川越style「男声合唱団 Il Campanile(イル・カンパニーレ)」イルカン 定期演奏会 | 「小江戸川越STYLE」

「小江戸川越STYLE」

「時が人を結ぶまち川越」
川越の人、もの、こと。地元に密着した地元人が地元人に向けて川越物語を伝えるメディア。
川越は暮らしてこそ楽しい街。
川越の様々なまちづくり活動に従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

 

ステージ上に整然と並んだ20人以上の団員。
ホールに響き渡る歌声、メンタルハーモニー、
 

男声合唱というと、力強い、迫力のある、というイメージを抱きますが、イル・カンパニーレの歌声は透明感があって、綺麗な歌声。
 

川越は合唱が盛んな街。

埼玉県で300弱ある合唱団体のうち、川越市だけで40ほどの団体があります。


2024年6月30日(日)にウェスタ川越大ホールで開催されたのが、男声合唱団「Il Campanile(イル・カンパニーレ)」第18回演奏会。

男声合唱団「Il Campanile(イル・カンパニーレ)」第18回演奏会
2024年6月30日(日)
ウエスタ川越 大ホ-ル
開場 13:00
開演 13:30
入場無料

「Il Campanile(イル・カンパニーレ)」
Hp:

https://ilcam.web.fc2.com/

 

■プログラム
・第1ステ-ジ
埼玉県合唱連盟理事長 小野瀬照夫指揮
三崎のうた 
北原白秋 作詞/多田武彦 作曲

・第2ステージ
井口治 他指揮
北川昇 編曲 夢をあきらめないで より
三沢治美 編曲 SORA より

・第3ステージ
賛助出演 ピアノ連弾
伊藤文子・林美土里
動物の謝肉祭 サン=サーンス作曲

・第4ステージ
細田貴大 指揮/町田百合絵 ピアノ
夢のてざわり
森山恵 作詞/田中達也 作曲

『全国の男声合唱の聖地の一つに数えられる、小江戸・川越。
TVアニメ「川越ボーイズ・シング」が、放映されたのは記憶に新しいところです。
男声合唱団 Il Campanile「イル・カンパニ-レ」は、今年、創立40周年の節目の年になり、第18回演奏会を開催致します。
川越高校音楽部第3代顧問・小高秀一先生が、音楽部OBや川越市近隣の男声合唱愛好家を集め、旗揚げされました。毎年コンクール、2年に1回の演奏会、川越市合唱祭などの後の、祝杯を楽しみにて活動しています。
どうぞ、低音のベ-ス魅力と、超音波的トップテナーの高音の融合、そして、ベテランから新人の息の合った「メンタルハーモニー」の重厚な男声合唱をお聴き下さい。』


20数名のグリーメンが、ウエスタ川越大ホールの舞台にたち、男声合唱を披露しました。

大学生を卒業した若者から、70代の代ベテランまで、この年齢の幅がイルカンの魅力の一つ。


第一ステージは、埼玉県合唱連盟理事長、川越市合唱連盟副理事長の小野瀬照夫先生が、男声合唱組曲「 三崎のうた」を客員指揮。
浦和高校グリークラブを全国大会金賞に導き、川越女子高校音楽部でもかつては、教えていました。

・第1ステ-ジ
埼玉県合唱連盟理事長 小野瀬照夫指揮
三崎のうた 
北原白秋 作詞/多田武彦 作曲


男声合唱団「Il Campanile(イル・カンパニーレ)通称:イルカン」
1984年、男声合唱好きの男性達が集って結成されました。
Il Campanile はイタリア語で「鐘」の意味で、川越の名所「時の鐘」にちなんで、団名としました。 

(鐘の音のように心に染み入るハーモニーを、という願いも込めているとか?)

