川越style「自家製天然酵母パン屋 KiKi」かすみ野のパン屋さん | 「小江戸川越STYLE」

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「小江戸川越STYLE」代表:石川真

「今日も元気いいな」

気泡が大きくなった酵母たちを見て、今日も美味しいパンが焼ける期待が膨らむ。

 

日曜日、オープンをもうすぐに控えた10時前になると、

 

店内に香ばしい香りが充満していました。パンが放つ香りと熱でじんわりと暖かくなる空間。

 

やはり、香りがいい。。。天然酵母パンらしいホワッと豊かな香りが立ち上ります。

 

生地と、それに野菜たちの甘いナスの香りが漂っていました。

ショーケースに近づくとその隙間から漏れてくる香りにまた、恍惚となります。

うん?ゴボウの香りがどこからかすると思ったらキンピラゴボウぱんの香り。

和の素材を積極的に採り入れたパンは、

小麦を主食として、お野菜をおかずとして、一個のパンが一個の食事になるよう。

 

今日もまた、美味しいパンが焼き上がってお客さんを迎える準備が整いました。

 

田舎パンをかじると、ホッとするような優しい味が口の中に広がる。、

いいパン屋がそばにあることでより生活が豊かに感じられる、そんなことを静かに実感していました。

一人で、徹底的に手間をかけてパンを作っている姿、

まだ多くの人には知られていないけれど、求めている人はきっと多くいるはず。。。

とまた、パンを一かじりして、実感していました。


川越で久しぶりの個人店パン屋さんオープンのニュース。

2015年6月にオープンした「自家製天然酵母パン屋 KiKi」さんは、

朴訥としたどこまでも優しい風合いのパンを、ショーケースの中に並べて待っていてくれる。

そのパンから受け取るのは、

いいものを突き詰めれば突き詰めていくほどシンプルになるのだ、というシンプルの法則がここにあって、

シンプルの奥には本当は膨大な手間がかかっている、という法則も、ここにあることを思い出す。

 

KiKiのあのパンを手に入れるためには、川越市街地からだと少しだけ遠出しなければなりません。

 

でもその道程すらも、パンの期待を高める距離と時間と考えたらあっという間。

お店は川越市かすみ野3-9-10、まさに住宅街の中にあるお店。

しかも、かすみ野団地という特に住宅が密集している地域。

住所からマップを片手に向かうのが賢明かと思いますが、

北側と南側から行く大きな目印としては、

県道川越日高線から行くと霞ヶ関小・中学校を越え、笠幡駅に着く前にある

「かすみ野入口」という信号を曲がっていきます。そこから右に曲がるだけなので、覚えてしまえば簡単。

(県道川越日高線「かすみ野入口」)

 

南側から向かうのは、安比奈親水公園入口の信号や霞ヶ関南病院を過ぎ、

 

「かすみ野入口(南)」という信号を曲がっていきます。

(「かすみ野入口(南)」)

 

県道からかすみ野団地に車を進めていくと、碁盤の目のような区画に住宅が建ち並び、
落ち着いた雰囲気が漂っている中ゆっくりと探していくと、表の看板を見つけました。

 

「自家製天然酵母パン屋 KiKi」です。





 

 

お店は広くはないですが、ショーケースにあるパンは温かい佇まいのパンばかり。

不動の人気の食パンから、食事パン、季節の素材を使ったお惣菜パン、菓子パン、

ハード系パンもありますが柔らかめに焼かれています。

場所柄もちろん地域の人の来店が多く、

朝から食パンを求める方がお店にやって来ては賑やかになります。

通りは車の往来もあるので、

「ここにパン屋さんができたんだ」と発見して停まり、買っていく方もいるのだそう。

 

素材、原料に徹底的にこだわるKiKiは、

 

ここまで厳密に追究するお店は他にはないのでは?と思うほど、その純粋性が際立ちます。

小麦粉は北海道小麦100%、卵・乳不使用、

肉など動物性食品も使用していません。化学調味料も不使用。

アレルギーを持っている小さい子にも食べてもらえます。

「安心、安全なものにはこだわっていきたい」とKiKiの若林さんは話します。

季節により使う旬の素材は変わっていき、この日並んでいたパンは、

食パン、

ソフトフランス、

和栗とあずきロール、

レーズンの田舎ぱん、

玉ねぎとくるみの田舎ぱん、

黒豆甘煮の田舎ぱん、

ムラサキさつまロール、

あんぱん、

キンピラぱん、

アーモンドシュガー、

さつまいもとリンゴのぱん、

揚げナスとトマトソース、

苺ロール、

ふわふわテーブルロール、







 

