川越style元気いっぱいに餅つき「あしたばこども園」そして、25年前の人間ドラマ | 「小江戸川越STYLE」

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「時が人を結ぶまち川越」
川越のヒト・コト・モノ、川越物語りメディア、小江戸川越STYLE。
川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

 

「またあの園舎で過ごせるんだ。。。」

 


そんなことを考えていたら、ハンドル握るのも軽やかに♪

この道を通るのは、ついこの間のことだけど、

なんだか少し懐かしい感じもしました。

3ヶ月ぶりくらいに戻ってきた道、

大東東小から細い道を入っていった先に

視界いっぱいに畑が広がる川越の豊田の風景。

昔ながらの景色が色濃く残るところなので、懐かしさを覚えるような安心感があります。

 

駐車場に車を止めると、目の前に大きな蔵。

 

何度見ても見とれる。。。(*^.^*)

この地域は、古い蔵がまだ残っていて

この蔵も以前は園で現役で使われていたそう。

川越の一番街の蔵造りの建物とは違う、生活感がある蔵も趣きがありますね。

 


 

 

落ち着いたシンとした時が流れる中、

 

ポッと空気が温まるような、暖色の歓声が聞こえてきます。

子どもたちの声。今日も大勢だ(-^□^-)

そして、あ、先生の声も聞こえる。

 

もう、始まっていました。早く会いたいなと、焦る気持ちを抑えて。

 

 

草を踏みしめ木々の間を進んだ先に、

 

あの園庭と園舎が広がり、またここに再開することができました。。。♪


「あしたばこども園」

 

ログハウスのような大きな木の園舎と自然溢れる園庭。

 

「やっぱり、落ち着くなあ」

もう建ってから25年にも建っている園舎だそうです。

 

賑やかな声は園庭の一角から。

 

臼の回りにたくさんの子どもたちが集まり、

もち米を蒸かすのは大人の役、

列を作った子どもたちが杵を手に持ち、ぺったんぺったん!と

次々にお餅をついていました。

 

この日行われていたのは在園生の餅つき大会。

 

自分たちでついて、園舎でみんなで食べる、冬の行事です。

この園のことは、去年の記事でも書きましたが、

(『あしたばこども園 みんな違ってみんないい』)

この日、餅つきを行うというのに合わせて

ぜひ、と誘っていただきました。

 

 

 


 

 


 

前回の記事では、この園がどういうところなのかを。

今回は園として具体的な行事です♪


久しぶりに見る子どもたちの姿。

3ヶ月くらいだとそんなに変わらないと思っていたら、

少しだけ大きくなっていてびっくり。

大人びた、と言いいたいくらい成長を感じさせ、

別人のような感覚さえあります(*^.^*)

子どもの成長って早い。。。

 

あしたばの特徴、いろんな年代の子が一緒になった大家族のように、

 

障害のあるなしに関係なく、

一人ひとり餅をついていく子どもたちの光景。

特に順番争いすることもなく、

杵を持つ番が来たら、元気に餅に振り下ろしていきました。





 

 

 

 

 


 

 

あしたばこども園では、

行事は毎月のように行っていて、2月だと
■2月3日(月):節分豆まき
■2月8日(土):積み木大会
■2月20日(木):お誕生日会 クッキング保育
■2月28日(金):こどもマラソン大会

 

先生だけが主体的に動くというわけではなく、

 

卒、在園児の保護者の方も

積極的に園の行事に関わっていて、

親自身が楽しんでいる部分もあり、

大人が活躍する様子を子どもが見て楽しんでいる光景がありました。

この日も、卒園から7年経つOBの方が手伝いに来ていました。

 

保護者の方同士の繋がりが強くて、
あしたばで繋がった人とは

 

まさに「戦友のように」ずっと関係が続いていく事が多いそうです。

 

ほとんどの親御さんが、

 

送迎バスのないこの園にわざわざ入れたいと思いを抱いてやってくるので、

それだけ熱く通い合う部分があるんでしょうね。

卒園生の親御さんが園庭で
あしたばに通った日々を話していました。

親にとっても大事な思い出の園舎と園庭。

 

子どもと一緒に餅つきを楽しみ、

 

「みんな並んでねー!お餅ついて、ぺったんぺったん!」

園長先生の明るい声が響きます。

今日もパワフルな園長先生です(-^□^-)

 

 

☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

 

 

 


なぜ、あしたばの事を記事にするのか。。。?

