「夕べ、排便後血圧が下がり、ちょっと危ない状態だったけれど、持ち直しました。」
と朝になってから連絡、というか報告があった。
要するに、「何があってもおかしくない」という覚悟を持て、と示す報告だったのだが、慌てて帰省して面会に行くと案外元気で、
「何か土産はないのか」←食べ物を持ってきたのか
と催促された。
遠方にすんでいるので、頻繁に会いに来れない。とにかく最後にあっておきたい、くらいのつもりだったので、特別な「食べ物」は持っていなかったが、道中のサービスエリアで購入したコロッケとみかんゼリーはあったので、あげるとがつがつと食べた。
おや?元気じゃん。
その後、コロナが蔓延し、父親の施設は厳戒態勢となったため、一切の面会はできなくなったので、それが父親とあった最後なのだが、いろいろ病気を持っていたのに、85歳まで頑張ったので、天寿を全うしたと思っている。
しかし、そんな父親でも「排便」したくらいで危篤状態になるんだから、案外、うんこするのって体力使うもんなんだなあ。
と、いう私も、ここ数日の猛暑で弱っている感じで、水分を多くとらなきゃとお茶を飲み過ぎた結果、かえって体調がおかしくなり、夕べは、トイレに数回通ったら、疲れてしまって、そのまま寝落ちした。
夜、服用する薬は全部飲みそこなった。
仕方ないので朝飲んで、朝飲む薬はずらしていくしかない。めんどくさい。
私は子宮体癌なので、病気系のブロガーさんの記事はよく読んでいるのだが、やはり、便秘、下痢に悩まされている方は多い。
便秘も困るが、下痢って体力奪われるね。
うんこ、と言えば、婦人科医のまるぽこ先生のブログに「手術中に脱糞する患者さんはちょいちょいいる」という衝撃的な内容がかかれていたのだが、全身麻酔するとやはり肛門の括約筋もゆるっとなるそうで、医者は慣れているので気にすんな、ってことだが、いや、気にするわ。
私全身麻酔での手術は2回行っているが、最初の手術は甲状腺腫瘍の除去手術だった。
患部が「首」なので、特に消化器系のケアはなし。と、言うか、初めての手術だったので何をされるのかさっぱりわからず、先生が申し訳なさそうに
「おしっこの管は入れさせてもらうね」
と言われたが、うんこについては何も言われなかった。
その時はまだ生理があって、大量出血だったので、手術と生理が重ならないように、ってことだけが心配だったのだが、幸い重ならなかった。
首の手術だったので、手術の翌日にはすたすた歩いてトイレにも行けたし、歩行訓練だの、看護師さんからしつこく「おなら出た?」「お通じあった?」と聞かれることもないし、ご飯もすぐに普通食だった。
その数年後、今度は子宮体癌で子宮全摘手術をすることになるのだが、術前の準備が甲状腺の時とは全く違った。
まず、手術の2日前から低残渣食ということで、プリンとか具のない茶わん蒸し、重湯とジュースと言った食事になる。
手術前日は絶食である。
私の病院は、これらの手順をあらかじめプリントで渡してくれているので、いきなり「え、今日はご飯ないの!」ということにはならないのだが、手術前日は下剤も飲まされる。
お昼ごろから、1.5リットルの微妙な味の甘ったるい液体を看護師さんが持ってきて、これを飲み切って出たうんこをチェックさせてくれ、と恐ろしいことを言う。
つまり、うんこがさらさらの液体で色がほぼなくなるまで出しきれ、というミッションで、それを看護師が目視で確認する、ということなのだが、2日間ろくに食べていないので、下剤を飲んでもなかなか出てこなかった。
出ない場合はどうするか。
院内をぐるぐる歩くのである。
歩くと腸も動くので。
あとは、湯たんぽを持ってきてくれてそれで腹を温める、と。
(これは何の意味があるのか不明)
下剤を飲んでから40分くらいで出始め、それからはトイレに通い詰めることになるが、私は大部屋だったのでトイレは自室にない。
みんなで使うトイレのうちの一つを私専用という札を貼ってもらい、そこに通い詰める。
20回~30回くらいトイレに通って、やっと合格が出たので、下剤ミッション終了。
当然だが、その後昼食も夕食も出ない。
トイレ通いと歩行運動でかなりの体力を消耗したが、
「これって、お年寄りとかはどうするの?」
と看護師さんにきくと、
「体力のない方はポータブルトイレ使ったり、おむつでとるよー」
とのこと。体力がなくてもやるらしい。
手術当日の朝は、潅腸までされた。
ほぼ出なかったけれど、手術の40分前くらいだったので、手術中に出たらどうするの、って心配はあった。
今から思うと、手術中にうんこ出ることは医師も看護師も全く気にしてないような気もする。
大量に出る、とか、腸にうんこが残っていて、手術の邪魔になるのは避けたい、ってことだったのでは。
こういう経緯だったので、私は手術中にうんこは全くでなかったと確信している。
何故なら腸内に何も入ってなかったから。
それは良かったのだが、手術が終わると今度は「おなら」と「排便」を医師も看護師もしつっこくきいてくるようになる。
水分は取っていいことになったが、おならが出ないと食事は出ない。
あまりにしつこく聞かれるので、「出ないとなんか腸に不備があるのでは」と疑心暗鬼になり、病院にいるのにネット検索してほかの病院の説明を探すことに。
それによれば大体4日めか5日目くらいに出ればいいそうだ。私は4日目の真夜中に出た。
排便はさらに遅い。
いかに腸内が空っぽだったかがわかる。
腸内からっぽにするのはいろいろ理由があってのことだろうとは思うのだが、手術前に結構な体力を使うので、元気な患者さんじゃないと厳しいのでは、と思ったりもする。
首を切ったときは、術後の回復は早かったのだが、腹を切った後は、起き上がるのにも苦労したので、やはり「手術」と一口に言っても、切った場所とかによってやり方も違えば、術後も違うんだなあ、と当たり前のことだが思った。
傷あとは、今となっては、腹の傷の方がきれいについているのだが、腹なんて他人に見せる機会はほとんどないのでなんだかなあ、という感じである。
首のきずあとは、きれいについていることはついているんだが、私は肌色が白いため、傷跡が濃いベージュでちょっとわかりやすい感じ。
先生は、「首の皺に隠れるよ」と言っていたが、残念、首に皺はできなかった。今後できるのか。
まあ、命のほうが大事なので、あまり気にしていないけれど。