 


シンプルなパンだからこそ生地を楽しむことができ、

きっと生地にはこだわりがあるのだろうなと想像させる通り、KiKiの生地作りの手間は半端ない。

KiKiのパンは全て、自家製天然酵母パン。

自家製レーズン酵母100%で作られています。

この言い方ですぐにピンと来る方もいるでしょうが、

そう、この「全て」というのが他のお店にはない特長です。

巷で天然酵母パンを謳うパン屋さんは多いですが、

その言葉から全てのパンが全て天然酵母で作られているという錯覚を持ちがちです。

しかし、ほんの少しであってもイーストを使いながら天然酵母パン屋とPRするところは多い。。。

そこの本物感、真摯な取り組みがKiKiらしく、全てのパンを全て天然酵母で作っています。

こういうお店はほぼないと思います。

「ここのパンは香りがいいのよね」とお客さんに言われる秘密は、そういうところにある。

 

焼き立ての天然酵母パンの香りは、これ以上ないくらいの癒しで、

 

感情の角を取ってくれ、穏やかな気持ちにさせてくれる。

その一方で、天然酵母だけでパンを作ろうとするのは本当に大変なこと。。。

パンを作ったことがある方ならその苦労は身に染みて分かっているはず。

それを考えたら、たくさんの種類と数の天然酵母パンが並ぶパン屋があるとすれば、

なんだか夢物語のようにすら思えます。

KiKiはたった一人で天然酵母だけでパンを焼いているので、もちろん多くは作れません。

でもそれが自然なんだと気付きたい。営業は週に3日。

・水曜日AM07:00~売切次第終了
・土曜日、日曜日AM10:00~売切次第終了

曜日によってパンは変わり、水曜日限定では胡麻ロール、胡桃ロール、レーズンパン、

土日には田舎パンが登場し、あんパン、焼きカレーパン、お惣菜パンも増えていきます。
食パンは3日間ともあるそう。

KiKiのパンを一番美味しく食べるためには、

日を追うごとに硬くなっていくという天然酵母らしい自然感を考えると、

やはり作り立てを、すぐにいただくこと。

 

一つ一つのパンにかける手間は、生地にかける手間だけでなく、

 

あんぱんの餡は北海道産小豆から手作りし、

焼きカレーぱんのカレーも、ミートソースぱんのミートソースも、

野菜の包み焼きにパインの甘煮も、パンの中に入れているジャムも、全部が手作り。

カレーは揚げではなく焼きで、動物性のものは使用せず、

肉は大豆たんぱくで代用しています。妊婦さんでも食べられるカレーパン。

若林さんは、パン作りではむしろそちらの手間に時間がかかると言い、

3日間の営業日以外でこういう仕込みに時間がとられる。

それでも本当にいいものを提供したいと、このスタイルを守っています。

その突き詰め方、こんなパン屋さんがあったらいいなという理想のお店がここにあり、

それは気が遠くなるような手間から成り立っている。
だから、お店に入った時に小さなお店と感じた一瞬は、

知れば知るほど、これ以上のパンはなかなか作れないだろうと思い直すことになる。
その手間をかけて、これだけたくさんのパンが作れていることの方に感動します。


 

さらに今の季節の新作としては、

 

卵・乳製品を使わず、豆乳クリームでコクを出した、濃厚カボチャタルトや
国産トマトを使った自家製のトマトソースと数種類の野菜を包んだいろどり野菜の包み焼き、

国産トマトで作ったソースに、揚げナス・カボチャ・オクラをのせたいろどり野菜とトマトソース、

ポテトとオニオンのガーリックオイル炒めを包んだポテトとオニオンの包み焼き、
角切りリンゴのプレザーブを包んだリンゴの包み焼きがあります。

 

若林さんは小さい頃からパンが好きだったと振り返ります。

 

ずっと親しんで「大好き」と話すパン屋といえば、

武蔵野小学校前にあるユー松月さん。胡桃とレーズンなどシンプルなパンを好んでいたそう。
食べるのみならず、パンを作るのが好きになり、20年ほど前から趣味で焼くようになりました。

パン屋さんで働いた時期から、

「ずっとパンの仕事に携わっていたい」と想いを持ち続け、2015年6月にKiKiをオープン。

 

昔から美味しいパンを追究し、国産小麦粉など素材にこだわってパンを作っていたので、

 

