腹を出して寝るもなか。
もう野生の欠片もない

 

 

私と同じ子宮体がん(仲間)のりりかさんがトイレに閉じ込められて危機一髪だった。

 

りりかさんのブログによれば、りりかさんはコロナに感染してしまい(最近また流行っているみたい)、同居している高齢のご両親に感染させてはいけないので、ご両親は1階で生活し、りりかさんは2階で自主的に隔離生活を送っておられた。

 

2階にもトイレがあるので、そのトイレを使っていたのだが(感染予防のため)、トイレの前の廊下に使っていないふすまが立てかけてあり、窓からの風にあおられてトイレのドアをふさいでしまった、と。

 

割と重めのふすまだったようで、どうやっても扉があかない。トイレに閉じ込められてしまった。

 

1階のご両親に助けを求めようと、壁をバンバン叩いても、高齢で耳が遠くなっている両親に伝わるかどうか。

コロナで療養中なのでのどを痛めていて大声は出せない。

 

結局、しばらくしてお母さまが壁を叩く音に気付いて下さり、無事救出。

良かったよ。

 

以前テレビで放映されていたのは、40代くらいの女性会社員の話だ。

 

彼女は独身でマンションに一人暮らし。

身内は母親のみなのだが、病院に長期入院中。

たまにお見舞いには行っていたのだが、仕事が忙しいので休日にしか行けない。

 

その日彼女は帰って来るなり、仕事で使っているアタッシュケースを廊下に放りだしてトイレに駆け込んだ。

用を足すのを我慢していたので家に帰ったら真っ先にトイレに行ったのだ。

出すものを出してホッとして、ドアを開けようとしたら、トイレのドアが開かない。

鍵が壊れているとかでもない。

 

彼女が放り出したアタッシュケースが、廊下の幅とシンデレラフィットしてしまっていて、外開きのトイレのドアが開くのを邪魔しているのであった。

 

しばらくガタガタドアを開けようとしてみたが、アタッシュケースはとても丈夫らしく、何としても開かない。

じゃあドアごと壊そうかと体当たりしても建付けが良いのかびくともしない。

 

困った。

 

彼女は一人暮らしで、毎日連絡を取り合うような彼氏とか友人はいない。

出社しなければ職場の仲間が気づいてくれるのだろうが、運悪く連休だ。

 

トイレなので出すことには困らない。

水も何とかなるが、食べ物はないし、閉じ込められたままだといずれは餓死する。

 

数日間トイレに閉じ込められたが、結局彼女は助けられた。

入院中の母親が休みなのに娘が見舞いに来ないのを不審に思い、病院スタッフに働きかけて警察官がマンションまで確認に来てくれたのだ。(かなりしつこくお願いしたんだと思う。娘が見舞いに来ないくらいで警察動かすなんて普通はないから)

 

母親ののカンは凄いねぇ。

 

これほど強力な話ではないが、私もトイレに閉じ込められたことはある。

かれこれ30年くらい前の話だ。

 

駅前のショッピングセンターのトイレに入ったら、ドアが開かなくなったのだった。

東京の私鉄の駅から徒歩2分くらいのスーパーではあるのだが、今はもうない。

 

便利な場所なのに「今はもうない」ということからもなんとなくお察しの通り、当時でもそれほど流行っていないショッピングセンターだったのだ。

流行っていないのでトイレにも人の気配はない。

 

とにかく何とか出なければならない。

 

ここのトイレのドアは内開きである。

個人宅などはスペースの関係もあって、外開きのドアが多いのだが、公共機関のトイレは外開きだと事故が起こる可能性もあるので内開きが多い。

 

内開きの場合、ドアノブなどをつかんで中に引っ張る方法をとるのだが、ドアノブなんかなかった。ただ小さな内鍵があるだけである。

つかみどころがない。

 

次に考えられる脱出方法としては、ドアの上下から出る方法であるが、痴漢対策の為か上下とも隙間は20センチ程度。

おデブの私が出られる感じがしない。

 

いろいろ考えたが、自力で脱出するのは難しそうだ。

だったら、誰か来るのを待って助けを求めようと思ったのだが、これが誰も来ないのよね。

 

別に真夜中とかじゃなくて、夕方だったし、田舎の誰もいない公園のトイレじゃなくて東京の駅前のショッピングセンターのトイレである。

 

こんなに誰も来ないってことがあるのか。

 

なんだかんだで1時間弱経った頃、誰かが入ってきた気配がする。

 

待ってました、とばかりに事情を説明して、店の人か誰か呼んできてくれ、とお願いしたところ、彼女は掃除の担当者だった。

ここのトイレのドアの建付けが悪くなっているのは前から感じていた、と言い(だったら直せよ)、彼女が外から体当たりしてドアを開けるので、扉から離れてくれ、という。

 

しばらくして掃除のおばさんが結構な勢いでドアにタックルした結果、ドアは開いたのだが、なかなか怖い体験だった。

 

まあ、どこかで「いつかは誰かが来るだろう」とは思っていたのだが、いつ来るかわからないし、最悪は110番かな、と思っていたけれど、なんかこのくらいのことで警察頼っていいのか、と戸惑う気持ちもあったのだ。(当時はスマホはなかった。)

 

今は日中はほぼ一人なので、トイレに入るときドアは閉めていない。猫、入り放題である。

なんの役にも立たないけれど。