川越style「すずのや おやさいとくだものとお酒と」リノベーションで生まれ変わった長屋 | 「小江戸川越STYLE」

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「時が人を結ぶまち川越」
川越のヒト・コト・モノ、川越物語りメディア、小江戸川越STYLE。
川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

 

『川越市駅を降りて、のんびり蔵の街へ。
歩いていると、少しずつ日常から心が離れていく。ふっと目をこらすと交差点から見える長屋の灯り。
そこがすずのやです。
青い暖簾をくぐると、昭和30年代に建てられた長屋をリノベーションした温かみのある空間がお出迎え。
ほっと一息ついたところで、店主こだわりの日本酒、特製メニューから今日の一杯、一皿を選ぶ至福の時間。
​今日は、午後からゆるりとのもう。』

 

それぞれの道を進んできて、一点に集約される。

交差点の魅力。作用。

いつの世も、東西南北から続く道の、交差する点は新たな出会いの場で、交差することで刺激し合い、異なるもの同士の交差が、その化学反応が、新しいものを創ってきたのだと思う。

文化、なんて大仰なものが生まれる発端も、きっと交差する作用なのだ。

新しい何かを求め、人は、交差する点に向かって進んでいると言ってもいいのかもしれない。

 

2017年6月にオープンしたのが、「すずのや おやさいとくだものとお酒と」さん。

お店があるのが、本川越駅から歩いて5分。本川越駅から北へ、一番街方面へ真っすぐ進み、連雀町交差点を左折、一つの目の交差点の角に立つ長屋にあります。ちょうど県道川越日高線上にあり、誰もが一度は目にしたことがあるだろう建物。

「すずのや おやさいとくだものとお酒と」
川越市連雀町27-1
平日&土曜日 14:00~22:00 (21:00 L.O.)
日曜日 14:00〜20:00 (19:00 L.O.)

049-272-7794
月曜休(その他不定休あり) 

アクセス​
【電車】
本川越駅から徒歩8分/川越市駅から徒歩10分/川越駅から徒歩20分
【川越駅よりバス】
川越駅東口市内バス神明町方面行きにて【中原町】下車。バス停を背に右に進むと連雀町の交差点があり、渡ってすぐ左に進む。約200m歩いたところで、角のglincoffeeさんの隣。
HP:

https://www.suzunoya-oyasai.com/

Facebook:

https://www.facebook.com/suzunoya.20170620

Instagram:

https://www.instagram.com/suzunoya0620/

Twitter:
https://twitter.com/suzunoya_0620
 

すずのやさんは、長屋をリノベーションした店内で日本酒と地元野菜や旬の食材を生かした料理を提供。

カウンター6席、テーブル12席、立飲みカウンターあります。

 

「こだわれるものはすべて、とことんこだわって、「ほっ」とできる、[川越の止まり木]的な空間を作りたい。

そんな思いでこのお店を開きました。
お店に集う人、お野菜を仕入れている地元農家、日本各地の色々な酒蔵、色々な方のつながりがすずのやを支えてくださっています。」


大工町長屋について。
すずのやさんの入っている建物は、川越で立ち上がった家守会社「株式会社80%」の手がけたリノベーション物件です。
昭和30年代に建てられたこの建物は、相次ぐ増築を経て、リノベーション開始前は空き家になっていました。
テナントも参加しながらの一大セルフリノベーションによって、生まれ変わったこの建物は「大工町長屋」と名付けられました。由来は江戸時代この辺りは「大工町(だいくまち)」と呼ばれ、武家屋敷や職人の方々の住まう地区だったことに依ります。
一箇所一箇所思いを込めて作り上げた建物でお店を営むことを、とても嬉しく、また誇りに思っています。
長屋は現在、東側に「すずのや」さん、西側に「glin coffee」さんが入っています。
 

シャッターが閉じたままだった建物に灯りが灯った、たったこれだけのことが、衝撃的劇的な変化と受け止められ、人をぐいぐい惹きつける。すずのやには地域の人が数多く訪れていて、地域の人ほどこのお店の開店を、長屋の再生を、喜んでいるよう。

工事の最中から、地域では「あの建物、何になるんだろう」と口コミで話題に挙がっていて(通る人みんながそうだったでしょう!)、すずのやの鈴木さんたちは作業の途中にもよく声をかけられたのだという。地域の人にとっては待望の開店。ついに開店したとあっては、気にならないはずがない。