 

川越の中で先進的な取り組みをしている園として、

話しを聞けば聞くほど、

保育は一律的な考え方ではなく、川越にはこういう場所もあるという

選択肢を知ってもらいたい、と思い通っています。

幼稚園に限らず、子育てに関することは、

これからも積極的に紹介したいと思います。

 

あしたばの保育は、
「みんな違って、みんないい」という一言に尽きますが、
朝、園に来てから帰るまで時間割がぎっちりというより、
子どもの自発性を大事に余裕を持たせた時間の使い方で過ごします。

 

約束や規律は生活遊びの中で自然に身につけていく、が基本。

 

去年の秋に来た時には、全力で泥んこ遊びをし、

終わったら自分たちで後片付けをする姿がありました。

 

命いっぱいに生きてるなあと思ったのを覚えています(*^o^*)

 

 

上の子が下の子の面倒を見て、

 

子どもたちなりのルールがそこにありました。
でも、危険なこと、集団生活のルールは、

大人が知らせていました。

 

あしたばは、少人数制で「縦割り保育」が特徴。
縦割り保育は年齢で行動を分けるのではなく、

 

異なる年齢の子どもたちが一緒に遊び生活すること。


さらに、
障害のある子もない子も共に過ごす「統合保育」。

他の園で、「うちでは面倒見切れない」と断られた方など、

いろんな理由からあしたばが選ばれていて。

障害がある子も一人一人個別に相談に乗らせてもらって、

受け入れたりしているそう。


縦割り保育と統合保育の二本柱の幼稚園です。
これを両立している園は、川越でここだけ。

 

 

保育の現実は、「こうでありたい」と個人の想いや理念では

 

 

どうにもならない面もあって、

子どもの事を想って理想を実現したくても、

人の問題、お金の問題、山積みですよね。

 

そんな時に、「こういう園は絶対必要」と、

 

考えに共感してくれた福田さんが自身の敷地を無償で提供してくれて園庭になり、

当時の在園生の保護者の方が資金集めに奔走し、

ログハウスのような現在の木の園舎が建った。

 

これだけ広い園庭とこれだけ大きな園舎には、

 

そういう背景があるんです。

 

1977年7月
「障害のある子もない子も共に育ちあおう」という創立者・武市洋子先生の保育理念の
と、「あしたば学園発起人会」が発足。

 

1978年4月
川越市野田町の小さな民家で10名の子どもたちの入園式が行われ、少人数・縦割り・統合保育の無認可保育施設として「あしたば幼児園」が誕生。
同年、園の精神に深いご理解をいただいた福田守夫様のご厚意により、現在の地に移転。

 

 

1989年9月
木のぬくもりと優しい陽射しのふりそそぐ現在の園舎が完成。
以来、理解ある保護者・保育士の協力によって自主運営を続け、市の子育て相談窓口からも

 

多くの統合保育を希望する幼児を受け入れてきました。

 

前身を含めて、35年になるあしたばこども園。
平成23年にNPO法人となって、知る人ぞ知る、から
だんだん広く知られるようになってきました。♪

 

 

2011年1月
NPO法人「あしたば学園の会」を設立し、「あしたばこども園」に改称。

 

 

 

☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

 

 



お餅をついた後は、園舎の中に入って

先生の読み聞かせが始まりました。

外から入るたくさんの光。

木の部屋が光を受け止めて暖かい色合いに包まれていました。

 

「おもちはこうしてできるんだよー!」

 

もち米から、蒸かして杵でついて、

お餅になるまでを絵本を使って説明。

本に子どもたちの目が一点にじっと集まります。

凄い集中力。






子どもたちの想像力を刺激するように、

子どもたちの反応を見ながらの読み聞かせでした。

 

「おこめをーどうするのー??」
「ぺったんぺったん!」
「ぺったんぺったん!」

「なんでひっくりかえすかわかる?」
「くっついちゃうから!」

「なっとうもちたべたことあるひとー?」
「なーい!」
「みんなすきなおもちはー?」
「きなこ!」
「きなこ!」
 

 

