一年の始まり「元旦の門付」連雀町の囃子連雀會 2018年1月1日お囃子とともに川越の一年が始まる | 「小江戸川越STYLE」

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新年、今年も天気に恵まれた元旦は、夜中の年明けから川越の神社仏閣には初詣客が押し寄せました。「時の鐘」の除夜の鐘のことは伝えました。

除夜の鐘は他にも市内各所で行われ、甘酒などが参拝者に振舞われるのも川越の年明けの風物詩です。

年明け~元旦は落ち着いて過ごすもの、という生活スタイルの人も多いでしょうが、

一方で元旦から忙しい人たちもいて、賑やかな催しがあちこちで行われるのも川越らしいところです。

今や川越の元旦と言えば・・・という存在が、市内の囃子連による門付。

「川越の音」であると言っていいお祭りのお囃子、年が明けると早速囃子連による活動が始まっていきます。

元旦~正月に行われる門付は、その町内の囃子連が町内の家々・店々を新年の御祝に回る行事・縁起で、以前と比べると川越内で実施する町内囃子連はぐんと増えました。

正月に川越の神社仏閣に初詣に来るとどこかしらから囃子の音色が聴こえてくるのはこのためです。

お囃子の音色で正月を迎える、一年が始まるというのも川越まつりの街川越らしく、川越をまさに表している行事でもあります。

町内行事ではありますが、そんな狭いことに捉われず、初詣の行き帰りに門付に遭遇すれば、演奏がひと段落した後に獅子に頭を噛んでもらったり、大黒天と記念写真を撮ったり、そのご利益に誰もがあやかることができるので、一般的行事の側面もあります。

新年を迎えた縁起にぜひ観てみたい・・・と思う人は多いのですが、ただ、門付というのは一ヵ所に留まることなく、家々・店々を移動し続けているので、目当ての囃子連に出逢いたいと思っても実際には難しいものかも。遭遇したらラッキーと言え、遭遇自体が大吉をひいたようなものかも。

囃子の音色は遠くからでもうっすらと聴こえてくるものなので、微かに音色をキャッチしたら、音を辿って探してみるのもあり。その先に、必ず見つけることができます。

(ここで注意を。門付最中は周りを取り囲む人の輪が大きくなります。車道(交通量多い県道含む)を背後にした場面もありますので、回りを見ながら観覧してください。獅子に頭を齧ってもらうのは、門付が終わってから頼むのが礼儀)

門付で演奏しているのは、その町内の囃子連の面々であり、ということはもちろん、川越まつりの山車の上で演奏している面々でもあるということ。

川越まつりで見上げる山車上の囃子を至近距離で見られるというのも門付の魅力であり、間近で聴くことができるという点で貴重で、年々門付目当ての人垣が大きくなっているように思います。

川越まつりのお囃子を支える町内の囃子連は、川越まつりの時にだけ演奏・活動しているわけではなく、一年通して活動しています。2018年の川越まつりに向けて新年から既に活動はスタートし、それが門付です。

川越の連雀町にある熊野神社元旦。毎年初詣客でごった返す境内では、連雀町の雀會囃子連(すずめかいはやしれん)が準備を整え、いざ、町内の門付に出発していこうとしていました。

毎年雀會の門付のことを伝えていますが、川越style的に連雀町との繋がりが深く、川越まつりでも連雀町の太田道灌の山車に身を置いて伝えているのはご存知の通りで、これからも変わりません。

ほんの二ヶ月半前、2017年10月の川越まつりが終わっても雀會囃子連の活動は目白押しで、

毎週の稽古に、毎月の熊野神社縁日に、12月の酉の市と、お囃子の音色を川越の街に響かせ続けてきました。

(2017年10月川越まつり)

 

(2017年12月熊野神社酉の市)

雀會が門付で回るのは、町内や近隣で普段お世話になっている家々や店々といった場所。

特に連雀町は昔から続く個人商店が多い町内で、門付はお店に向かうことが多くなるのが特徴です。昨年伝えることが多かった「川越昭和の街」というのがまさにここであり、「個人店しかない」という地域は、個性の溢れ面白い地域と言うこともできます。門付は意外にも?連雀町のお店の紹介にもなるものかも。逆から見ると、門付を受け入れる、元旦から営業しているお店があるというのも凄いことです。連雀町は熊野神社、蓮馨寺といった、川越の中でも初詣客が多い神社仏閣がある町内だけあって、初詣客相手に元旦から営業しているお店が多く、また、元旦に門付を迎え入れて一年を良い年にしたいという願うお店が多いのもあります。

お店にとっては、店先まで囃子連が来て演奏してくれるというのはスペシャルな出来事で、事前に門付がやって来る時間をSNSなどで発信し、お客さんと共に門付を迎えようとするのも新しい門付スタイルになりつつあります。

熊野神社を出た雀會一行は、県道を越えて住宅街に入り込み、囃子を響かせる。

迎える方は玄関先で演奏を聞き、終わると

「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」と挨拶。

「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」と応え、こうして地域の一軒一軒を回っていくのが門付です。

門付で登場する舞い手は3人。縁起総登場という風の舞いは、連雀町では順番も決まっていて、獅子、大黒天、もどき、獅子という順で舞います。

獅子は最初と最後に登場し、最後の登場の時には相手の頭を齧って回るのが恒例。

2018年元旦、今年も晴れ渡りましたが、しかし寒さに加え、風が強い。。。この寒さだと舞いの微妙な手の動きなどに影響を与えそう、扇子が風で飛ばされそうになる瞬間もある。必死に一回一回の舞いを魅せていく雀會。