お店を始めたからといって効率を重視しようとは思わなかった。

こだわってきた延長線上にKiKiはあり、

お店でも同じように手間をかけてを作ろうと決めていました。

イーストを使えば少しの粉で大きくすることができる、フワフワも持続できる、

そちらには背を向けて、天然酵母パン生地の「詰まっている」感じ、ずっしり感、存在感にこだわる。

ずっとレーズン酵母をかけ継いでかけ継いで

糠床のように深みを増した酵母によって、KiKiのパンは支えられています。

 

川越のかすみ野。

 

パンに関しては、この立地は決して遠くはないのではないでしょうか。

川越パンマルシェというパンの祭典が川越で開催されていますが、

2015年に出店していた行田市、戸田市、所沢市、入間市からお店の方々はみな、

「遠方からのお客様も多いです。川越からもいますよ」と話していたのが懐かしい。

パンが好きな人は、目当てのお店、パンのためならば

県内くらいの距離感なら苦にせず行くようなところがあり、

 

 

 

 

(2015年5月川越パンマルシェ http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12034416581.html

それに、川越パンマルシェに出店している川越のお店たちがある場所を、

改めて振り返ったことがあるでしょうか。

善太郎は松江町の住宅街の中にひっそり佇み、

WACCIは新宿町のこれも住宅街のなか、

ベッカライ0044は霞ヶ関、

ブーランジェリュネット、ベーカリークレープ、パン工房クレープは新河岸、

BREADMANは川越市駅、

それに川越ベーカリー楽楽だって観光地であるけれど駅からは離れている。

市街地ど真ん中である本川越駅近くの小江戸蔵里という舞台で開催されている川越パンマルシェは、

5000人以上の来場者がある一大イベントですが、

その川越の出店者は、驚くほど市街地から離れているお店ばかり。

自宅兼店舗の小さなお店で、数はたくさん作れなくても、

丁寧にパンを作る個人のパン屋さんは実はそういう場所に多いのが川越の特長です。

それを考えたら川越市内のかすみ野という場所は遠くはない。

 

KiKiのように天然酵母パンだけを作るお店にとっては、

 

自宅兼店舗という形はパン作りを考えたらとても合理的でもあるのです。

天然酵母は毎日変化し表情を変え、そのお世話がとても大事になってきます。

すぐ近くに酵母たちがあって常に見守ることができるこのスタイルだからこそ、焼けるパンでもある。

 

KiKiのパンはレーズンから酵母液を作り、小麦粉を混ぜて酵母を作る。

 

若林さんが話す酵母たちの変化は、

「気温、湿度などの差で元気さが全然違ってくる」

一日一日の気候により変わっていく酵母は、それこそ本当に、

「毎日目が離せない」。

見守るどころか、飼っていると表現した方がいいような酵母との生活です。

そこまでして自家製天然酵母パンという看板を掲げているんです。

生き物相手なので、均一なパンにしようとしても多少のばらつきが出て、

その日ごとの変化も天然酵母パンの醍醐味でもあります。


 

朝早くオープンする時間に合わせるために夜明け前から仕事を始めるパン屋さんですが、

 

若林さんはさらに早く、日付変わる前、午後10時頃から仕込みを始めるのだそう。

捏ねから始めて一次発行、二次発酵を経て午前4~5時頃から窯で焼いていく。

そして水曜日だと、7時のお店オープンからお客さんが続々とやって来ては、

まずは食パンやソフトフランスを買い求める方が多く、朝食の食卓に焼き立ての食パンが上がっていく。

オープンから4ヶ月ですが口コミで広がり、朝食の定番にと求める方が多いのは、

やはりこのパンが違うことが伝わっているからだと思います。

時間を追うごとにいろんなパンが売れていき、今日も食卓を豊かに彩る。


 

その信念とこだわりはきっと多くの人に伝わっていくはずだし、伝わって欲しい。

 

「今日も元気がいいな」

気泡の膨らみを確認し、

日々酵母の様子をそばで見つめながら、

美味しいパンを作ろうと向き合う。

 

かすみ野から川越中に、香ばしい香りが届いていきますように。。。

 

 

「自家製天然酵母パン屋 KiKi」

 

川越市かすみ野3-9-10
営業日 毎週 水曜日、土曜日、日曜日
☆営業時間
水曜日 AM07:00~売切次第終了
土曜日、日曜日 AM10:00~売切次第終了
090-2206-1141


 

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