結成から2013年まで、小高秀一先生が指導し、 2014年からは牧野美紀子先生を迎え、指導しています。

新しいメンバーも増えて、新生イル・カンパニーレの活動がスタートしました。
指導者・団員紹介
・指揮者:牧野美紀子
 二期会会員。川越市合唱連盟副理事。
「水声コーラス」、「双葉合唱団」、「虹の会」、「ラ ヴェルデュール」の指揮者。「共立女子大学合唱団」、「板橋区第九」を指導。父は埼玉男声合唱の祖であり、小高先生の恩師・牧野統(おさむ)先生。

・ピアニスト:野島万里子
小高先生曰く、「最高のピアニスト」。豊かな音楽性、高度なテクニックを持つ。と同時に、臨機応変な対応で小高先生の秘書業務もこなしてしまう。
・代表(団長)   宇佐美平和
・団員
合唱好きの男性約30名で構成。
ちょうど働き盛りのメンバーが多いですが、幅広い年齢層です。

活動概要
練習:
土曜・日曜を中心に週1回練習しています。(月に4回くらい、日曜日の朝9時半からが多いです。)
主に川越市内高階公民館(市民センター内)・名細公民館などで練習。

ステージ:
2年に1回演奏会5月~6月頃
6月頃 埼玉県合唱祭
9月頃 埼玉県合唱コンクール
11月頃 川越市合唱祭
その他各種演奏会賛助


2023年の出演ステージ:
・2023年12月24日(日)街角ミニコンサート(Last Sunday Market) 小江戸蔵里
・2023年11月12日(日)川越市合唱祭 ウェスタ川越
・2023年9月24日(日)彩の国男声コーラスフェスティバル 響の森 桶川市民ホール
・2023年9月3日(日)埼玉県合唱コンクール県大会 さいたま市文化センター
・2023年6月10日(土)埼玉県合唱祭 
・2023年4月9日(日)スプリングコンサート 川越市やまぶき会館 川越牧声会とのジョイントコンサート



川越に発足して40年になる、川越の男声合唱団「Il Campanile(イルカンパニーレ)。

その内側にあるのはまさに、大人の青春。

川越高校を母体として生まれ、40年続いてきた大人たちの活動・青春でした。
男声合唱団の永い伝統、まさに唯一無二の存在です。

イル・カンパニーレを紐解くことは、川越高校音楽部や川越の合唱の歴史を紐解くことでもある。

 

連綿と続いてきた歴史を大事にし、

「この合唱団は、小高秀一先生が築いて残してくれた財産」

という想いを皆が強く持っている。

どうのようにして40年も続いてきたのか。

そこにあるのは指導者の熱と人柄でした。熱が人に伝わり、熱が合唱団をまとめ上げ、熱で引っ張り、人柄に惹きつけられて、40年という文化になった。

イル・カンパニーレが結成されてから40年、ずっと在籍している方も多く、

 

「小高秀一先生には本当に感謝しています」

 

と話します。
全身を楽器として一音一音作り上げる合唱。
感謝を忘れず、熱を受け継ぎ歌に想いを乗せる合唱。

伝統を自覚し、それを守ろうとする姿、そこに大人の青春がありました。

 

 

イル・カンパニーレを指導しているのが牧野美紀子先生です。

小高秀一先生から2013年12月にイル・カンパニーレの指導を引き継いでいます。

イルカンの練習では、最初の30分間はみっちり発声練習。

『ウ ワァ ウ ワァ ウ ワァ ウ ワァ ウ』

これを繰り返し、先生から「ワァのところW入れて!」など指導が飛びます。

ピンと背筋を伸ばし、綺麗な姿勢、真っ直ぐ前を見つめ、力強い重低音が響きます。

繰り返すうちに、声がどんどん大きくなり、

ハリと伸びが出てきました。

『ウ ウィ ウ ウィ ウ ウィ ウ ウィ ウ』

『ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ』

 

「もっと深くして」

「音壊さないように!」
「最後のダがトホホで終わらせないで余韻残す感じで」

先生の話しを熱心に書き込む団員の姿。

大勢集まった時の迫力は圧倒されます。

全身全霊を込めて声が出され、間近に肉迫する声。

時間が経つごとに迫力はさらに増していき押されるようです。

 

「上の音はスピード速く、低い音は動かせる?

