昨日、母親から電話があり、結構深刻な感じで
「〇〇さん(私の本名)。」と言ってきたので何事かと思ったが、
「△君が亡くなった」
脳内の人名を検索するが、はて、△君って誰だろう。
「Nの△君だよ。」
N村は母親の実家だ。
つまり、母親の亡兄の長男、私からすると従弟が亡くなった、という連絡だった。
以前も少し書いたが、私の母親は末っ子なので、兄姉と年齢が離れている。
したがって、私の母方従兄弟たちは全員10歳以上年上で、子守してもらった記憶はうっすらあるが、年が離れすぎていて一緒に遊んだ記憶はない。
ただ、母方実家を継いだ伯父だけは結婚が遅かったので、その子供は私と同年代である。
今回連絡が来た△君は私より2歳ほど年下のはずだ。
「どうした?何かの事故?」
まだ50代で若いし、3年前の私の父親の葬儀に参列してくれたのだが、大変元気な様子で何か病気を患っていた様子もなかった。
「今聞いたばかりで詳しくは聞けなかったけれど、朝、会社に行こうとしたところ、ばったり倒れてそのまま亡くなったらしい」
脳出血かクモ膜下だったのだろうか。
電話を切った後、ちょっと複雑な心境になった。
年下の従弟が急死したのは驚いたのだが、どこかで母親に対してすっきりした感じがある。
あまりに人でなしすぎて他人には言えないし、従弟に対しては父の葬儀に来てくれた恩義こそあれ、何も嫌なことをされたことはない。
先週末、帰省して母親と2時間程度話したのだが、その間も
「健康は財産」
「体にだけは気をつけなさい」
的なことを言われ続けていた。
これだけだったら、大抵の人が言うことだし、私も他人に行ったことがあるので別に問題はないのだが、母親の場合、「健康マウンティング」が入る。
病院にはどこかかかっているのか、とか、塩分の取りすぎは良くない、に始まって、自分や知り合いがこんな病気になった、とか、延々と自分の健康自慢、他人の不幸の話をされる。
もちろん同行してる私のダンナも品定めの餌食になる。
ここのところ、ぷくぷく太っているので、「痩せなさい」「どこか悪いんじゃないか」と言われ続けていたのだが、今回は
「なんか痩せたね。どこか悪いんじゃないの?」と言われていた。
いや、全く痩せてはないんだが、もともとダンナは面長なので、顔だけはほっそりしているのだ。
父親の葬儀で従兄弟が数名来てくれたのだが、その中でも私はよろよろしていたので、それからずっと、
「健康は財産」「気をつけなさい」
と言われ続けて、かなりイライラしている。
兼好法師が徒然草で、
友とするに悪き者、七つあり。一つには、高く、やんごとなき人*。二つには、若き人。三つには、病なく、身強き人*、四つには、酒を好む人。五つには、たけく、勇める兵。六つには、虚言する人。七つには、欲深き人。
よき友、三つあり。一つには、物くるゝ友。二つには医師。三つには、智恵ある友。
と言っているのだが、「病なく、身強き人」と言っているのはなかなか興味深い、というか、兼好法師、わかっているじゃん、と膝を打つ思いだ。
病気一つなく健康自慢の人って、なんか傲慢だよね。
他人のしんどさがわからんっていうか。
ただ、「友」だったら自分の意思で選べるけれど、「母親」は選べないのだ。
だって、私って既にベテランの糖尿病患者だし、なんだったら、一昨年からがんにもなってる。
足も悪いから長時間歩行はできないし、不健康の極みである。
だからどうしたっていうんだ。
好きで不健康なわけじゃないぞ。
確かに糖尿病は生活習慣病だから、私も悪いんだが、そもそも亡くなった父親が糖尿病なので、体質が遺伝している。
病気のことは一切、母親に言っていないとはいえ、あまりにしつこいし、正直うざい。
電話が来ても要件のみで速攻で切るし、父親が亡くなって以降は年に一度の帰省くらいしか会う機会は作っていないので、何とか我慢しているが、我が母親ながら不愉快な女である。
なので、年下の健康な従弟が亡くなった、と聞いて、
健康だからって長生きってわけでもないじゃん
と罰当たりにもちょっとすっきりした自分がいる。
ガンになったので、もう人生は短いな、と思っていたのだが、人生の長さなんてわからんもんだ。
たくさんの病気を抱えながらも精一杯生き抜くしかない。
従弟は母親実家の跡取り息子なので、実家を継ぎ嫁を貰い、地元で働いてきた。
伯父は数年前に亡くなったので、一家の大黒柱である。
子供は娘ばかり3人なのだが、全員実家を離れて独立していた。
が、長女がお腹が大きい状態で実家に帰ってきて、父親の名前は明かさないまま、男の子を産んでそのまま実家で生活している。
50代にして孫がいたのだ。
そういった事情なので、娘と孫の生活も支えなければならない。
(田舎なので若い人の仕事が少ないのだ。娘は確かパートをしている)
孫の父親代わりとして遊園地とかレジャーにも連れて行ったりしていた。
伯母は元気なのだが、高齢なので車いす生活である。
まだまだ現役で頑張らなくてはならなかったのに、早くに亡くなってしまった。
父親の葬儀に参列してくれたので、お香典を包もうか、と今日になってから母親に連絡をしたところ、既にN県に入っていた。
私の実家からN県までは高速が通っていないので一般道で車で5時間ほどかかるのだが、行ったのかい。
急死だったので、死亡確認後すぐご遺体は自宅に安置され、家族葬で週末には荼毘に付されるというので、私のもう一人の従兄が
焼かれる前にあっておきたい、と車で行くのに便乗したらしい。
母親が自分で運転していないのにはホッとしたが、この従兄も70才超えているんだが大丈夫か。
なんかよくわからんが、お見舞い、とお寂し見舞い、をもってとりあえず行って、葬儀にはまだ出直しで参列するつもりらしいんだが、「家族葬」って言われたんだったら、遠方の親族は御遠慮ください、ってことじゃないんだろうか。
まあ、言ったって聞かないから私にはどうしようもないが。
従弟の冥福は心から祈っている。(母親に思うところがありすぎるだけだ)