川越style「tenori」の優しいものたち♪ | 「小江戸川越STYLE」

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「時が人を結ぶまち川越」
川越のヒト・コト・モノ、川越物語りメディア、小江戸川越STYLE。
川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

生活を豊かにする選び抜かれたものたちが、大事にそっと、そこに置かれていました。

去年も、その前も、昨日も、今日も。きっとこれからも。

tenoriのものたちはいつ来ても大事にされているのが伝わってくるのです。

一見するととてもシンプル、でもそれは一見でしかなく、

じっと見るほどに、引き込まれていく奥の深さがあることに気付きます。

シンプルの奥にある

可愛らしさ、ユーモア、遊び心、なにより確かな手仕事。

そぎ落とし、最後に残ったものが本当の個性になるのだとしたら、

tenoriにあるものは、個性である可愛らしい遊び心が光っていました。

 

 

 

☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

 

 

川越という地ではるか昔から親しまれている喜多院は、川越の歴史を語る上で欠かせない。

 

観光の方に地元の方の散策や憩いとして、

静かな時間が流れる境内は、今も市民に親しまれている場所です。

 

喜多院にやって来たら、ついふらっと寄りたくなるお店はいくつもあって、

 

その一つ、「CAFE ANTI」さんのおからドーナツをいただくことは外せない。

広い店内、あるいはテラス席でいただく優しいドーナツは、ほっと小休止に最適。

これからの季節には、ANTIさんの冷やし抹茶にも身も心も癒されることでしょう。

ANTIさんから道なりに門前通りを進んでいくと、

そこには喜多院の悠久の時間の流れが漂う雰囲気が感じられる。

16号線に続いていく通りを、斎霊殿を越え、目的地まであともう少し。

赤いポストが目に入り、

ふと、通り沿いに、現れる小さな箱。

淡いブルー色の建物が見えたら、そこが「tenori」さんです。


その佇まいはまるで宝箱のよう。

その昔、消防団で使われていた場所は、

この地にしっくり馴染んでいて、

tenoriさんによって今、宝箱のような空間として生かされています。

(この時期だと、窓ガラスに大きな川越パンマルシェのポスターが掲示されています)

 

2015年5月31日(日)に開催される「川越パンマルシェ」は今年で4回目。

 

初回から雑貨部門に出店しているtenoriさんは、今年ももちろんパンマルシェに出店します。

 

 

 

 

(2014年川越パンマルシェ雑貨部門)


今年のパンマルシェに向けた準備を進めるtenoriさん、今の気持ちを伺いました。

-tenoriさんは第一回の川越パンマルシェの時から毎年出店していますよね。
今やお馴染みの出店となりました。

 

 

「もうそれは呼んで頂けることがありがたいと思っているんです。」

 

 


ーtenoriさんの雑貨を楽しみにされている方も大勢いると思います。

大変な賑わいのパンマルシェですが、渦中にいるとどう映りますか??

 

「そうですね、パンマルシェの最中はずっと雑貨ブースにいて離れることはできないのですが、
お客様が雑貨ブースにやって来て、

 

『◯◯のパン買えた』など楽しそうにお話しを聞かせてくれるので、

間接的にパンマルシェを楽しんでいます。

パンマルシェに来ると、こんなにもパンが好きな方が多いんだ、とその熱気に触れられるのも楽しいです」

-tenoriさんといえば、パンマルシェでは毎回素敵なレイアウトで目を惹きますよね。


「それはもういつも悩んでいることなんです。毎年結局は同じようなレイアウトになってしまうのですが、

それでも、『今年はこうしてみよう』とか『お客様が回遊しやすいようにこうしよう』とか

最後まで悩みに悩んで決めているんです。

最終的にはパンマルシェ当日の朝まで悩んで決まっていく感じです。

だから同じレイアウトは今まで一度もないんです」

ー出店にはそんな裏話があったんですね。


「はい、ずっと頭のどこかにはパンマルシェのことを意識している部分があって、

『次回呼んで頂けるなら、こういうものを置こう、こう並べてみようか』など

特に5月が近づいて来ると意識します」

ーtenoriさん自身もパンは好きなんですか??

 

「好きです、特に川越はパンが美味しいお店が多いので、

 

いろんなパンを求めることができるので恵まれていますよね」

川越に来てよかったと思うこととして、

美味しいパン屋さんが多いと話すtenoriさんは関西出身。
実は小さい頃からパンに囲まれた環境で育った。

 

「実家の隣がパン屋さんだったんです。だからパンの焼ける香りがいつも漂っていて、

 

よく買って食べていたし、パンはずっと身近な食べ物でした」
と話します。


ー最後に川越パンマルシェまであと一ヶ月と少しになりました。

今年のtenoriさんはどう臨みますか??