こねてる感じかな。こねて会場の底を流れていくような感じで」

 

発声練習の最後に、各パートがハモるカデンツを。

 

その後、伴走が加わり、この時はコンクリートに向けた本格的な練習が始まりました。

 

「この曲は内容より、響きだからね。人間臭さ排除して」

『デウス』など、ドイツ語の発音にみなさん苦労しているようでした。
「ウ」一つとっても日本語とは違う発音、

 

何度も同じ箇所の音を確認します。

 

「ウは下から這い上がるように」

 

コンクールでは課題曲と自由曲という限られた曲数だからこそ、一つの曲に対する作り込み方が変わってきます。

「一音も間違えられない」

一音一音確かめるように。真剣勝負です。



 

「16音符もう少し硬く歌ってくれるかな」

「先生、ここ息しないとキツいです」

「う~ん、できればここは息しないでいきたいな」

「最後、近くではなく遠くに行く感じで」

 

「ここで金か銀か銅か決まるからね」

「ここ走りやすいので、バスがペースメーカーになって!」

先生がよく口にしていたのが、

「芯」という言葉。

「芯がない」「芯を探して」。
芯があることで声に存在感が出て、相手に伝わる。


太く強い声、雑念が混じっていない透明な声は、神聖な感じすらあります。
楽譜を理解し楽譜と一体になる団員。
合唱という表現を改めて思います。

楽譜という紙から、立体的な声の層が立ち上がることに改めて感動する。
合唱団30人で作り上げる音の作品でした。

「ここは4拍子と思わないで。全部均等に」

激しく力強く、
時にささやくように、
時に爆発させるように、
余韻を残して。

歌うことは自己表現でも自己主張でもある。

口だけでなくお腹や足腰、全身を使って伸びやかに遠くまで響かせる。

みっちり2時間半の練習でした。




男声合唱を本格的に始めるのは高校から、という人が多い。
男声合唱は旧制中学などの男子高校で盛んで、男子高なくしては、埼玉県の男声合唱文化はここまで発展していなかったかもしれません。
そして、川越の男声合唱のルーツは、川越高校音楽部に遡ります。

もともと、川越高校に音楽部が出来た経緯と牧野先生は、強い縁があります。

川越高校に音楽部を作ったのが・・・牧野美紀子先生のお父様でした。

今から70年以上前、札幌から川越高校に赴任してきたお父様は、すぐに、

 

「男声合唱団を作りたい」

 

と、学校に音楽部(合唱部)を作ったといいます。

川越高校の吹奏楽や応援部は今から60年前、甲子園出場をきっかけに本格的に活動が始まりましたが、

それよりもさらに古いのが音楽部です。

当時バンカラなイメージがあった川越高校に作った男声合唱団。

 

物置となっていた場所を部室とし、音楽部は当初、合唱メインというよりレコードで音楽を聴いたり、音楽全般を楽しむ部でもあったといいます。

牧野先生は振り返ります。

 

「父は音楽が好きで、自分で作曲もやっていた人。小さい頃から家に音楽が溢れていました。家にも川高生が遊びに来ていたんですよ」

 

お父様を慕い、家まで遊びに来ていた川高生。

まだ幼稚園生だった牧野先生は、高校生が凄く大人に見えた、と当時を思い出していました。

お父様が指導した川越高校音楽部は、昭和39年のNHKコンクールで一位を獲得。

当時から川高の男声合唱のレベルは高かった。

22年間川越高校音楽部を率いたお父様が、ずっと大事にしていたのがメンタルハーモニーでした。

 

「技術的なことも大事だけれど、もっと大事なのが心の繋がり」

 

合唱には心のハーモニーが大事なのだ、と指導していました。
その後、音楽部は他の先生に引き継がれ、そして、お父様の一番弟子である小高先生が音楽部を引っ張っていく時代がやって来た。

当時からイル・カンパニーレに在籍する方はその人柄を振り返ります。


「小高先生は、おおらかで包容力のある方でした」

人柄にみんなが惹かれていた。
小高秀一先生は学校の音楽部を率いるのみならず、さらに大きな夢を実現させようと動きました。

学校で教鞭をとりつつ、音楽部の現役生とOBを合わせた「川越グリークラブ」を発足させ、男声合唱の深みを追及しました。
ここからさらに進み、
「一般の人だけの男声合唱団を作りたい」
と作ったのが「イル・カンパニーレ」です。
高校は今は共学が多くなり、男声向けに作られる曲も少なくなっているのが現状としてありますが、
男声合唱にしかない魅力は確実にあります。