一方、外の園庭では

二回目の餅つきに向けて、親御さんたちがもち米の蒸かし真っ最中です。


 


 

釜を見守るのは男性の方々。

 

「園の行事には、タイミング合えば参加したいと思っています」

 

 

もち米が蒸かし上がり、

 

園舎でお話しを聞き終わった子どもたちが園庭にまた飛び出してきました。

「さあ、二回目の餅つき始めるよー!」

先生の掛け声に、臼の周りに集まる子どもたち。

我先にと杵を奪い合う光景もなく、

自然と順番に並ぶ姿が、改めて凄いなあ。

 

さあ、次はどんな表情を見せてくれるかな♪

 







・・・と、

餅つきの最中に、園庭にやって来られた親子がいました。

園舎を感慨深げに見上げています。

もしかして・・・

横から話しかけてみると、やっぱり!

今日来られると聞いていた、あしたばの卒園生の親子でした。

息子さんも、今から25年前にここに通っていたあしたばっ子。

今日は、20年ぶりくらいに親子であしたばに足を運ばれました。

 

実は、川越styleをいつも見てくれて、

 

以前書いたあしたばの記事を目にし、

「うちもあしたば出身なんです!」

と、この日ここにやって来てくれたのでした。


そして、

卒園7年と卒園25年、世代を超えたOBがここに顔を合わせました(*^o^*)

20数年ぶりに来ても、

「園舎は変わってないな。。。」と呟き、

おもむろに、

額に入れられた一枚の絵を手渡してくれました。。。

 

「これが今の園舎が建つ前のあしたばだったんですよ」

 

 

そこに描かれていたのは、

 

今の大きな園舎もなく、平屋の小さな建物。

これが理想を追求した最初のスタートだった。


 

「描いたのは、うちの子の同期のおじいちゃん」

 

新しい園舎を建てる時に、

取り壊す前の姿を版画に残した。

蔵は今も残っていますね。

そして、え!と驚くような事実が告げられました。

 

「私たちが今から25年前、資金集めに奔走してこの園舎を建てたんです」

 

 

一体、どういうことなんでしょう。。。?

 

 

園舎が建つまでの経緯の中に、

 

保護者たちが一体となって前に進んでいった話しがありました。

理想を支えるために駆け回ったまさに人間ドラマ。

川越にこんなドラマがあったのか・・・と信じられないくらいの

大人の熱い青春でした。


 


 


OB同士、お互いがこの時初めての交歓。
どちらの方もあしたばの灯りを守ってきた方々。
一方は卒園から7年経つ今も、NPOの活動に参加し、
一方は卒園から25年、当時なんと、

園舎建て替えに中心的に奔走した方、建て替え第一期生の親御さんでした。

同じ時期にあしたばで過ごした親同士が仲良くなるだけでなく、

今ここに、世代を超えて
あしたばOBの親御さんが顔を合わせていました。


もともとあった平屋の建物は、昭和53年くらいから建っていたそう。
子どもたちが走ると、地震じゃないかというくらいに建物が揺れ、
「雨の時は室内でも傘をささないといけないくらい」

バケツと傘が大活躍していた。


子どもが通っていた昭和63年当時、
平屋の古い建物に一年くらい通っていた時だった。

建て替え運営委員会を立ち上げ、その一員になった。
当時の親御さん、ほとんどが参加していたそうです。

「でもお金がないから、どうやって建て替えようか」

下の娘さんが、まだオムツをしていたけれど、

背負いながら県庁に市役所に通い詰めた。
「また来たか」
と、思われるくらい通った日々。
それでも粘り強くあちこちに働きかけを続けた。
やっと初めての話し合いの場が持てたのが、半年後のこと。
少しずつ事態が動き始めるのを感じた。

建て替えするには何より資金が必要なのは分かっていたが、全然足りないのは誰の目にも明らかだった。
手持ち資金は少ししかなく、
あと1000万のお金をどうするか。。。

 