交差点、その立地に長屋があることで、どの方角からも人が流れ、交差する点で立ち止まっては、一息と、暖簾をくぐって思い思いに過ごす。

すずのやは、昼から気持ち良くお酒を呑んで欲しい、と午後からオープンとしていて、お昼時の忙しさが落ち着き、午後のまったりした時間が始まる頃、長屋の表に暖簾がそっと掲げられ、一人、また一人と人が集っていく。

 

店内は開放的な雰囲気で、吹き抜けから降り注ぐ外光が気持ちいい。

テーブル席にカウンター席、立ち飲みのカウンターもあって、いろんなスタイルで過ごすことができる。

それに、お店の外、外周に沿って置かれたベンチに腰おろすこともでき、人と人の交流がそこかしこで生まれるのだ。

まったりと外の静かな風景を臨みながら、というのとはまた違う、人や車の往来がある通り沿いならではの、常に空気の動きを感じる場所。



すずのやのこだわりは、お店のロゴにも入っている「おやさい」と「くだもの」と「お酒」です。
おやさいの多くは川越をはじめ近郊で採れた新鮮なものを使っています。店主自ら農家の皆さんを訪ね、朝採れ野菜がその日のメニューに並ぶこともしばしばです。
ドリンクにはフレッシュなくだものをふんだんに使用。
もともとこの建物は青果店だった時期があり、お店の外観には「フレッシュフルーツ鈴木商店」と書いてあるのです。すずのやと鈴木商店、運命を感じずにはいられません。
ドリンクは様々な種類をご用意。特に日本酒は、好きな人はたまらないラインナップです。「本日のおすすめ」からどうぞ。
​【お酒】
サッポロ黒ラベル(生)
本日の日本酒 時価
すずのや特製 川越パナシェ(はちみつレモン+ビール)
すずのや特製 はちみつレモンサワー
生搾り サンゴールドキウイサワー
自家製 ジンジャーハイボール
自家製 赤しそサワ
その他、果実酒・ワイン・ウィスキー・焼酎など各種取り揃えております。

【ソフトドリンク】
自家製 赤しそジュース(水割り or ソーダ)
自家製 ジンジャーエール(甘口 or ドライ)
自家製 はちみつレモンソーダ
秋田六郷湧水 仁手古(にてこ)サイダー
​*メニューの内容はしばしば変わります。ここに掲載されているものがないことや、新しいメニューが加わることも。

 

一つ一つの銘柄に対するこだわりは、並々ならぬものがあります。

 

 

中でも、すずのやと言えば日本酒の存在は外せない。すずのやの鈴木さん自身がまず日本酒マニアと言っていいほど日本酒好きであり、長く飲食業に携わってきたからこその、他ではなかなか手に入らない日本酒も仕入れることができる強みを持つ。

すずのやで取引している酒屋は7、8店。これだけの数の酒屋と取引しているということに目を見張る。それぞれの酒屋と密に連携し、常に情報を貰いながら、その時一番いいと思った日本酒を入れる。

日本酒は新酒、夏酒、秋酒と季節によって変わっていく。

一本空いたらまた同じものを仕入れるというより、その時ベストのお酒を仕入れるというサイクルを続け、だからお店に行くたびに新たな日本酒と出会える楽しみがあり、日本酒との一期一会がここにあった。

広い日本酒ネットワークがすずのやの日本酒を支え、

川越では見た事ない顔触れに圧倒されるかもしれない。

日本酒は「本日の日本酒」として用意し、相手の好みを聞きながらセレクトした日本酒を提供するというスタイル。グラスと徳利があり、徳利で注文する場合、お猪口を自分で選ぶことができる。

 

 

料理は、すずのやの看板メニューであるおでんをお酒に合わせたい。

5種盛りの他に、単品で、大根、ちくわ、ごぼう、しらたき、ちくわぶ、生ワカメ、シャウエッセン、玉子、はんぺん、ズッキーニ、こんにゃく、じゃこ天、自家製つくね、ごぼう天、がんもを頼むことができます。