「普段通り、と言っても難しいかもしれませんが、それでも普段以上のことはできないし、

自然体のtenoriを見てもらえたらと思います。

賑やかなイベントなので、雑貨ブースがちょっとした息抜きになるように大切に出店したいと思います」

 

ーありがとうございました。tenoriさんの出店楽しみにしています♪

特に、川越パンマルシェに出品しようと考えているのが、

 

奈良・吉野「嘉兵衛本舗」さんのほうじ番茶や珍しい国産の和紅茶、
京都・北白川「ちせ」さんの季節のジャム、
愛知・半田「voyage」さんが焙煎したドリップコーヒーやコーヒーリキッド、
京都・静原「CAFE MILLET」の麹から手づくりの自家製塩麹など。

 

中でも「嘉兵衛本舗」さんのほうじ番茶には思い入れがあるのだそう。
袋いっぱいに詰め込まれた番茶。

 

刈り取った状態そのままで入っているもので、

出身である奈良の方ではみんなが日常的に親しんで飲んでいるもの、

自身も小さい頃からごくごく飲んでいたそう。

昔から親しんできた番茶をtenoriでも定番で扱い、川越パンマルシェにも出品する予定です。

 

早いものでオープンからもうすぐ5年になるtenori。

 

季節を巡るごとにさらに風景に溶け込んでいくブルーの建物は、

ここにしかない空間となって、深まりは増していっている。

場所柄、住宅が多いので定期的に来られる地元の方に、遠方から来られる方も多く、
みんながこの場所を自分の宝物のように思っているところは以前と変わらず。

 

tenoriさんの四角い宝箱の中に入ると、

 

一つひとつのものがゆったりと大事に展示されている様子に、

「もの」をいかに大切に思っているかが伝わります。


主張してもし過ぎず、そこにあるだけで、確かに空間に温かみをプラスしてくれるようなものたちは、

 

「うちで置かせてもらっているのは、

 

知り合いの作家さんから別の知り合いの作家さんを紹介してもらってというように、

繋がっていった方のものも多いんです。

知り合いだとテイストが似ているので、素敵な方と出会うことも多くなる。

ここにあるのは、一つ一つの出会いが繋がって『輪』になっているものなんです」

と話すtenoriの仲世古さん。

 

確かにtenoriに並んでる物は、どれにもどこかで雰囲気が通じる部分があって、

 

全てが一本の糸で繋がっているような輪を感じる。

ゆっくりと焦らず、出会いを大切にしながら繋げていった作家さんとの輪。

多くの作家さんを取り扱っているけれど、

全体に統一感があるのは、そんな秘密があるからなのでしょう。





 

 



 

 

同じシンプルでも、例えば、
善太郎のパンにはほんわかした温かみがあるように、
tenoriのものたちにも同じ温度が流れているようで、

川越パンマルシェ出店者同士も実は繋がっているところがあります。

 

tenoriに並ぶのは、生活を豊かにする雑貨や食品、その佇まいはシンプルなものが多い。
だけど、手に取りよく見てみると、シンプルの中にもほんのり差し色のようなアクセスがあったり、
シンプルだけど思わずくすりとさせられるような遊び心であったり、モチーフが面白いものであったり、
何か発見があったりしてちょっとしたスパイスが振りかけられている。

 

見れば見るほどじわじわと奥にある魅力が滲み出てくるよう。


お店に並ぶのは、仲世古さん自身が生活者目線で実際に使ってみて、

「いいな、使いやすいな」というものを置くのが基本。

「扱うものは生活に根差したものでありたいです」と話す。

そこには、お店で扱うからこその責任も痛感していて、

自分で使うからこそ使い心地を自分の言葉で伝えられるし、

自信をもって薦めることもできる。
全て必ず自分で納得したものだから、ここにあるのは

確かな手仕事で質がよく、生活に根ざしたものが並びます。

じっと目を凝らして見てみると、

一枚一枚の花びらをとことん考えられていて、色合い、形も悩み、
フチの部分の形も納得いくまで突き詰めた思いが伝わってくる。

 

そしてこの陶器シリーズ、持ってみると驚くほど軽い。それは、感動的に薄いからなんです。

 


陶器の中で、「薄くて割れにくい」というのは、実は簡単に作れるものではなく、
そこには、土のブレンドや焼き方の試行錯誤があっただろうけれど、

そんな複雑なことをちっとも感じさせず、ただただ可愛らしいという姿がある。


ものに作り手の体温が感じられ、
手にとって眺めていると、作り手が悩みながらもコツコツと手作りする姿、さまざまな感情、

その風景が目の前に立ち上がってくるよう。
味わい深いもの、という言い方がありますが、まさにこのことで、

見て触って、よく見てよく触って、

時間をかけるほどにじわじわ伝わってくることがあるものこそ、その表現が許されるのかもしれません。


きっと、そういうお皿は、生活の中で丁寧に扱われることになり、
上に乗せる料理をあれこれ考えるのが楽しくなったり、
洗うのも棚にしまうのも大事に扱うようになったりしていく。

