友人のダンナはいろいろおかしな人ではあるのだが、20歳で就職した職場一筋勤め上げ、定年後も系列会社で嘱託として働いているので、職業人としては普通なんだろう。
何がおかしいかって、自宅に戻ったら玄関でズボンと上着を脱ぐのである。(脱いだズボンと上着は玄関のフックにひっかけておく。)
シャツとパンツ一丁で家に入り、洗面所で靴下も脱ぐ。
自宅内では上下スウェットを着用なのだが、別に部屋に戻ってから着替えればいいだけの話なのに、なんで往来とドア一枚の民家の玄関でパンツ一丁になるのかと言えば、「外は汚いから汚いズボンをはいたまま家に入りたくない」のだそうな。
外から見えるかもしれない、という対外的な問題とはほかに、友人宅には息子と娘がおり、年頃の娘にとっては、玄関でオヤジがパンイチというのは受け入れがたい事態である。
娘さんが学校を出るや否や早々に彼氏と同棲を始めてしまったのはパンイチ親父が原因の一つだろう(それだけじゃないが)。
では、友人ダンナは潔癖症なのか、というと首をひねらざるを得ない。
不潔、というほどではないが、そこそこ小汚い親父である。
つい最近、友人夫婦が喧嘩になった理由は、「食洗器」である。
夜、寝る前に汚れた食器を食洗器に入れておくと、朝にはきれいになっているのだが、このきれいになった食器を友人が食器棚に戻していたら、友人ダンナが怒り出した。
「汚いじゃないか」ってことらしい。
そこで明らかになったのだが、友人ダンナは朝が早い。早いので食洗器→食器棚への移動はダンナがやることが多いのだが、その時は使い捨ての手袋をはめて行っているとのことだ。その日はたまたまやってなかったので、友人が食器棚に戻していた。
友人は雑(と、いうか私も似たようなものだが)なので、外から帰ったときとかトイレの後は手を洗うが、食器を触るたびに手を洗うようなことはしていない。
友人ダンナは日ごろからそれをストレスに感じていたらしく、それがたまりにたまって爆発した、ということだ。
いやあ、手を洗え、はわからんでもないが、食器棚に食器戻すのにいちいち手袋使いますか?
そんなことしている主婦ってほとんどいないのでは。だって日常じゃん。
まあ、何というか、「他人は汚い」ってことだよね。
とこか(精神的に)おかしいんじゃないか、と友人から言われるのだが、おかしいことはおかしいけれど、それだけで精神障害、ってわけでもない。
このあたりが精神病の困ったところで、例えば私の糖尿病なんかは、自覚症状は全くないのだが、定期的に行っている血液検査できっちり「糖尿病」という病名はつく。
検診なんかで発見される人もいるだろう。
ガンもそうだ。何らかの自覚症状があるか、検査の結果などで、医師が「ガンですね」と診断する。
精神病の場合は、何らかの騒ぎを起こして見つかる場合もあるが、なんかおかしいんじゃないのか、と気づくのは周囲だったり、家族だったりで、初回発見者は医師ではない場合も往々にしてあるのだ。
また、精神病のカテゴリーには入っているが、判断が微妙な「盗癖」「ギャンブル、飲酒、薬物などの依存症」も例えばパチンコ依存などは、依存自体が問題というより、依存によって借金を背負ったり、家族の手に負えなくなって病院に連れてこられる、と言ったケースが多い。
女優の中村玉緒さんはパチンコファンで有名だが、彼女の場合、女優、タレントとして長年売れっ子なので、一日中パチンコを売っているヒマが取れない。稼ぎが多いので、パチンコで負けたところで、経済的に追い詰められるまで行かない、という環境要因がプラスに働いて、やめる必要がないんだろうな、と勝手に思っている。
これが私がパチンコにはまったら、時間はあるし、お金は大してないので、やめられないなら赤城高原ホスピタル(依存症の病院)に行くしかないだろう。
まあ、うつ病、とか統合失調症のように、薬物治療が効果的で病人本人も病識がある病気もあるので、精神病はわかりにくい、とひとくくりにしちゃあいかんのだろうが、最近言われる、発達障害、繊細さん、などは、個性の範疇に入るのか逸脱しているのかの線引き素人がするのは危険じゃないのか、と思うのでちょっと慎重になってる。
実はうちのダンナもいろいろこだわりは強い部分はあるので、おや?と思う部分もあるんだが、私にだってあるからなー。
なんでもかんでも「病気」ってくくりは良くない、と思いたい(のか?)