そして。

すずのやは、「おでんと日本酒とやさい」と謳っているだけあって、野菜への眼差しはどこまでも真剣で温かい。

地域の農産物を使うことに意欲的な鈴木さんは、農家さんと直で繋がり取引していることでも知られる。

すずのやで使用する代名詞的農家と言えば、川越の福原地区にある「たばちゃん農園」の田畑さん。

他にも多彩なメニューが揃っています。


◆野菜
すずのやサラダ
フルーツトマトのナムル
その他、旬のお野菜を使っていろいろ  
◆あて
すずのや特製しょうゆのひたし豆
いぶりがっこの酒粕クリームチーズ
栃尾油揚げ酒盗チーズ焼
その他、店主の気分次第でいろいろ  
◆​本日のお造り
塩ゆで鶏
あさり酒蒸し おでんだし仕込み
すずのや流だし茶漬け 〜アンチョビ入り〜
その他、仕入れ状況でいろいろ  

 

お酒にお野菜、語らいを楽しみながら、また、おでんに箸が進む。。。

 

夜のとばりが下り、昼呑みから夜呑みへ。落ち着いた大人の時間が始まろうとしていた。辺りが暗さを増すごとに、店内の灯りが暗闇に浮かび上がっていく。夜のすずのやの姿がいい!という人も多いでしょう。

県道沿いにこれだけの明るさが出来たというのが一つの事件的。

光に誘われて、中の賑やかさに惹かれて、また一人、暖簾をくぐってお店に入ってきては、人と人の交差を楽しむのだった。

お猪口に注がれた日本酒をくいと傾け、おでんをつつきながら、店内を見回す。

こんな姿になるとは。。。

ずっと工事を見守ってきた人ほど感慨深いものがあるはず。

さらに言えば、それより遙か昔、この建物にお店が入り、日々賑やかだったあの時代を知る人ほど、当時の賑わいが今に戻った、と感じ入るかもしれません。

 

すずのやでは、宴会コースも用意しており、2階の半個室は4名から貸し切りできます。

 

 

すずのやが入るこの長屋は、すずのやの鈴木さんも一員である株式会社80%(エイティーパーセント)がリノベーションした建物です。

鈴木さん自身も作業に参加し、自分のお店を自分で造るという日々を経て今があります。2017年2月から始まった工事は、2017年6月18日にお披露目&事業説明会、6月20日にすずのやグランドオープンを迎えたのでした。

 

(「株式会社80%(エイティーパーセント)」連雀町の交差点に建つ長屋リノベーション事業

http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12288585222.html

 

すずのやの鈴木さんは、秋田県出身。高校卒業後、都内の調理師専門学校に通い、その後、パティシエとして10年間働いていました。

なんと、パティシエ歴が長いという意外感。(!)

パティシエから一転、料理の道へ舵を切ってからは、いろんなお店で働き、新橋にある「魚金」では店長を務めていた。

自身が好きであり、仕事でも扱っていたことで、本格的に日本酒を究めようと邁進していく。酒屋との取引、自身でも日本酒のイベントに足繫く通って知見を広めていった。

また、すずのやで魚料理が売りなのは、魚金での経験があるから。

さらに、おでんを目玉にしているのは、実はおでん屋で働いていたこともあり、その時からおでんの可能性を感じていたという。

 

「おでんの出汁はいろんな料理に使える」

 

おでん以外にも、例えばあさりの酒蒸しのスープにも使ったり、パリエーションは多彩。隠し味であり決め手となる出汁は、すずのやの味の屋台骨と言えます。

奥様が川越出身で、7年前から川越在住。お客として川越市内のお店を巡るのも好きで、デイリースタンドコポリさんやBar Quesera(ケセラ)さんは常連で通っていた。そこから顔見知りになり、親交を深めていくようになった。

 

川越で自分のお店を開きたいと決意してからは、事あるごとに市内を見て回り、いい場所はないか探して続けていた。

そして、運命の歯車は劇的に回り出し、一気に走り出していくのだ。

2016年1月川越市主催の「まち歩き物件探索ワークショップ」があり、参加した鈴木さんは、同じく参加者だった今の株式会社80%の荒木さんと出会うことになる。

この時に現すずのやの長屋も訪れていて、やはり強く引き付けられるものがあった。

 

「この場所、この長屋、凄くいいな」

 