悩むより行動、と
がむしゃらに突き進んでいく当時の保護者メンバー。
そこで考えたのがバザーだった。

「この園庭で年に二回バザーを企画して」
あそこでフリーマーケットが開催されると聞けば、すぐに駆けつけた。

別の卒園年の親御さんが、
「そうだったんですか。。。!」
驚きの声を上げています。

自分で作った野菜もフリーマーケットに出店し、収益は全て建て替え資金にしていった。
バザーではなんと、一回で80万くらい利益が出るほど熱心に売っていたそう。

 

手書きのチラシを作っては、

駅前で賛同者を募る活動も続け、

自分たちで建て替え資金を集め、工事の着工は始まった。。。


建て替え工事で完成したのは平成元年9月。

水飲み場は自分たちで作り、

当時あったシーソーは、

工事の廃材で出たものを使って作った。

 

そして出来上がった大きな木の園舎、

 

生まれ変わった姿を眺めた時、

難産の末に生まれた我が子を見るような気持ちだった、といいます(*^o^*)

「うちの子が、建て替えの第一期生なんです」


新しい園舎から巣立っていった第一期生は、13人。
同期は4人くらいだったかな・・・と、少し考えた後に、
「縦割り保育だから、同期が何人とかはっきり覚えていないんですよね(笑)」
と、振り返っていました。



当時一緒に通っていた親同士、25年経っても
「いまだに連絡取り合っていて、年に一回は飲み会をやっているんですよ」

そういう繋がりって凄いですね。
一体感に思いを巡らせていると、
次の言葉を力を込めて続けました。

「要するに戦友なんです」

苦労を分かち合った仲間。

そこまで建て替えに情熱を注げることが、想像できないというか、

だから率直に聞いてみたんです。

「卒業したら、ここには来ないじゃないですか??

それなのに保護者たちが建て替えにそこまで力を注ぐって、

どうしてだったんですか。。。?」

 

すると、笑顔で

 

 

「大好きなの、ここの人たちが。職員さんも親御さんも。

 

最初はうちの子は他の幼稚園に行っていたけど合わなかった。

いろんな幼稚園に話しを聞きに行っても門前払い。

『無理です、うちでは受け入れられません』って。

園を探している時に、こういうところがあるよと紹介してくれたのが

あしたばこども園。

見学に来た時に、この子がすぐに馴染んで遊び始めちゃって、もうここにしようって。

先生も、個性がある子ね、とすんなり受け入れてくれたのが嬉しかった」


当時のことを、

時に涙ぐみながら、時に笑顔で、熱く、振り返っていただきました。

「もう谷あり谷ありでしたよ」

それでも乗り越えていった。

あしたばの園舎を作ったことが、人生の青春の時だったんではないでしょうか(*^.^*)


自分たちで作った水飲み場まで歩いて来て、

タイルを懐かしそうに触っていました。

埋めたのもご自身と子どもたちだったそう。

 

後ろから、園長先生が子どもたちに大きな声で話し掛けているのが聞こえます。

 

 

「はい、お餅食べる時間ですよー!」

 


それでは、僕たちも中に入らせてもらいましょうか♪

みんなでついた餅を、園舎の中でいただきました。

 

 

 

 

 

 

お腹ペコペコな子どもたち。

キラキラした目で餅を見つめ

「いただきまーす!!」

と食べ始めました♪

豚汁も振舞っていただき、寒い体が温まります。



餅つき行事は、25年前にもあったそう。

親子で行事に参加するのがあしたばのスタイル。

お泊り会には親子参加で開催していたりしていて。

「今、改めて見る園舎ってどうですか??」

 

「風格が出て味が出てきたなと思いますね」

 

 

今回、あしたばこども園の行事を見に来て、

 

まさか園舎にまつわる熱い話しに出会えるなんて、

夢にも思っていませんでした。

他のOBの方も初めて聞く話だったようで、

みなさん驚いていました。。。

 


ひとつのことにこれだけの情熱を注げることが凄い、母は強しです。

話しを聞いてる最中も、子どもたちは園舎で園庭で、元気いっぱいに遊んでいました。
今、ここに子どもたちの自然な笑顔があること、
その裏に子どもたちを想った大人のドラマがあったこと、
25年経った今も、子どもたちの笑顔は変わりません。。。♪

 

 

 

「あしたばこども園」

 

 

川越市豊田町1-31-9


 


 



 

 


 

 


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