一線で仕事をしている会社なんて、沢山ある。
小さな会社は、どこもそんな感じ。珍しくも何ともない。
以前いた会社もそう。
その前の会社もそう。
みんな、入社日には事務所に居て、配属や業務の説明などしてた。
どうしても事務所に顔を出せない時は、誰かに指示を出していた。
そして、翌日か翌々日には、社長も顔を出していた。
この会社は、そんな事はしないのかな?
面接のとき、三島さんは
「現在進行中の案件が幾つもあって、どれかを担当してもらう」
と言っていた。
そこまで分かっていて、この状態はなに?
勉強させるとしても、担当予定の案件に関する勉強とかじゃないの?
請負で仕事しているのなら、その資料の読み込みとか..
「そこらの本、どれでも適当に..」
って、誰に何を担当させるのかも、決まってないのかな?
今から担当案件を探している感じ?
決まりそうな案件が出てきたから、求人掛けて採用したのかな?
状況がさっぱり分からない..
続く