大学に入って、同学科で仲のいいグループができたのだが、そのうちの一人の女の子が3浪だった。

 

どうしても行きたい大学があって、頑張っていたのが、2歳下の妹さんが先に大学生になってしまったので、本人も親も潮時かとあきらめて滑り止めに受けた大学に入ることになったんだそうだ。

 

そういった経緯だったので、頭はよかったし、ものすごく努力家だった。


大学卒業後は留学して、国外の学位を取得。

結局地方の大学の准教授になった。

 

本人3浪したのはとても気にしていて、もちろんストレートで卒業したし、普通の企業に就職は難しいだろう、と学問の道を選んだわけだが、それでも30代になる前には働き始めている。ついでに言うとそこそこ裕福なご家庭のお嬢さんだった。

 

テレビのザ・ノンフィクションが「12浪」で早稲田に入った男性の就職奮戦記だった。

 

これは「前編」なので来週後編があるんだろうか。

 

12浪、という見出しに興味を惹かれて見始めたが、彼はすでに38歳。


5年も留年していた。

 

早稲田大学には高校時代から行きたいと思っていて、一浪した結果、中堅私大しか合格しなかった。


まずはその大学に入学したが、父親から

「一浪までしたのにその程度の大学か」 

と言われたので中退してそこから早稲田一筋12浪に。

 

ちなみにご両親は離婚している。

 

気になることはいくつか、というか、気になることだらけなんだが、まずは「学費とか生活費はどうなってるのか」ってあたりだ。

 

お金持ちの息子さんなのか、と思えば、そんなこともなく、奨学金とアルバイト、66歳の母親からの援助で何とかやっている、というナレーションだったが、さて。

 

奨学金、って無尽蔵に借りられるもんなんだろうか。

 

私の知っている奨学金だと、基本的に正規の年限分しか出ない。


留年したら留年分だけが奨学金なしになるし、中退や除籍の場合は、その時点で返済がスタートする。

(本人が亡くなったとか重度の障害を負った場合は、免除はある)

 

どの時点から奨学金を借りたのかは不明だけれど、お金がないなら、普通は5回も留年しないだろう。

 

私が採用担当だったら、履歴書みた段階でお断りだなあ、と思って見ていたのだが、この方、変り者かと思いきや、変なところでまじめで普通なんである。

 

まず、就職活動のためにエントリーするのだが、今時なのでネット応募である。ところが年齢を選択する欄に彼の生まれた年はない。


新卒対象なので基本的に20代までしか想定されていないのである。

 

「エントリーすらできないんですよ」と被害者のように語るが、うーん。

 

しかも就職活動が思うようにいかないから、さらに休学(留年)することにした、とか恐ろしいことを言う。


そりゃ、就職が決まらないから、留年して来年を目指す、ってのはない話ではないけれど、それは18歳で入学して留年していない若い子の場合なのでは。

 

つまり「新卒」っていうカードに強みがあるから、1年先送りしてでも再チャレンジする価値がある、って計算が成り立つわけだ。


実際、卒業した年が大不況で採用枠が激減、なんて運の悪いケースもあるからね。

 

ただ、すでに、38歳の場合は、新卒になんの価値もない。

 

いや、年齢だけじゃないんだな。

 

私の知り合いで、50歳過ぎてから夜間大学に入ってそのまま院まで進んだ看護師さんがいるのだが、彼女は大学教授になった。


最初から大学教授目指していてたわけじゃなくて、最初は勉強がしたくて大学に入っただけだ。


看護とか介護の場合、現場経験はあるけれど学歴がない、学歴はあるけれど現場経験がない、って教員は多いので、両方を兼ね備えているから声がかかった、ということ。

 

主婦の方で子育てが終わってから、一念発起して大学院に入った方もいる。

資格を取って就職も果たした。

 

まあどちらの方も「新卒」で一般企業にエントリーはしてないけれど。

 

で、留年もしていないし。


ついでに言えば、学費は自分のお金で出している(主婦の方はご主人に了解をもらって負担してもらってる)。

 

この38歳の早稲田大学生の方の場合、バイトとかで学費や生活費を稼ぎだしていたようなのだが、そのバイトを本業にしてみるつもりはなかったのか。なんのバイトか知らないけれど、同じ業種でバイトしていたなら10年以上のキャリアだ。


これはもう中堅社員と言ってもいいんじゃないだろうか。

 

多分だが、「早稲田大学の学生」という立場にアイデンティティを見出しちゃったんだろうか。

 

出版関係が希望、ということで、就活をしているのだが、早稲田大学の事務職の募集にもエントリーしていて、やはり落とされている。

 

学校に友人も多くいてコミュニケーション能力に難があるわけでもない。12浪とはいえ早稲田に合格しているくらいだから、頭もいいし、努力する能力もある。

 

なんだかものすごくもったいないような気がしてきた。

 

タラればだけれど、最初に入った中堅私立大学を卒業して就職していたとすれば、38才だったら社会人15年目だ。

職場で主戦力の働き盛りで、学生さんの面接を受ける側だろう。

結婚してパパになってたかもしれない。

 

あ。国民年金とかどうなっているんだろう。

 

学生の間は猶予してもらえることになっているけど、それは、障害者になったときに障害年金をもらえる資格がある、とか空白期間にならないってだけの話で、将来貰える年金額に反映されるわけじゃない。

 

 

何か目標をもって打ち込むのはいいんだけれど、そもそも「大学」って通過機関であって目標地点じゃない。

 

その人の立場にもよるけれど、「どこの大学出ているの?」なんて聞かれるのってせいぜい30歳くらいまでなんじゃないだろうか?

 

で、彼は就職にたどり着けたんだろうか?後編が楽しみだ。