また県道に戻ると、人通りが多いこともあって、獅子や大黒天などの一行は注目の的。目にした通りすがりの人たちがすぐに集まってきて取り囲みます。中村屋さん、伊勢一酒店、くりいにんぐいわかみくんさんで演奏が始まると音色に惹き付けられ、遠くからさらに人が集まって人だかりが出来ていく。

ちなみに、雀會の面々も連雀町でお店をやっている人も多く、演奏する側と受け入れる側は同じ商店街など古くから懇意の間柄であり、あうんの呼吸があることも門付らしいところ。商店が多い連雀町の特徴です。

 

終わると来た道を戻って、お世話になっている家や店を回る。ルートは大体毎年決まっていても順番は毎年少しづつ違っています。

 

県道交差点から通りを北に入って連雀町繁栄会通りへ。桜井商店さんを訪れ、賑やかな門付の様子にここでもすぐに人だかりができていきます。

「門付」というものを知らなくても、演奏が終わると、周りで見ている人から自然と拍手が沸き起こるのもいつものことで、人の心に訴えかけるような演奏がここにある。

初詣に訪れた人を相手にしたものでも、観光客を相手にしたパフォーマンスでもありませんが、元旦から純粋に地域の安泰を願って巡る行事に、川越まつりの一端を感じ取ったのでしょう、周囲の観客から「へえ、川越って凄いね。いいね」と話す声が聞こえてきます。

一軒の門付が終わると、獅子が周りを取り囲む観客の頭も噛んでいくのも恒例で、子どもから大人まで次々と頭を向けていました。

さあ、次の場所へ移動だ!と歩いて向かう雀會。

またあの演奏、光景が見られるのかもしれない、と演奏に魅了された人たちが後をついていく人も。現場ではやはり獅子や大黒天が一番人気の様子。七福神の一人、大黒天の笑顔に惹き込まれる人が続出で、一緒に記念写真をと求められることが多かった。

立門前通りから重要スポット蓮馨寺へ。連雀町と言えば蓮馨寺、粂原住職などお寺の関係者を前にした雀會渾身の演奏に、拍手喝さいの粂原住職など。

2018年も蓮馨寺では様々な催しが行われて、川越の熱気を発信する場所になっていくでしょう、雀會が門付により今年の蓮馨寺の発展を祈願しました。

さらに、蓮馨寺境内にある醤油団子でお馴染みの松山商店さんへ。蓮馨寺と言えば松山さんのお団子です。松山さんも毎年門付をリクエストしていて、雀會が訪れるのは毎年恒例。

蓮馨寺の門付を無地に終えると、再び、山門から川越街道まで続く立門前通りの太麺焼きそばのまことやさんなどのお店を回っていく一行。

そして午前の部が終わると、まことやさんで昼食休憩するのも毎年同じで、地域の行事では地域のお店を使うというのも川越らしい文化と言えます。

 

午後の部は、立門前通りにある和菓子店彩乃菓さんからスタート。

店の前で雀會の門付が・・・その圧倒的迫力に感動する彩乃菓の店主小島さん。縁起に包まれて良い一年のスタートが切れたと喜びの声を挙げていました。

地域の人、お店にとってみれば、地域の囃子連が自分の家、店の前まで来て自分たちのためだけに演奏してくれるというのは、何物にも代え難い感動でしょう。

和菓子界に新風を注ぎ込み続けた彩乃菓さんは、和菓子の固定イメージに縛られずにチャレンジを続け、ハロウィンやクリスマスといった、これまで和菓子とは繋がらなかった催しにも和菓子を提案して話題を巻き起こしてきました。今年はどんな和菓子の展開を見せるでしょうか。

 

ここから少し足を延ばして連雀町から末広町にある特別養護老人ホーム蔵の街・川越さんへ行く雀會。今年で3回目の訪問で、これも門付の定番ルートになってきた感があります。

蔵の街・川越さんも門付を楽しみにしていて、雀會が到着すると室内には既にたくさんの利用者が待ち構えて総出でお出迎えの態勢。年々観覧する人が増えているようで、期待の高さが窺えます。それに応えようと雀會の面々も熱い演奏を魅せました。

演奏が終わるとその場から大きな拍手が沸き起こりました。

もっと見ていたいという熱気が室内に充満し、後ろ髪を引かれてまた蓮馨寺南北の中央通りに戻ってきた一行。そう、また商店が軒を連ねるエリアで、ワインスタンドポン!さんや大塚花店さん、トシノコーヒーさんを巡っていった。

トシノコーヒーさんは、昭和初期からある昭和の街のお店に比べたら比較的新しいお店ですが、毎年のように門付をリクエストしているお店。新しいお店が伝統的な門付を頼むというのもまたいい話しです。この地に何十年とお店を構えているところから新しいお店まで、連雀町の歴史をなぞるようにいろんなお店を回ってきました。

最後に、蓮馨寺前の立門前通りから曲がってなんでむんさんで止まり、熊野神社へと戻ってきました。


2018年も無事に正月の門付が終わり、一安心の雀會。

川越は川越まつりの街で、お囃子の街、

お囃子で始まりお囃子で終わる川越の一年が始まりました。

 

「連雀町囃子連雀會」

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Poplar/3088/suzume/top.html