主婦と言っても「専業主婦」とは限らないのだが、このテーマを見て脳内に響いたバックグラウンドミュージックは
「親父の海」
だった。
私の母親は当時としては少数派のフルタイムで働いていたのだか、専業主婦を思いっきり馬鹿にしていた。
住んでいたところはド田舎なので、既婚女性はほぼ専業主婦である。
が、ド田舎の専業主婦というのは、都会の専業主婦と異なり、自分のところで食べる分くらいの畑はやっているし、家によっては田んぼも持ってる。そして大抵「内職」なんかしていた。
この内職の手間賃がいくら昭和の時代とはいえ「円」じゃなくて「銭」とか「厘」単位。
大葉の葉っぱを10枚ずつ輪ゴムで留めて袋詰めする内職が1つ作るごとに「5厘」とかそんな感じ。
時給に換算すると150円とかなんだが、自宅から一歩も動かなくてできるし、大抵、近所の奥様方が3人4人と集まって子守もしながらやっているので、今から思うと案外効率的なのでは。
友達の家に遊びに行くと、友達のお母さまがおしゃべりに花を咲かせながら、キューピーちゃんのドレスをかぎ針編みで作る内職、とかもやっていて、なんか楽しそうだな、なんて思っていた。
さて、「親父の海」だが。
♪親父みたいなよー、酒飲みなどに、ならぬつもりがなっていた
って歌詞なのだが、私は結局今現在、暢気に主婦をやっている。
アレ?
母親に「専業主婦なんて〇×△」って育てられたのに、全然主婦に嫌悪感がないのはなぜだろう?
結局のところ、「仕事を理由に家族を後回しにする母親」になんとなく嫌悪心があったのかもしれない。
友達のお母さんたちは、ダンナとか子供の都合優先で動いていたからね。
まあ、正解は無いのだ。
私の友人は、専業主婦で子育てをしたのだが、その娘さんは、「母ちゃんみたいになりたくない」と常々言っていて、この間結婚したけれど、ダンナさんとは完全割り勘夫婦だ。(その割には家事負担は女の方が多いわけだが)
私と逆な仕上がりである。
最優先で育ててもらっていたのに、母親が経済力がなく、(娘さんから見て)社会的常識がないのが嫌で仕方ないのだ。
なんか面白いものである。
漫画家の西原理恵子さんの娘さんも「専業主婦だけにはなるな」と母親の価値観を刷り込まれて育ったわけだが、どうも現在は反抗しているようだ。
親子とは言え、違う人間なんだから同じ仕上がりにはならないよ。
あ、「主婦の趣味」だった。
昔から続いているのは小物づくり。つまり「手芸」である。
長年続けているのに「趣味」の域を出ないのは、めんどくさがりだからか。
大学時代の友人はお母さまが編み物にはまり、お母さまの姉妹もその娘達もはまった結果、ものすごく凝った手編みのセーターを量産し、確か叔母さまは編みもの講師のなったそうな。
才能だなあ。
私ははひたすら、きんちゃく袋とかポーチ、コースター、マスクなんかを作っている。
マスク不足の時は他人にあげて喜ばれたのだが、もうマスクは誰も欲しがらないのでちょっと寂しい。
あ、ダンナの父親も私の父親も酒飲みだったが、私たちはほとんど飲まない。
ここは遺伝も反発もしなかったか。