小高先生は川越高校から和光高校に移り、合唱熱は収まるどころか、ますます高まっていった。

常にメンタルハーモニーを大事にし、学校以外の団体にも、「指導してください」と頼まれれば気軽に引き受けて、

結果いくつもの合唱団の指導を引き受けていました。
団体同士を束ねて交流を図ろうと、川越市合唱連盟を作ったのが小高先生です。

走り続けてきた道のり、それはまさしく合唱に捧げた人生でした。


2013年11月のことでした。

 

イル・カンパニーレの演奏はいつものように、小高先生が指揮するはずだった。

しかし体調を崩し、舞台に立つことができなくなった。
急きょ指揮棒を振ることになったのが、牧野美紀子先生でした。

牧野美紀子先生のお父様が川越高校音楽部を作った、その一番弟子の小高先生がイル・カンパニーレを作り、イル・カンパニーレの演奏会の指揮を急きょ引き受けてくれたのが、

娘さんである牧野先生という縁。
この巡り合わせに一堂震えた。
牧野先生はピンチヒッターを引き受けたことを、

「小高先生が具合が悪いのなら、と引き受けました。

責任感を感じていたし、小高先生へ恩返しがしたかった」

 

その縁から、2013年12月に正式にイル・カンパニーレを引き継ぐことになりました。

小高先生が唱えたメンタルハーモニーは、歌っている時だけでなく、普段の時に冗談を言い合ったりして打ち解けるのも大事だと話していたそう。



・第2ステージ
井口治 他指揮
北川昇 編曲 夢をあきらめないで より
三沢治美 編曲 SORA より

 

第三ステージは、若い女性のピアニストの連弾でした。一挙に、会場が華やかになり、この男声合唱との比較が、面白いところです。
・第3ステージ
賛助出演 ピアノ連弾
伊藤文子・林美土里
動物の謝肉祭 サン=サーンス作曲

 

最後の第四回ステージは、若き指揮者の細田貴大さんが、男声合唱組曲「夢のてざわり」を振りました。ピアニストは、数々の川越の合唱の演奏会の練習ピアニストととして、支えて下さっている、「川越の至宝」町田百合絵さんでした。
アンコールは、3曲。
最後の「斎太郎節」のソロは、6年前にもまだ高校生だった時も、ステージに立ってくれた一番の若者、岩田さんでした。希望を感じる歌声に、会場の皆さんが元気をもらって家路についたに違いありません。
川越は、男声合唱の聖地と、埼玉県合唱連盟の理事の方が語ってくれた事がありました。男声合唱団「イルカンパ二ーレ」もその中に入っていたら嬉しいですね。
会場には、イルカンパニーレを休団中の方々のお顔も見えました。また、川越高校音楽部関係者も来て頂いていました。「男声合唱」の集いの場所に「イルカンの演奏会」が選ばれたようで、細く長く続けていくのは意義のある事だなと思いました。
普段の生活の中で、年齢の幅がある人が、同じ目標に向い何かを成し遂げるのは、そう無いと思います。仕事ならば、「これやるぞ〜」と、ある意味やらなくては行けない状態になってしまいます。
しかし、「誰からやれ〜」と、強制されたわけでもなく、「気づき・考え・実行する」自主的な活動をすることは、とても有意義なことです。イルカンには、それがあります。🎵🎶🎵🎶🎵🎶〜

・第4ステージ
細田貴大 指揮/町田百合絵 ピアノ
夢のてざわり
森山恵 作詞/田中達也 作曲

 

大ホールに響き渡る、イル・カンパニーレの歌声とメンタルハーモイー。

 

川越に根付いている川越の男声合唱団、「Il Campanile(イル・カンパニーレ)」。

これからも男声合唱の魅力を伝えていきます。

 

「Il Campanile(イル・カンパニーレ)」
Hp:

https://ilcam.web.fc2.com/