その後、2016年11月の川越市主催の「まちづくりキャンプin川越」で、

荒木さんと鈴木さんは飲食・物販事業コースに参加。

飲食店チームで取り組んだのが、まさにこの連雀町の古い長屋。

そこから、別チームに参加していた松ヶ角さんと繋がり、田中さんが加わった。まちづくりキャンプで出会った4人は、2016年12月に自立型民間まちづくり会社「株式会社80%」を立ち上げ、事業の目的を「空き家・空き店舗を、関わる人・集まる人が等身大で幸せに、楽しく過ごせる場にリノベーションすることにより、まちづくりに貢献すること。」と定め、早速活動を開始し、2017年2月から長屋のリノベーションを始めていったというこれまで。

振り返れば振り返るほど、こんな人の結びつきと展開の仕方があるのかと信じられない思いに捉われる。

 

すずのやで使用しているたばちゃん農園があるのが、川越の福原地区。

福原地区というのは、川越の南端で、所沢市との市境。ここは川越を代表する農業地帯で、川越の野菜と言えばここ、と言い替えてもいいくらい。色んな野菜を作る個性溢れる農家さんがあちこちにいて、面白い地区です。

ちなみに、福原地区は農業地帯であり、川越の自然が豊かに残る地区としても知られ、南文化会館ジョイフル裏には、広大な雑木林が広がります。

(仮称)川越市森林公園計画地内「森のさんぽ道」として整備され、散策することもできます。

((仮称)川越市森林公園計画地内「森のさんぽ道」)

 

日々、すずのやのメニューを彩る野菜は、たばちゃん農園を中心に、季節に合わせて多彩な野菜がお目見えしていくことでしょう。

 

それに野菜に向ける眼差しなら・・・今、振り返れば、ああ!そうだったか!と思い当たるのは、鈴木さんが長屋のリノベーションに取り組もうとしていた2016年12月、ウェスタ川越で開催した「川越の『おいしい』そろいました
川越Farmer’s Marketからひろがる川越産農産物とそれを使った食べ物・飲み物、雑貨、音楽など」の会場です。

出店農家さんが、『今度、川越日高線沿いの交差点で新しくお店を開くという人と話しをした』と言っていて、今思えばそれが鈴木さんだったということが最近合点しました。そうだったのですね。

お店を開く半年以上も前から、地元農家さんと繋がりを求めて動いていたことに、どれほどの思いを抱いているかが伝わる。

(「2016年12月4日「川越の『おいしい』そろいました
川越Farmer’s Marketからひろがる川越産農産物とそれを使った食べ物・飲み物、雑貨、音楽など」14,000人以上の来場者で賑わう

http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12226437606.html

こういう意識を持つお店の人が日に日に増えている今の川越の状況が楽しい。自分たちの街、ごく身近に、美味しいものを届けようと頑張っている農家さんがたくさんいる。

その後、2017年7月の蓮馨寺の川越Farmer’s Marketには、すずのやで扱う榎本農園さんが出店していたり、ファーマーズとすずのやの関係性も見逃せない。

そういう意識のお店だからこそ、7月2日のファーマーズでは打ち上げをすずのやで行いました。

 

考えてみれば、数ヶ月に及ぶリノベーションによって生まれ変わった長屋というハードがあり、本当に重要なのはその先なのだ。

この長屋で、何をやっていくか。

ソフト面の展開こそ、鈴木さんの鈴木さんたる由縁で、長屋のポテンシャルを活かし切っていくのではないかと思う。

というか、これだけこの長屋を理解し、活かせる人ってそうそういない。

なにせ、長屋のリノベーションから関わっている人なのだから。

 

東から、西から、南から、北から、

いろんな方角からやって来たカルチャーが、一点に集約される交差点。

出会い、反応し、ここから何かが始まる。

名も無き交差点は、川越の新たな交流拠点になっていきそうです。

 

「すずのや おやさいとくだものとお酒と」
川越市連雀町27-1
平日&土曜日 14:00~22:00 (21:00 L.O.)
日曜日 14:00〜20:00 (19:00 L.O.)

049-272-7794
月曜休(その他不定休あり) 

アクセス​
【電車】
本川越駅から徒歩8分/川越市駅から徒歩10分/川越駅から徒歩20分
【川越駅よりバス】
川越駅東口市内バス神明町方面行きにて【中原町】下車。バス停を背に右に進むと連雀町の交差点があり、渡ってすぐ左に進む。約200m歩いたところで、角のglincoffeeさんの隣。
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