 

ものは、単なる「物」で完結するものなのでしょうか。
tenoriのものを見ると、いや、それは違うといつも思わされます。
作家さんが作り上げたところはあくまでスタート地点、
お客さんの手が取り、生活に取り入れ、長く使ってこそ、ものは輝きだす。
使っていくことでものに愛着を持ち、気持ちがこもり、

 

月日を経た木の年輪のような気持ちの年輪でものはさらに磨かれて、

その家だけのものになっていく。
作家さんが一つの「形」を作り、
使う方が生活の中で磨いて唯一無二の「形」にしていく。

それはもう、リレーのよう。生活雑貨にはそんな力があるはず。

 

作家さんからお客さんへバトンを繋ぐために。

 

お店ができることは何かを考えているtenoriさん。

ものを買う時に豊かさを感じれば、きっと生活の中の使い方が変わる。

ものの置き方一つでも、ものは表情を変えたりするのだということは、

この空間が教えてくれたこと。
そこにちょこんと置かれているようなものにも、
位置や角度までに細かい気づかいや思いやりが込められていることに気付きます。


 

tenoriさんでは、お店を始めた時からずっと扱っている作家さんも多く、

 

途切れさせないその関係性に、本質的なブレないテイストを感じます。

流行を意識して次々といろんなものを扱うよりも、
「本当にいいなと思ってお店で扱わせてもらう方とは、ずっと長く付き合いたい」

と話し、
作家さんが新しい雑貨を生み出せば、お店で置かせてもらう。
作り手としても、時期によって作品の変化もあるでしょう。
tenoriさんにある変化は、

作家さんを入れ替える変化ではなく、
一人の作家さんの中の変化に寄り添うことを大事にしているようでした。
 

tenoriさんが繋いでいった作家さんとの大きな輪は、
どこから始まってもここに戻ってくる。
tenoriらしいシンプルなお皿がありました。

 

お皿にパンを乗せたり、料理を盛り付けたりしたら、

 

こんなカトラリーでいただきたい。

 

木のカトラリーとガラスのグラスとの組み合わせを楽しむのもいい。

こんな風に、生活風景が広がっていくことがtenoriらしい。

 

 

他には例えば、

 

スタートをこちらの器にしたっていいかもしれない。

 

この器には、どんな食器が合うだろう。

 

 

そしてテーブルの上には一輪の花を。

 

次の一品のお皿には、うん、このお皿のテイストがいいな、と、
始めのお皿に戻り、どこから始まっても戻ってくる感じがあって、

また巡り始めてもここに戻ってきて、といつまでも循環していくよう。

どの作家さんとも一本の糸で繋がっている大きな輪がありました。

 

雑貨屋さんは、日々進化していき洗練していくものだと改めて思います。

 

それは、作家さんの作品の深化もありますが、
なによりお店をやられる仲世古さんが、
「本当にいいものはなんだろう」
日々考えながら、お店とものを深化させていく蓄積があるからなのでしょう。


オープン直後は、(他のどのお店もそうでしょうが)まだ手探りだったといいます。
それから、この場所、このお客さん、作家さんとの繋がり、
そして自分が考えること、いろんな経験が積み重なり、
ここにしかない形になっていった宝箱。

オープンから5年近く経ち、ようやく私のお店と言える形になって、

それは同時に、「ここはお客様のお店」と言えるまでに

自分と地域が結ばれた実感を持てるようになった。

ここはお客様のお店、凄く深い言葉です。


喜多院のすぐ近くという落ち着いた場所、
車や人が多く行き交うわけでもなく、
観光客が押し寄せるわけでもない。
普段のこの辺りの様子は、いたってゆったりとしているものです。
そして、この場所の雰囲気を仲世古さんは気に入っている。

「私にはこの場所はちょうどいいんです」

 

きっと、この場所だからこそ作れた空間だったのかもしれません。

 

落ち着いてゆったりした空間に、大事に置かれるものたち。
自分にとって大事な一品を見つけるのに、

静かに自分と向き合って探せるかどうか、

そういう時間に浸ることができるお店かどうかも重要なのだとしたら、


tenoriは出会いに溢れる空間。

この居心地は、

なんだか家で寛いでいるような感覚になっていって、

みんながここを自分の家のように来るのではないでしょうか。
お店に来る、というより、帰って来る、ような。

自分の家のような大事な宝箱。

5年経とうとして、ますます素敵になっているtenoriでした。

 

「tennori」

 

川越市小仙波町3-3-5

090‐9042‐3483
不定期営業(営業日は店頭カレンダー、もしくはHPにてご確認くださいませ。)
http://tenori/jp/

 

 

 

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